㊳話 1586年12月
【時系列・原作書籍④巻付近】
1586年12月の始め、突如、安土城への登城が命じられた。
あまりの突如の事だったので早馬で登城した。
1586年12月21日
大評定が開かれた。
奥州だけでなく日本各地の大名が馬を走らせヘトヘトとしている中、九州島津討伐が終わったことが告げられた。
これにより織田家の日の本統一が完結したかと思うと続いて、関東の乱の恩賞が正式に命じられた。
我伊達家、『従三位権中納言』の官位、そして陸前と磐城の海側の領地。
小次郎から先に知らせれていた加増が正式なさたとなった。
常陸での戦いに参加した者の多くは過分なる加増。
そして問題なのが、黒坂常陸守。
常陸と、下総・下野・磐城の一部を領地として与えられた。
今までの国分と違うが隣接する、相馬家、森家は異を唱えなかった。
既にその事は伝えられているのだろう。
我も沈黙する。
参列する大名に次々と加増転付が言い渡せれたがその場には黒坂常陸はいなかった。
安土城から宿舎の寺に戻り事の次第を片倉小十郎景綱にな告げると、
「おめでとうございます」
形式張った挨拶を受ける。
すでに言われていた加増、今更だ。
「なぁ小十郎、このような大事な場に黒坂常陸守は登城しなかったぞ」
「大地震、そして関東平定に疲れているのでしょう」
「・・・・・・そうであるかの~」
「黒坂常陸様は織田家の家臣にあらずと小十郎様が申していたではありませんか」
「だがだな・・・・・・」
「殿、織田信長公と黒坂常陸様の間には底知れぬ結びつきがあるのかと思います。慣例など気にする間柄ではないかと・・・・・・」
「そういうものかのぉ・・・・・・」
「なにせ義理とはいえ織田信長公の娘を拝領した方、あまり詮索はいたさぬほうが良いかと」
「うむ、わかった。だが、米沢に帰る時には是非、近江大津城に寄りたい。父上様も寄って黒坂常陸様とお会いしたと聞いておる」
「殿、噂では常陸大納言様は陰陽道の力を付けるべくお籠もりをしていると漏れ聞きました。それの邪魔をいたすとどの様な罰があるかわかりません」
「お籠もり?」
「はっ、その為登城が許されていると織田家では有名ですぞ」
黒坂常陸、剣の使い手で火砲術にも長け、そして陰陽道に精通しているとの噂は広がっている。
修行の邪魔をするとどの様な罰がくだされるかわからない。
「うむ、仕方あるまい。今日は大人しく帰るが、黒坂常陸様とお会いする段取りはいたせよ」
「はっ」
我は一対一で話す場を希望すると、片倉小十郎景綱はそれがわかっているようで、しっかりした返事だった。




