ハーレーは空を飛ぶ。
なんかいろいろ新キャラ出ます。やっとぽくなった希ガス。
「烏兎くんおかえりー、ってあらぁ?」
「ん、どうした、っておよぉ?」
「状況から考えるに性交の後ということ?」
「ニコラちゃん直接的すぎ。もっとオブラートです!」
「そうか、新たな命の誕生。すばらしいことだ。」
帰っただけでこれだ。化物よりやっかい。
「はいはい、だまれ。上級悪霊とか言うのが出てケガしてんの。こいつのことは説明するから、セーヌ姉、治癒かけてー。」
「なによ、そのくらい。ちょっとぐらい我慢しなさい」
予想はしていた。セーヌ姉の脳みそは完全に傭兵(それも人外級の)のそれだ。
生身でCaCaO倒したことがあるとかないとか。
「……じゃあニコラ治して。」
「いいわ。私にできることなら。」
ニコラちゃんマジ天使!
それに対してセーヌ姉は……
(ニコッ)
(ビクゥッ)
なにあの笑み。怖っ。
年増に睨まれてさらにダメージが増加(した気がする)、しかしちゃんと治してくれるニコラちゃんマジ天使。あ、薬が入ったフラスコ落としてる。
シュワァァァァァァドロドロドロドロ。
床が溶けてるううううううううううううううううううううう。
「あ、万物融解液と万能薬間違えた。」
「あっぶね。死ぬとこだったわ。」
死地から抜け出したのに仲間に溶かされて死ぬとか嫌すぎる。
とてとて、と小走りに薬品を取ってきたニコラちゃんは床に一滴垂らして(確認らしい)、それを俺に渡した。
「これ、痛いところに塗ればオッケー。のはず。」
「のはず……。」
とりあえず、塗ろう。腹決めて。
ひんやりとしたの少しぬめりのある液。指につけて患部に塗ってみる。
冷たくて気持ちいい。腫れが瞬く間に引いていく。
「よくなった。ありがと。」
「そう、それはよかった。正直大丈夫かどうかは微妙だったけど。」
をい。
ま、いっか。
「で、あの女子高生(仮)について説明しなさい?」
「だからセーヌ姉怖い……美しいです、はい。それで、このJKは誰?」
「「「「「それはこっちのセリフだ馬鹿野郎」」」」」
「千歳恋猫って言います。ぴっちぴちのJKです。小学校は朽和貝小学校です。」
なんで出身小学校を紹介するんだよ。
「ふぅーん。で、この娘が結界内に侵入したってわけね。にわかには信じられないわ。」
「でもホントだぜ。戦闘中だったから危ないの何のって。」
「……結界の方に不具合があったのかもしれない。現場に行って十字架を回収してくるわ。現場の住所は?」
「ちょっとまってな……っとココだ。廃病院の一階。」
住所を書き込んだメモを渡しておく。ナビに入力すればすぐわかるはずだ。
「じゃ、行ってきマース」
と、支部を出ていった。
何気にレクサスなんだよなぁ、セーヌ姉の車。
元傭兵は金があるなぁ。
ツンツン、ツンツン。
「なに?」
「あの、烏兎さん烏兎さん。恋猫、家に帰れないって言われたんですけど。」
「ああ、いや帰れるよ。一時間くらいで。」
記憶消してから。
MIBみたいなかんじで。
「なんか不審な心の声が聞こえた希ガス」
「逃げるな。」
ガシッ、ズルズルズルズル
「いやーっ!エッチなことされるー」
「しねぇよ!」
ご近所から不審な目でみられるからやめろ。
「アーカーシュ、結界は?」
「準備できた。」
よし、じゃやるか。
恋猫です。今、絶賛緊縛隔離中です。
いや、どういう状況ですか!?さすがの恋猫ちゃんでも理解不能ですっ!
ん、いや待てよ。これは……ま、まさか!
「モテ期キターーーーっ!」
来てますわぁモテ期。
あれですよ、あれ。歪んだ愛情ってやつ。愛されてるわぁ。
やっふー。ミステリアスな女、恋猫ちゃん。これは来てますねぇ。
逸見さんに自慢ですよ、これは。
ここから出れたらなぁッ!
なんかもやがかかってますし、いろんな薬品があるし、なんか得体のしれない生物のホルマリン漬けとかあるし……。
はぁ、なんか眠くなってきました。昨日、夜更かししたからかなぁ。インディペンデンス・デイ面白かったしなぁ。
ふぁぁ、ねむ。
ねよ、ねる、ねた。
お、寝てるな。魔導が効いてるみたいだ。
結界には記憶消去に加え睡眠効果もついている。つまり、記憶消去もうまくいったということだ。
「コンスタンス、ハーレーで送ってあげてくれ。」
「え、私ですか!?」
「そう、消去法。」
俺←運転できるけど無免許。
アーカーシュ←そもそもできない。
二コラ←幼女
コンスタンス←空飛ぶハーレーダビッドソン持ち
黒曜←犯罪っぽい。
「確定だろ。」
「確定。」
「確定だな。」
「確定……って犯罪っぽいって何!?」
「確定かぁ……。」
しぶしぶ、といった感じで恋猫を背負い外に出ていく。
ちなみにマジで『空飛ぶ』ハーレーダビッドソンだ。型は確か……
ガチャ
「FLHXブラックアウトデス!」
ガチャ
「何なの!?」
考えてることわかるの!?
……間もなくエンジン音がして空の飛び立っていった。
大丈夫だろうか。
多分大丈夫。
まったく、なんで小娘と二人乗りしてるんですかねー。
あーあ、イケメンと乗りたかったなぁー。
ちなみにこのハーレーにはオガム文字が刻まれているので一般人には見えないようになってるんです。エヘヘ、すごいでしょ。
「……ムムム、まんじゅう食べたいムニャムニャ……」
「幸せそうで何よりですね。」
ちぇっ、イケメンの彼氏欲しい。
……生徒手帳によると住所はこの辺のようですね。
ここか。一戸建て二階。車はないので留守のようです。
「んーと、寝室は……ここかな。」
とっても個性的な部屋だこと。ものが沢山ある割に整理された部屋ですね。
「Duir,Nuin」
カチャ。
魔導で鍵を開けて、そっとベッドに寝かせます。
……一応家に守護をかけてるおきますかね。
「Khoad」
一時的に仮聖地認定させておきます。一週間は化物共とは無縁ですかね。相手によりますけど。
……帰りますか。
今日の晩飯は何にしますかねー。
って、今日宿直当番だし……。
「ん、おかえりー。」
「ただいまです。ん、ニコラはもう帰り?」
「うん。」
「いいなぁー。私も帰りたいー。」
ん、コンスタンス帰らないのか?
「コンスタンスは今日何かあるのか?」
「ん、アーカーシュいたの。そう、今日宿直で……。」
「あれ?今日は俺もそうだったぞ?」
「え、うそー。」
当番表を確認してみる。
やっぱり俺じゃん。
「お、今日ないじゃないですかぁ!ラッキーです!」
クッソー帰りたい!
なんか道連れにする方法は……。
プルルルルル、プルルルルル
俺のケータイだ。発信者はセーヌ姉。
「もしもし?」
『烏兎くん、至急さっきの娘の家に向かって!』
「ん?なんでだよ。」
『落ち着いて聞いてね、』
お、おう。
「なんだよ。」
『死霊魔導師が現れたわ。』
ご精読ありがとうございました。キャラもいろいろ出てきて、付け焼き刃の魔術感も許していただければ幸いです。
これからも続くので、よろしくです!