表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

1-2 父として・・・

レクイエムの父親、ロンドの話です

本編の方を読んでから

こちらを読むことを推奨します

・・・私は自分の生きた道に悔いはない

こんな私でも、誰かの為に死ねるのだから


・・・いや、誰かの為というよりは

誰かのせいで・・・か?


そんな疑問を常に抱いているが、

そんなことはどうだってよかった


今となっては、私には妻と

まだ幼い2人の子供が居るのだから


レクイエムと風花が

はしゃぎ回っている様子を

遠目で眺めながら私は畑仕事をしていた



「ふふっ、あの子達ったらまたあんなに

はしゃぎ回っちゃって・・・」


妻の戦花が微笑みながら眺めている


「そうだな。あのはしゃぎっぷりは

完全にお前に似たな」


「もう、それを言ったらレクイエムの赤い目は

アナタ譲りでしょ?」


「ああ、確かにそうだな」


そんな平凡な日常で、私はのんびりしていた



・・・だが、その日常は崩れた。

この村に盗賊団がやってきたそうだ

私は妻と風花に森の方へ隠れるよう指示し

レクイエムを探した


するとレクイエムは今まさに

攫われようとしている所だった


私はとっさに助けようとしたが

それは全くの無駄だった


レクイエムはその盗賊の手を払いのけ、

一撃で盗賊を遥か彼方へ吹き飛ばした


・・・我が息子ながら、実に恐ろしい

だが、私も若い頃はそんなことをしていたから

きっと私に似たんだなと納得した


その後、レクイエムは1人で盗賊たちを

追い払ってしまった


いや、流石に強すぎる

いくら私が多少の稽古をしてるからと言って

ここまでできるほど鍛えちゃいない


・・・そういえば何回か私も

吹き飛ばされそうになったな



ついそんな事を考えていると・・・


「ねぇ、あなた。レクイエムはどこへいったの?」


戻ってきた戦花がそう呟いた


「・・・・・・そういえば見当たらないな」



・・・まさかな

少しだけ不安を抱きつつ、私は

村の人達にこの事を伝え

レクイエムの捜索を始めた


・・・悪いことが起きないといいが


捜索すること数時間・・・


レクイエムはこちらに向かって走りよってきた


「全く・・・心配させやがって・・・」


流石に安心して私は泣いた

そして話を聞くと、やはりレクイエムは

盗賊達へ追撃をしに行ったらしい


・・・本当に、誰に似たんだろうな

この無鉄砲さは



・・・その次の日

レクイエムは行方をくらました


いつになってもレクイエムは帰ってこない

なので私はまず村の人たちに話を聞いた

すると、レクイエムと村長が2人で

どこかへ向かったと聞いた

村長もレクイエムも帰っていないらしく

私は手当り次第に探せる場所を探した


家出だったら1発殴ってやろう

そんな事を思いつつ、3年かけて

思い当たる場所を探し最後には大陸中を

駆け回ったがレクイエムは見つからなかった


・・・一体どこに行ったのだろうか


思考を巡らせ、まだ探していない場所を考える



「・・・・・・まさかな」


そう思い、私はある家を訪ねた


「・・・ロンドか」


「・・・クラヴ。あんたに聞きたいことがある」


「中へ入れ。他人に聞かれたくない」


これは彼の癖だった。

自分の話をする時は必ずふたりきりで話す

私は促されるまま彼の家に入り、椅子に座る


「・・・・・・なぁ」


「聞かなくても要件は分かる。だがその前に

話をさせてくれ」


「・・・分かった」


そして彼はレクイエムと行った日の事を話した

洞窟には盗賊達の死体が散乱していたと・・・


「・・・まさかレクイエムがやったと?」


「そうとしか考えられんだろう!!

あんな怪力を持っていて、さらにはあんな

再生能力まであるなんて・・・もはや人じゃあない」


「・・・再生能力?どうしてそんな事を・・・」


「正直に話そう。私はあいつを・・・

あの化物を殺そうとしてるんだ」


「・・・クラヴ、流石に冗談じゃ済まないぞ」


「冗談なものか!あいつは何回槍で刺されても

死ななかった・・・。傷一つ残ってないんだぞ!?

そんな奴を放っておいたら、間違いなく

災いが起きる!」


「・・・おい、話が飛躍してないか?」


「ああ、すまない・・・。とにかく分かってくれ」


「分かれ?自分の息子が虐げられているのを

黙って見過ごせと・・・?」


「・・・」


「はぁ・・・」


私は椅子から立ち上がり、

テーブルにぶつける勢いで頭を下げた


「息子を返してくれ。あいつは・・・私の

大事な息子なんだ。返してくれ!」


「・・・・・・」


クラヴは何も言わない

そのまま彼も立ち上がり、そしてその後

首筋に痛みが走った


「がっ!?」


首に少し手を当てるとナイフが刺さっているのが

分かった・・・


私は彼の腕を掴み、必死に訴えようとした


「息子を・・・返してやって・・・くれ・・・」


その手を解かれ、私はそのまま意識を失った



・・・ああ、息子も守れず死ぬのか

娘の成長を見届けられず死ぬのか・・・・・・

すまないな・・・風花・・・戦花・・・・・・レクイエム


結局、私の悪い予感が外れることは

1度もなかったなぁ・・・・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