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壊愛

作者: 堤小夜

  壊愛

 太陽は沈み、世界が夜に侵食されていく。もう校舎には誰もいない。教師だって大半が帰っただろう。そんな中、俺は彼女と体育倉庫にいた。別にやましいことがあるわけじゃない。いや、むしろその方がよかった。なぜなら、俺は……

「う…つぅ…あっ!」

 その時、彼女のむき出しの太ももをカッターで切り裂いていたから。

「はあ…はあ…っ!」

 途端に、腕に鋭い痛みが走る。たぶん彼女がカミソリで切ったんだろう。でも、それでいいんだ。

(これが、俺たちの関係だから)

 そう思いながら彼女の太ももにある傷にカッターを押し当て、より深く彼女を傷つける。彼女もまた、俺の肌にカミソリを押し当ててきた。

 もし、この光景を誰かが見たらどう思うだろう。気色悪く思うかもしれない。怖がるかもしれない。俺たちがお互いを嫌い合っていると思う人もいるかもしれない。でも違うんだ。俺たちは嫌い合っていない。愛し合っている。愛し合っているからこそ、互いを傷つけるんだ。それが俺たちの、新田(にった)(ひとし)矢田(やだ)結花(ゆいか)の想いのカタチだから。


 三月になっても、風はまだ冷たくて、俺たちの傷口を優しく痛めつけてくる。

「結花、大丈夫?歩ける」

 互いを傷つけあい、体育倉庫を出て彼女を家まで送る。高校で彼女と出会って三年、俺たちは数えられないくらい、互いを傷つけてきた。

「大丈夫だよ。それに、腕掴んじゃったら、仁だって痛いでしょ」

 そう言いながら彼女は微笑んでくる。けれど、その表情には苦痛が浮かんでいた。

(やっぱり痛むよな)

 確かに俺たちは互いに傷つけあっているけれど、それでも俺は彼女が好きなんだ。だから、彼女に頼ってほしい。

「腕掴んでいいよ。俺は大丈夫だから」

 でも、彼女は腕を掴もうとしない。たぶん俺のことを気遣ってるんだろう。結花は優しいから。

「別に俺のことは気にしなくていいよ。今でも痛いんだし、お前が掴んだくらいじゃ変わらないよ」

 そう言うと、彼女は少し迷ってから恐る恐るという感じで腕を掴んでくる。

「…大丈夫?痛くない?」

 腕を掴みながら彼女が聞いてくる。自分のせいで痛い思いをさせてるんじゃないか、と思っているんだろう。

「大丈夫だよ。言っただろ、変わらないって」

 そっと、空いた手で、彼女の引き千切られたように切られた髪を撫でる。確かに俺たちの関係は壊れてるけど、それでも俺たちは愛し合い、想いあってるんだ。この気持ちに嘘なんてない。

「ごめんな、痛い思いさせて、ごめんな、こんな俺で」

 そう謝ると、結花が少し強く腕を抱きしめてきた。

「…結花?」

 結花の顔を見ると少し怒ったように眉を吊り上げていた。

「仁は謝らなくていい。仁だって痛い思いしてるし、何よりこれは二人で決めたことでしょ」

 そう言いながら彼女はさらに強く腕を抱きしめる。

「私たちはお互いを傷つけたいと思っている。だったらそれでいいでしょ。私も仁を傷つけたいと思ってるし、私を傷つけたいと思ってる仁の気持ちを叶えてあげたいと思ってる。仁だってそうでしょ。だから謝らないで」

 これが、俺たちの関係だ。俺たちはお互いを傷つけることを願い、そしてお互いにその気持ちを叶えたいと思っている。その願いが、人として狂っていたとしても。

「そうだったね。ごめん」

「だから謝らないで」

 それでもどうしても謝ってしまうのは癖みたいなものだ。たぶん結花もわかってる。

「あ、家着いちゃった。それじゃあね」

 そう言うと彼女は腕を離して家の方に歩いて行ってしまう。

「結花、待って…」

 俺は彼女を行かせたくなかった。俺の隣にいてほしかった。 

 ……彼女は、虐待を受けているから。



 彼女と別れてからもずっと、俺は結花のことを考えていた。今も暴行を受けていると考えるだけで胸にやるせない気持ちが溢れてくる。俺以外の奴に彼女を傷つけて欲しくない。彼女を傷つけるのは俺だけでありたい。 

