5巻発売直前・茨城県応援・特別SS・水戸市・水戸の梅祭り(時系列200話付近)
「あ~3月だね」
俺は茨城城の本丸御殿庭に咲く梅の花を眺めながら、茶々が点ててくれたお茶を飲み政務の一息をついた。
「桜もですが、梅の花、お好きですよね?」
「うん、俺が育った茨城だと梅は有名で、水戸の城近くに徳川家康の子孫が『偕楽園』と言う庭園を作るんだけど、そこにあっちこっちから梅が集められて多品種の梅が、お正月明けから桜が咲き始めるぐらいまで長く咲いて、大きなお祭りするんだよ。日本全国から多くの観光客来るんだよ。 筑波山麓にもね、梅が多く植えられて、やっぱり大きな梅の花見の祭りをするんだよ。 それに家族で毎年行ったなぁ」
「ほぅ~真琴様が苦手な徳川家康殿の子孫?」
「はははははっ、今は苦手ではないけどね。 あの食いしん坊オヤジ」
「ふふふふふっ、でも今は水戸は山内一豊に任せてしまったではないですか? よろしいので?」
「折を見て偕楽園を作るように命じるつもりではいるよ。 梅、花は愛でれば美しく、実は食べれば健康長寿の実、保存食にもなるから防災に力を入れたい俺としては奨励したいよね、飢饉対策の一つに」
「・・・・・・梅子が、せっせと梅干し昨年漬けていましたよ」
「ん?なんで渋い顔するん?」
茶々がやたらと渋い顔を見せ、
「梅子、昨年の梅干し味見したいと真琴様が」
庭で愛玩にしている長鳴きと交配してしまった軍鶏を追いかけている梅子に茶々が声をかけると、
「はいです。 今、お持ちしますです」
すぐに持ってこられたのは???えっ?
漬けて1年目のはずなのに真っ白に塩が吹いている梅干しだった。
一口に・・・・・・。
「うわ~塩辛い!梅子、塩入れすぎ」
「え~御主人様、籠城に蓄えとして日持ちするように漬けたのですがです」
「・・・・・・うん、籠城ね・・・・・・そう言われると確かに塩分は必要だが、これはちょっと・・・・・・」
「今年もいっぱい漬けますです」
そう言って梅子は腕まくりをして鼻息荒く、やる気を見せていた。
「茶々、あれは本当、籠城だか飢饉の時のため用にこっそり封印しといてね」
「言うと思ってました。 私にも塩っ辛くて、あとで桜子に命じて蔵にしまわせます」
その梅干しが400年後、『時代ふしぎ発見』で、白柳鉄子さんを悶絶させることになるとは気が付くはずもなかった。




