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開けるなよ、絶対開けるなよ、ホントに開けるなよ。

春休み終わって毎日が暗黒です。マジ暗黒微笑。

前回のあらすじ。

「俺は……俺はッ!」

彼は、決断した。

「私が……私が守るんだ!」

彼女は、守ると誓った。

「私の計算が、外れるなんて……そんな。」

少女は、後悔した。

「おせぇんだよクソ野郎共!」

少年は、加速した。


そして、新たなる世界へ――


「なんのあらすじだよ!」

「テヘペロ☆」

俺が久しぶりに(不登校じゃなく卒業後)高校に通うことになった初日の放課後。

JK――もとい、千歳恋猫と九六支部に行く……前に、敵の元本拠地に行った。

「あの……敵の本拠地マジで行くんですか?馬鹿ですか?死ぬんですか?」

「そこまで言う必要ないよな……マジで行くぞ。だから俺の言うこと聞いてくれよ。」

俺は釘を刺した。

「あんたも魔導と関わっちまったんだ。ほぼ一般人とはいえ、少しでも知識をつけといた方が良い。そのための実地訓練だ。」

「訓練嫌いなんですよね。ほら、楽して強くなりたいお年頃ですし、異世界チート的なのが良いなぁ~」

チラッチラッ。

「さすがに作者もんなことしねぇだろ。秘められし力とか出てきたらそれこそ見損なうね。……本拠地着いたらよく観察しろよ。お前が狙われる理由がそこにあるはずだからな。」

「ういーっす。」

ちなみに本拠地の場所はあの巫女さんが吐いたらしい。

石ころ帽子とはビジネスライクな関係だったとか。だから簡単に仲間売れるのね。

「っと、ここか。」

「え、こんな町のど真ん中に?」

「そうらしい。」

敵の本拠地は町のど真ん中にあった。

九六市一の繁華街、桑間。その雑居ビルのワンフロアがそれだ。

「……さて、乗り込むか。」



そこは至って普通のビルだった。

「何の変哲もないただのドアですね。」

「そうだな。ただそう言うのが危ないんだぜ?何の変哲もないただのドアだからって甘く見てると、開いた瞬間ドカンと「あ、開いた」開けてんじゃNEEEEEEEE!!」

実際その勘は当たってたわけだ。

カチリ、と言う音。

発光する魔導具。

強力で濃厚、吐き気を催すような魔力の波動。

「っクソ!勾玉!」


そして世界は一変した。



「――っあ……はは、あっぶねぇ。オイ、大丈夫か?」

「恋猫は大丈夫ですが……あはは。」

「いや、あんたが大丈夫ならそれで良い。とりあえずこの魔導の効果と範囲を確認してから、解呪する。」

魔導師ならさっきの変動ぐらいは防げているはず。

だから九六支部には何の心配もいらない。

そして、今できるのは……

索敵、とか?

「月狐。」

「あいあいさー!」

ロリ狐娘がポンッと現れる。

「もう、お腹ぺこぺこだよぉ~!ご飯、はやくはやくー!」

あ、飯やるの忘れてた。

仕方がないので財布から一万円出す。

「しゃーねぇーな。ほれ。コンビニ行ってこいよ。ついでに何が起こってるか確認もよろしく。」

すると月狐は横に頭を振る。

「それはあれか?ブルガリア式肯定か?」

「5万。」

「だめ2万。」

「じゃあ4万5000。」

「……2万7500。」

「3万5000。」

「3万で。」

「じゃあそれで。ありがとう烏兎!愛してるぅ!」

ひでぇ。一気に三万飛んだんだが。

「あ、そうだ。ついでにニコラ連れてきてくれ。あいつは危なっかしいから。」

「千円で良いよ。」

……足元見やがってぇっ!

「もってけドロボー!」

「そんな烏兎がだぁーいすきだよ!」

可愛いなぁコンチクショウ!

と、いうことで待つこと30分。

「帰ったよー。なかなか面白い物が見られたな。」

「烏兎、大変。」

月狐と共に来たのは九六支部の錬金ロリ担当ニコラ。

白衣をたなびかせたロリとは何ともシュールだ。

「あ、ロリっこが増えてる!もしかしてこういうのが趣味なんですか?」

「ちげぇよ!」

俺は断じてロリコンじゃない。

と、信じている。

「私はニコラ。ニコラ=フラメル。ニコラス=フラメルの娘にして九六支部錬金課所属の錬金術師。」

「錬金術師ですか。人体錬成とかできるんですか?」

「ゴーレムとホムンクルスの技術を応用すれば可能。ただしあまりにも複雑すぎるから、自動人形(オートマタ)の方をおすすめする。」

「何マジになってんの?それより、どうなってた?」

それが一番聞きたい。人体錬成とかどうでも良い。

「どうもこうも、面白いことになってるよぉ~。えへへ。」

「一般人が悪霊に憑かれてる。おそらく、範囲はこの市内全域。」

一般人が悪霊に?範囲もでかいな。

これはひょっとすると……

「なあ、これは極論かもしれないんだが、その魔導は世界干渉系だったりしないよな?」

「可能性としては十分あり得る。そして、死霊魔導の中で最も有名かつ未知の大規模魔導は……」

おいおい、そこまでいっちゃうのかよ。

楼蘭、ポンペイ、テオティワカン。

元来の魔導大系は違えど、行き着く先は大体同じ魔導になる。

「「死者の都(ネクロポリス)。」」



「どうする?」

うん、どうする?