(そんな風に思うのはおかしいってことはわかってる)

 でも、それが俺なんだ。この気持ちは彼女に対する愛であり、狂気だ。彼女だって同じように感じている。彼女だって同じだってことを知っている。俺たちの間にあるのは愛と狂気。愛の裏には狂気が存在し、狂気があるからこそ愛が存在できる。     

 ……でも、この気持ちは愛でも狂気でもない。これはただの独占欲だ。汚くて、醜くて、グロテスクな欲望だ。

(やっぱり、俺は壊れてるんだろうな)

 だからこそ、彼女に惹かれたんだ。壊れた人間同士、惹かれあったんだ。惹かれあって、歪な愛を育ててきたんだ。たぶんこれからもずっとそうしていく。

 互いに傷つけあいながら。



 家のドアを開けると強烈な酒のにおいがした。

(今日は、あいつの家にいくか)

 五年前、母さんが死んでから俺は父さんと二人で暮らしてきた。それだけならまだいいだろう。けど、母さんが死んでから父さんは変わってしまった.酒に溺れて、酔うと刃物を振り回すようになった。そして、親子の関係も冷え切ってしまった。

「ま、だからどうしたって話だけど」

 一人自嘲気味に呟く。父さんに聞かれないように。



 玄関にメモ帳だけを残して家を出る。たぶん明日には帰ってこれるだろう。

「あ、もしもし小川、新田だけど…今夜も泊めてくれないか」

 家を出て、数少ない友人に電話を掛ける。

『別にいいけど、また親父さん飲んでるのか』

「そうだよ」

 結花ほどでもないけど、こいつも色々知ってるからな。

『お前なんで警察に言わないんだよ。何回か刺されてるんだろ』

「確かに何度も刺されたけど、それでも親子なんだ」

 どんなに関係が冷え切っていても、親子であることに変わりはない。

『そっか。やっぱりお前は、お前らはそうなんだな』

 お前らっていうのは結花のことも言ってるんだろう。

『まあいいや、カギはポストの中に入ってるから』

 相変わらず不用心だな…。そっちの方が都合がいいけど。

「じゃあすぐ行くよ」

『急ぐのはいいけど走るなよ。また傷口開いて部屋血みどろにされたら困るからな』



「悪い、小川」

「おお、いらっしゃい。上がれよ」

 家主の許可を得てから靴を脱ぐ。いつものことだ。

「えっと…今日も風呂はやめとくか?」

「入れないからな」

 全身傷だらけだし。

「とりあえず飯くらい作るよ。泊めてもらってるんだし」

「サンキュー、じゃあ俺は風呂入ってるから」

 そう言うと、小川は脱衣所の方に消えていった。

「俺は飯作らないとな」

 泊まらせてもらってるんだからある程度のことはしないと。

(それにしてもすごいよな。あいつ)

