表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

5-Ex 全ては

ふと描いたらふわっと出来た(´ω`)


 「…」

 

 既に息絶えたソレは、今まで見た事がないくらいの、綺麗な笑顔だった

 

 自分の強さを証明できた、師匠の願いも叶えることが出来た。なのに何故だろう、何も感情が湧いてこない。感情が遅れているのかとも思ったが、そういった感じでもない。ただ、ぽっかりと穴が空いているような、そんな感じだった

 

 「…そういえば」

 

 師匠から最後に貰った赤い鍵。確か師匠は葉華と一緒に…って言ってたけど、何処で使えばいいんだろうか

 

 いや、考えるのは後にしよう

 

 「…さようなら、師匠」

 

 最後に、師匠に向かって別れを告げる。そういえば、コレは仇討ちでもあったっけ。なら、もう少し喜べるとも思ったんだけど…何でこんなにも感情が希薄なのだろうか?

 

 そんな事を考えながらも、屋敷へと戻り、葉華が眠る私達の部屋に行く

 

 鍵はかかっておらず、ドアを開けると、まだ葉華がベッドで穏やかに眠っていた

 

 「葉華、起きて」

 

 優しく揺すりながら、声をかける。葉華は眠たそうにしながらも、目を開けて私の方を見る

 

 「どうしたの…お姉様…」

 

 「一緒に帰ろう。私達の家に」

 

 「…?うん…分かった」

 

 

 自分で言っていることが滅茶苦茶だった。帰り道なんて分からない、そもそもここからどう行けばいいのかも分からない

 

 ただ、私は何かに引き寄せられているかのように、部屋のドアに、師匠から貰った赤い鍵を差し込んでいた

 そもそも鍵穴すらなかったはずのそのドアに、鍵は何の違和感もなく回った。回した途端に、ドアは赤い色に変わり、勝手に開いたかと思えば、眩い光が私達を飲み込んだ

 

 

 

 

 

 ……………………………………………

 

 

 

 

 

 

 「…ねえさ……お姉様………」

 

 「…ん」

 

 葉華の声で目が覚める。そこは紛れも無く私達の家だった

 

 「ようやく起きた…朝ご飯の時間だから、早く食べましょう?お母様もお父様も待っていますよ?」

 

 …母さんと父さんが?そんな、まさか

 

 「きゃっ…もう、急ぎ過ぎです、お姉様!」

 

 

 ベッドから飛び起き、すぐさま1階に降りる


  

 「あら、おはよう斬華」

 

 「…どうした、斬華?そんなに驚いて」

 

 

 そこにはいたのは、紛れも無く、母さんと、父さんだった

 

 

 「……嘘」

 

 

 その場に崩れ落ち、私の目から涙がボロボロと流れ出した。死んだはずなのに、殺されたはずなのに、目の前には、確かに2人が生きていた

 

 「ど、どうしたんだ斬華!?」

 「…悪い夢でも見たのかしら。大丈夫よ、斬華」

 

 2人が私の傍に駆け寄り、背中をさすってくれる、抱き締めてくれる。あの懐かしい温もりに、また包まれている

 

 「あ、う…うぁぁ…あぁぁぁぁあああ!!」

 

 「よしよし…もう大丈夫よ…」

 「大丈夫だぞ、父さんと母さんはちゃんと居るからな…」

 

 

 私は暫く、その場で泣き続けた。声を聞いた葉華もやってきて、私は泣き疲れてご飯も食べずに眠りについてしまった…

 

 

 

 

 

 ………………………………

 

 

 

 

 「…ん」

 

 「おはよう、斬華」

 

 

 母さんが、いつの間にかまたベッドで寝ていた私に膝枕をしていた。…やっぱり夢じゃなかったんだ

 

 「おはよう、お母さん」

 

 笑顔で答えると、母さんも微笑んでくれた

 

 …そっか、あれは全部、悪い夢だったんだ

 

 

 「ねぇ母さん、私、ずっと悪い夢を見てたんだ」

 

 「そう…どんな夢だったの?」

 

 

 …私は、母さんに今までの事を全部話した。母さんと父さんが兄に…師匠に殺されたこと、その後色んな場所に出て、色んな経験をして…最後に、師匠を…悪い怪物をやっつけた事

 

 「ふふ…凄く長い夢を見ていたのね…そう、それで今朝はあんなに泣いちゃったのね。…よしよし」

 

 母さんが、私の頭を優しくポンポンする。思わずまた泣きそうになるが、それをぐっと抑える

 

 「うん…うん!もう大丈夫!!」

 

 いつも通りの元気な笑顔を母さんに見せる。そしてすぐにベッドから降りて母さんの手を掴む

 

 「お母さん!ご飯食べたい!!」

 

 「あらあら、すっかり元気ね。分かったわ、すぐに作るわね」

 

 

 うん。きっとあれは全部悪い夢なんだ。だとしてもすっごいリアルだったなぁ…

 

 「あ…ごめん母さん、その前にトイレ…」

 

 「ふふっ…じゃあその間に作っておくわね。ちゃんと手洗いも忘れずに」

 

 「はーい!!」

 

 そう言って2人で下に降りて、私はトイレを済ませて洗面台で手を洗う。ついでに顔も洗って、タオルで拭いて…

 

 …?

 

 

 「……なんで」

 

 思わずタオルを床に落とす。…訳が分からない、見間違い?でも、皆は何も言ってない、言わないはずがないんだ

 

 

 

 …目の前に映っていたその目は、色は、師匠の色と全く同じだった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