森
ある所に 1人の少女が いました。
少女は ある時 とても寂しく なりました。
「そうだわ 探しにゆけば 良いのよ」
少女は 誰かを 探しにゆきました。
広い森の中 人に会うことは できるのでしょうか。
4日5日と 少女は 森の外へ 向かいます。
家を出てから 20日たち ついに 少女は 少年に
会いました。
少女と 少年は とても 気が合いました。
少女は 少年に 特別な感情を 抱きました。
少女と 少年は 外に向かって 歩きます。
少年は キノコ狩りをしに 森に入り 少女と会いました。
でも 少年は 不思議でした。
森の中は とても広く 中心へ 行ってしまえば 戻ることはできない と 言われています。
でも 少女は そこから 来たというのです。
だから とても 少年は 不思議でした。
でも それを 聞き出すことは 失礼だと思い 少年は 少女に 何も言いませんでした。
ある時 少年は 紐を 落としました。
少女が 拾うと 少年は 泣きそうになりながら 大事そうに 手で 優しく 包みました。
そして ポツポツ 話し始めました。
「これは 僕の 母さんの 形見なんだ。 よく あやとりをして 遊んだんだ」
そして 静かに 涙を 流しました。
ついに 外へ 出ました。
少女の 家から出て およそ 30日が たっていました。
でも 少女だけ 森から 出ようとしません。
少女は 少年に こう 言いました。
「あなたの 母親の 形見の 紐 半分 貰えないかしら」
最初こそ 嫌がったものの その 必死な 様子を見て 何かあると 分かった 少年は 紐を 半分 少女に 渡しました。
「ありがとう。今まで とても 楽しかったわ」
今にも いなくなって しまいそうな 少女に 少年は 言いました。
「待って!君の 名前は」
「私の 名前は……」
少女は ニコリと 優しく 寂しく 笑いました。
「ーーーー」
そういうと 少女は いなくなっていました。
気づくと 少女は 自分の家に いました。
「また ダメだったわ」
少女は 小さく 呟きました。
少女の 家は 物で 溢れかえって いました。
その中に さっき 少年から 貰った 紐も あります。
「会え人会う人 悲しみを 持った人 ばかり。それが ある限り 森は 私を ここから 出してくれないわ」
少女は 悲しそうに 叫びました。
「私に “喜び” を 持たせてくれる人は いないの!」
少年は とても 驚いていました。
本当に 少女が 『あれ』 だと 思いませんでした。
あの 少女が まさか…。
「私の 名前は……」
少女は こう 言ったのです。
「ヒジモ」
ヒジモ……悲持喪
それは 人の 悲しみを 持ってゆき 自分の 悲しみとする ものだ。
妖怪なのか 違うのか。
どちらにしろ 悲持喪は 人々から とても ありがたく 思われている。
悲持喪の 悲しみを つゆ知らず。
本編を読んで、「悲持喪って何だよ、適当じゃねーか」と思われた方もいらっしゃるかと思われます。その通り、適当です。すみません。でも、『悲持喪』が人の悲しみを貰ってくれて、人はその分楽になれる。悲持喪が悲しみを貰ってくれるおかげで、少しでも和らぐ。空想の人物(?)ですが、そんなのがいたら、とてもありがたい。しかし、本当にいたのなら悲持喪の悲しみも貰ってあげたいものです。