 あいつは両親が死んでからずっと一人で暮らしてきた。それだけじゃない。あいつは俺と結花の壊れた関係を知って、それでも変わらずに接してくれる。それに比べて俺は…。



「新田、ほらこれ、濡れタオル。これで体拭いとけよ。血付いてるけど」

「ああ、ありがと」

 というか、その血俺のだからいちいち言わなくてもいいのに。そう思いながら服を脱いで濡れタオルで肌を拭う。

「…いつも思うが、大丈夫かお前?前来た時より体の傷増えてないか」

 増えてるもなにも今日やったからな。

「別にお前らの関係にとやかく言うつもりはない。でも、やっぱりお前らの関係は理解できないよ」

 その声はどこか冷たさを帯びていた。

「そんなことはわかってるよ。でも、結花はわかってくれてるから。受けいれてくれてるから。だから俺たちはこの関係をやめないよ」

 たとえ、この関係が間違っていたとしても。

「ま、お前らはそうだろうな」

 小川はこれ以上俺たちのことを話そうとはしなかった。

 結局、それから俺たちは全く言葉を交わさず、そのまま眠りについた。



「あれ、結花」

 放課後、係の仕事を終え、家路につこうとしたとき体育倉庫に入る彼女の姿が目についた。

「あいつ、体育の係じゃないよな」

 なら、どうして体育倉庫なんかに。

「行ってみるか」

 もし見つかっても謝れば大丈夫だろう。なんの問題もない。そのとき俺はそう思ってた。でも、それは間違いだった。だって、その時あいつは…、

「…っ、あ…」

自分の腕をカミソリで切っていたから。

「おい、結花・・・なにして…」

 声をかけた瞬間、彼女の表情が恐怖に染まっていく。

「え…なんで仁が・・・」

 彼女の震えた声が体育倉庫に響く。やめた方がいい。そう言った方がいい。そう思った。でも、俺はどうしてもその言葉を言うことができなかった。

(もっと苦しむ結花が見たい)

 それは、今まで俺が知ることのなかった醜い欲望だった。その欲望は少しずつ心を侵食し、少しずつ正常な思考を奪っていく。

 気がつくと、目の前には傷だらけの彼女がいた。

「…あ、結花・・・」

 正常な思考を取り戻したとき、俺の目に映っている彼女はあまりにも無残な姿をしていた。

「おい…生きてるよな…なあ…」

 そう彼女に語りかけると彼女は少しだけ微笑んだ。

「ごめん…俺、なんてこと・・・」

 謝ったって許されないことはわかってる。でも、どうしても謝ることをやめられない。

「仁・・・仁はどう思った?」

 彼女が痛みに耐えるような声で聞いてくる。

「どう思ったって…」

「私が自分の体を切ってるって知って、どう思った?」

 そんなこと、

「そんなこと、今はどうでもいいだろ。そんなことより――」

「よかった」

 彼女が嬉しそうに微笑む。この時の俺は、彼女の笑顔に意味がわからなかった。



「…懐かしい夢だな」

 俺たちが付き合い始めたのは、それから一週間後だった。彼女は俺に傷つけられ、汚されたことを簡単に許してくれた。まったく気にしてないと言ってくれた。

「あれから三年か」

 そして、俺たちの関係は変わった。恋人同士になり、互いに互いを傷つけるようになった。

 でも、それでも、俺はあのときの自分を、醜い欲望を受け入れることができなかった。



 次の日の夜、俺たちはまた体育倉庫に来ていた。

「結花、大丈夫なのか?昨日もやったのに」

 昨日の傷だってまだ塞がっているかわからない。塞がっていたとしてもまた開いてしまうかもしれない。なのに…

「わかってるよ…でも耐えられない。仁のこと、ズタズタに引き裂いてやりたい。だから、仁も私の体をズタズタに引き裂いて」

 一瞬、彼女と目が合った。その目を見ただけで彼女が狂っていることがわかる。俺にしか見せない表情。その表情を自分だけのものにしたい。そしてそれをズタズタにしてやりたい。そんな感情や欲望が俺の壊れた心を侵してゆく。

 やめた方がいいかもしれない。そんな考えはどこかに行ってしまった。それ以上に、目の前の彼女を傷つけたい。

「結花・・・いいか」

 そう言いながら彼女の腕にカッターの刃を押し当てる。

「いいよ。お互いのこと、ズタズタに引き裂こう」

 その言葉を合図に、俺は彼女の腕を切り裂いた。そして切り裂いた傷口にカッターを突き立て、傷口を抉る。

「いっ…つぅ…はあ…はあ…私も、いいよね」

 そう言うと彼女は俺の背中を何度もカミソリで切り裂いてきた。

 体中に鋭い痛みが走り、床は俺たちの血で真っ赤に染まっている。でも、今の俺たちは満たされていた。お互い言葉をかけあうこともせず、ただただ引き裂き合う光景はまさしく地獄のようだ。けれど、俺たちにとって、この地獄は天国にも等しかった。俺たちはそんな人間だから。心の壊れた狂人だから。



