佐渡島《時系列300話付近(7巻)》7巻&コミックス好評御礼SS
300話付近の特別SSです。
金山視察の為に佐渡島を訪れると、幕府より管理を任されている上杉景勝が迎えてくれた。
「お久しぶりです。 常陸様、今日は存分に御見聞を。 この景勝に疚しいこと事決してなし」
「あ~別に疑いはしていないですよ。事細かな採掘量や報告書は生真面目な上杉殿らしいと造幣方も関心しているくらいなので」
幕府造幣方奉行として上がってきた書類には目を通しているが、毎日の採掘量が事細かく書かれており、幕府の貨幣鋳造所に送られてくる金の量と合わないことは一度もなかった。
勿論、うちの忍びがこっそりと上杉家家臣に数名紛れ込んでおり、そこからも不正の話は全く出てこない。
清廉潔白真面目な男。
「俺は金山見聞より佐渡島の防衛拠点として開発されているか見に来たのですよ」
「ん?謀反も考えてなどおりませんが」
いぶかしげな表情を見せる景勝、そこに先に一回りしてきたお初が、
「真琴様、全然だめね。手薄過ぎるわ」
そう言って、戻ってきた。
「手薄? え? 堅牢にしろということですか?」
いぶかしげな表情から、不思議がる表情に変わった上杉景勝。
「え~ここは大陸や半島から渡ってくる者どもを想定して堅牢な島にして欲しいのですよ。 日本海の島々を城塞化することを命じようと思っています」
「・・・・・・元寇の戦が再び?」
「流石、上杉景勝殿。 歴史を知っておられる。 今、大陸は混迷となり明は滅びようとしています。 次に大陸を制した者がこの日の本の国を我が手にと考えるやもしれないので」
「噂には聞き及んでいましたが、明は滅びますか?」
「ええぇ、時間の問題かと」
俺は歴史を大きく変えた。
その影響は大きく、ヌルハチが大陸の多くを支配圏に置き始めている。
大陸との貿易を盛んに行っている羽柴秀吉からの報告だ。
「わかりました。 この景勝、佐渡を大陸に睨みを利かせるための城を築いてみせましょう」
「船の技術は上がりましたからね。 対馬ではなく佐渡や越後をいつ狙ってくるかわからないのでよろしく頼みましたよ」
「はっ」
「あっ、それと金堀衆は日本人で頼みます。 っとに未来で難癖つけられてしまうから・・・・・・」
「今なんと?」
「兎に角、渡来人は使わないで下さい。 それと労働者の待遇や安全面は大切です。 採掘量が減ろうとも酷い扱いだけはしないよう」
「はっ」
一週間ほどお初と共に島中を詳し見回りながら砲台設置や土塁設置の指示を出した。
その後、数十年して訪れると佐渡は城塞島となっていた。