「とりあえず解呪。そこからはじめないと。」

「そうだよなぁ。月狐、死霊魔術の知識かなんかあるか?」

「ふっふっふ、無いよ!」

無いのかよ。

まあ、文句も言ってらんねぇ。

そもそも、素人をこんな現場に呼んだ俺のミスだ。完全に予想外だったが、俺の責任だろう。

「とりあえず、部屋にはいるか。手がかりでも探そうぜ。」

「そうするべき。」

「そうね!それしかできないし。」

お前は自信満々に言うなJK。

ドアを開けると、そこには一つの魔導具だけがぽつんと置いてあった。

周りには血で描かれた魔導式。

「この魔導具は、千念髑髏(せんねんどくろ)。生け贄にされた古代人の強い怨念が宿っている。」

ふむ、つまりこれがこの魔導の|《意味》を司っているのか。

「おい、それに触るなよ。マジで呪われるから。」

「え、まじっすか。じゃあ触らない。



と見せかけてさーわr「触るな」ういっす。」

あぶねぇなこいつ。自由人過ぎるだろ。

「烏兎どうする?ぶっ壊しちゃう?」

「いや、こいつはただぶっ壊しても効果が残るタイプ。だからちゃんと解呪しないとやばい。」

さて。

導式解析。種類はギリシア・ローマ系死霊魔術、死者の都。

喪失魔導領域(アカシックレコード)でも基本の魔力誘導は同じ。

精密さが段違いだが、丁寧にやっていけば何とかなる。こういうのは爆弾処理に似てるな。

「烏兎、一般人の魂が悪霊と癒合して取り返しがつかなくなるまで最低あと6時間。」

「マジかよ……。」

多分ギリギリになるな。

さて、まずは

「ニコラ、何かテキトーに魔導式を見繕ってくれ。そっちに魔力誘導する。ある程度容量があるヤツで頼む。」

「了解。触媒は水銀で良い?」

「おう、いいぞ。月狐は俺に憑いて霊視強化。精密な魔力の流れを見たい。」

「OK!あとでご飯よろしくねー。」

「最後に恋猫。お前は警戒だ。こいつを持ってろ。」

俺はデザートイーグルを渡す。

「持ち方はこう。右手で握って、左で包み込む。そう、それでいい。」

「ふむ、映画みたいにグリップの下に置くんじゃないんですね。」

実際安定しないし。

「反動はでかいけどビビるなよ?まあ、一回撃ったことがあるから分かるか。」

あの時は脱臼してたけどな

「腕はこう。肩と両手で二等辺三角形を作る。それをそのまま目線まで持ち上げて照準。」

「ふむふむ、こうですかね?」

「足は片っぽ後ろに下げて。それで完成。解呪してるときは俺ガラ空きだから警告だけでも頼む。」

それがデザートイーグルを選んだ理由だ。発砲音で危険を知らせる。

さて、それじゃあ改めて。

解呪、開始。



五時間後。

「……っ…………。」

パフパフ

「(これ以上地味な絵もないですねぇ)」ヒソヒソ

パフパフパフパフ

「ん、順調。」

パフパフパフパフパフパフ

「っできた!」

やったー!

パフパフパフパフパフパフパフパフ

パフパフ言っているのはニコラが作った魔導式。

もうちょっと良いヤツはなかったのか。

と、まだ作業は終わっていない。最後の一つが重要だ。

「あとは魔導師を倒すしか無い。」

「時間がない。」

「しゃーねー。」

「ねぇ烏兎ー、もうみんなぶっ殺した方が早いよぉー。私は烏兎さえいればそれで良いから、ね。」

「もうおせぇ。」

「現実はそう甘くないですよ?あと一時間で探せますかねぇ~?」

「希望を持つのは大事だ。あと一時間で見つけてしょっ引く。」

残り時間一時間。

この町を死者の都(ネクロポリス)にはしない、させない、許さない。

しない、させない、ゆるさないといえば標語です。

ダメ、ゼッタイ。とか。

我が居住地である修羅の国では飲酒運転が問題になってます。

あと強盗とか。

そう言えば最近は暴力団関係の話題がありませんね。

そんな修羅の国でした。

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