「結花、腕出して」

 そう言うと彼女は俺の前に腕を出す。お互いに傷つけあってから互いの手当てをするのもいつものことだった。

「今日は少しやりすぎちゃったね」

 確かに今日の結花は少しおかしかった。いや、おかしくなってるのはいつものことだが…なんというか、いつも以上に狂っていた。

「結花、昨日何かあった」

 たぶん、親と色々あったんだろう。

「…実はね、昨日お父さんとお母さんと揉めちゃって」

 そう言いながら彼女はスカートをたくし上げる。暗くてよく見えないけど、太もも辺りに蹴られたような痣があった。

「私は、仁以外の人に傷つけられたくない。私を傷つけていいのは仁だけだから。だから痣を見たとき、少し、いやな気持ちになって・・・それを忘れたかったの」

 そう言う彼女の目にはさっきのような狂気は見えなかった。そこにあるのは申し訳なさそうな気持ちだけ。

「そっか。つらかった?」

 彼女の頭を撫でながら彼女に語りかける。彼女の体を切り裂いてるからって彼女の心を傷つけたいとは思わない。むしろ、彼女の体を傷つけてるからこそ、心だけは守ってやりたい。

「うん…つらかった。だから」

 そう言いながら彼女は、俺の胸元に顔を押し付けてくる。

「今だけは…甘えさせて。少しだけでいい。もう少しだけ、一緒にいて」

 そっと、俺は彼女の体を抱きしめる。体中の傷が痛むけど、それでも抱きしめてあげないと壊れてしまうような気がしたから。

(もう、壊れてるのにな)

 そうだとしても、俺は彼女が壊れることを恐れている。もちろん矛盾していることはわかっている。でも、人なんてそんなものだ。矛盾していない人間なんて存在しない。

 俺だってそうだ。矛盾していることはわかっていて、それでも恐れることをやめることができなかった。



「ごめんね。ワガママ言って」

「気にしないよ。恋人なんだし」

 体育倉庫を出てから、彼女はずっと浮かない顔をしていた。理由は…たぶん迷惑をかけたとか思ってるんだろうな。

「俺はお前に迷惑をかけられるの好きだよ。確かに俺たちの関係は少しおかしいけど、お前の恋人であることには変わりないんだから」

 そう言いながら彼女の髪を撫でる。

「念のため言っておくけど、今の言葉に嘘はないからな」

「…わかってるよ」

 少しだけ間をおいてから彼女が微笑む。

「なら、もう少しだけ甘えていいよね」

 そう言いながら彼女は俺の指に指を絡ませてきた。

「今日は、これで帰ってもいい?」

 結花が笑いながら話しかけてくる。そんな姿が可愛くて、愛おしくて、

「結花・・・ちょっといい」

 俺は繋いだ手を引っ張ると、そっと彼女の唇に唇を重ねる。彼女が愛おしいという気持ちがゆっくりと俺の心に広がっていく。

(ずっと、こんな気持ちでいられれば幸せなのに)

 そんなことを考えながらゆっくりと、名残惜しそうに結花の唇から唇を離す。途端に彼女が胸元に抱き付いてきた。

「結花・・・?」

 俺はそっと彼女の頭に手を・・・

「待って・・・傷口開いた…痛い…」

 あ…しまった。

「ごめん。とりあえず人目のつかないところに…手当てしないと…えっと…」

「いや、あんまり動揺しないで」

 動揺しすぎて、結花が少し引いていた。



「…これでよし、と」

 結局、近所にある公園で応急処置をすることにした。

「ごめん。俺が考えなしだった」

 彼女を不必要に傷つけてしまった。その事実が俺の心に重くのしかかる。

「別に私は怒ってないよ。だから謝らないで」

 彼女はそう言うけど、俺はやっぱり自分を許すことはできなかった。

「はあ、仁、ちょっとごめんね」

 彼女はそう言うと俺の腕を思いっきり引っ張って、そのまま唇を重ねてきた。でも…。

(いっ…つう)

 結花に引っ張られた瞬間に肩の傷が開いたのがはっきりとわかった。

「…っ、仁、今体の傷開いたよね」

「…だからどうしたんだよ」

 彼女のせいで傷が開いたからって特になにも思わない。

「だったら私も同じだよ。仁のせいで傷が開いたとしても私はなにも思わない。そもそもこの傷は私が願ったものだから」

 そう言うと彼女はもう一度俺の唇に唇を重ねる。俺はそんな彼女の口に舌を入れ、互いに舌を絡ませ合った。まるでお互いを確かめ合うように。


 それから、一時間ほど彼女とお互いを確かめ合ってから彼女を家まで送り、家路に着いた。

(流石に今日は飲んでないよな)

 この時間じゃ小川も起きてないだろうし、もし飲んでたら野宿確定だ。

(今日は飲んでないよな)

 そう思いながら家のドアを開ける。今日は特に酒の香りはしなかった。

「ただいま」

 返事は返ってこない。でもリビングの電気は点いてるし…一体どうしたんだろう。

「父さん?」

 リビングに入ると、父さんはテレビを見ていた。けれどテレビは点いていない。父さんがずっと、真っ黒なテレビの画面を見ていた。

「晩はちゃんと食べた?確かまだお惣菜が残ってたよね」

 返事がないとわかって、それでも俺は父さんに話しかける。五年前からそうしていた。それが俺たち親子の関係だから。たぶんこれからもそうしていくだろう。俺が、それを願っているから。



 一人で惣菜を食べてから濡れタオルを持って部屋に向かう。

「で、なんで結花が部屋にいるの?」

 部屋に入るとなぜか結花がいた。

「別にいいでしょ…そんなことより…」

 よく見ると彼女の手にはカミソリが握られていた。

「二人でさ、引き裂き合おう」

 そう言う彼女の目は体育倉庫にいるときと同じだった。でも…

「今日はもうだめだよ」

 彼女を落ち着かせるために俺はそっと結花を抱きしめる。

「今日は一緒にいるから。だから――」

 やめよう、そう言う前に彼女に押し倒された。そのまま彼女は俺の首に手をかけてくる。

「いいでしょ。ねえ、いいよね。いいよね」

 俺の首を絞めている彼女の手の力がだんだん強くなる。今の彼女は本当におかしい。でもこうなったのは初めてじゃない。前にも何度かあった。

(また、なにかあったのか)

 そして結花の心の堰が決壊してしまった。

「ねえ、しようよ。そうしないと、殺しちゃうよ」

 こうなったらできることは一つしかないけど…でも俺はそれをやりたくなかった。これ以上彼女の心を傷つけたくない。でもそうしないと彼女は戻ってくれない。だから、

「結花は、俺を殺したいのか」

俺は彼女に問いかけたる。

「…え…それは…違う…けど」

 問いかけた瞬間、正気に戻った彼女が急に狼狽する。

「違う…殺したくない…なのに…私は…違う。違う違う違う違う。こんなの・・・私じゃない…なんで・・・嫌だ…嫌だよ…どうして…どうしてどうして…」

 そして、狂ったように言葉を発し始める。

「ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ――」

「結花!」

 狂い始めた彼女に無理矢理睡眠薬を飲ませる。

「もう今日は寝ろ。もう今日は起きるな…なにも話さなくていい。だから」

 そう言いながら結花を抱きしめる。彼女は俺の胸の中で暴れた後、静かに寝息を立て始めた。



 彼女が寝たことを確認し、彼女の体を濡れタオルで拭いてからそっと俺のベットの上に寝かせる。

「ごめん。俺が無力だから、こんなに傷ついてるんだよな」

 結花の体を見たら何か所か痣ができていた。たぶん彼女の親にやられたんだ。でも、そうわかっても、俺は何もできない。さっきだって、彼女の願いすら聞き入れることができなかった。

「ごめん。こんな俺で」

 もし結花が起きていたら謝らないでと言うだろう。でも、今の俺には謝ることしかできなかった。

「ん…仁?」

「結花・・・もう起きたのか」

 睡眠薬を飲ませてからまだ数時間しかたってないのに。

「仁・・・隣に来て・・・お願い」

 彼女の声はいつも以上に悲しげで、胸がキュウと締め付けられる。

「いいよ。わかった」

 そんな彼女の悲しさを少しでも晴らしてあげたくて、俺はベットに入り彼女と向き合った。

「仁、ごめんね。また私おかしくなってたよね」

 そう言う彼女の声は涙で掠れていた。

「私、仁のこと殺そうとしてた。本当は、殺したくないのに」

 涙を流しながら必死に言葉を紡ぐ彼女をそっと抱きしめる。今彼女に必要なのは言葉ではないから。

「ごめんね。私、怖かったよね。ごめんね」

 俺は何も言わずただただ結花の髪を撫でる。

「ごめんね。本当は死んでほしくない。一緒に生きててほしい。なのに…なのに」

 言葉を紡ぐたび、彼女の声と嗚咽が大きくなる。俺はそんな彼女を一晩中抱きしめていた。



 俺たちはずっとこんな関係を続けていた。確かに辛いこともあったけど、俺たちは幸せで、すっとこんな日々が続いてほしいと思っていた。

 父さんが死んだって変わらないって、信じてたんだ。

「可哀想に、まだ学生なんでしょ」

「お母さんだけじゃなくてお父さんまで」

「つらかったら頼っていいからね」

 葬式の日、俺は親戚の外面だけの言葉をただ無言で聞いていた。

(誰も俺のこと可哀想なんて思ってないくせに)

 母さんのときもそうだった。この人たちは口では可哀想と言っていても、裏では死んで清々すると言っていた。

「これから大変だと思うけど、頑張ってね」

 もう何も聞きたくない。心の底からそう思った。



 葬式が終わり、俺は一人家路につく。

(結花に会いたい)

 でも無理だ。彼女の家に行っても彼女の親が会わせてくれるとは思わない。

(それに、今会ったら俺は結花を傷つける)

 そのためだけに会うなんて間違っている。だから今は会わない方がいい。

「あ、もしかして仁くん?」

 突然、誰かに話しかけられた。振り返ると、そこにいたのは一人の若い女性だった。

「えっと…あなたは」

「ああ、ごめんなさい。初めましてだよね。私、仁くんのお父さんの弁護士をしていて…遺産と遺書を持ってきたんです」

 そう言うと目の前の女性は俺に通帳と封筒を渡してきた。

「あの…遺産と遺書って…そもそも父さんはどうして死んだんですか」

 俺は息子なのに何一つ聞いていない。せめて父さんの死因くらいは知りたかった。

「仁くんは何も知らないの」

「はい。そもそも父さんが死んだことを知ったのも最近ですし」

 確かに父さんは数日間帰ってこなかった。でもまさか死んでるなんて…

「…そう。お父さんは一応事故に遭ったってなってる。もしかしたら自殺かもしれないけど」

「待ってください。自殺って何ですか」

 あまりに話が飛び過ぎて、何一つ頭に入ってこない。

「全部遺書に書いてあると思います。でも、最後に私から一つだけ言わせてください」

「あなたは、お父さんに愛されていたの」



 家に帰ってから自分の部屋で通帳を確認する。見てみると通帳には一千万以上の大金が入っていた。

(なんで、こんな大金)

 あまり詳しくは知らないが家にこんな大金はなかったはずだ。なら、どうして…。

「やっぱり、遺書読まないといけないのかな」

 でも、どうしてもこの遺書だけは読めなかった。

「どうすればいいんだよ」

 なんて、そんな風に聞いても誰も聞いてくれない。

「俺は、一人ぼっちなんだよな」

 今までの俺は一人じゃなかった。確かに関係は冷え切っていたけど、父さんはちゃんと生きていた。でも、今は違う。俺は、天涯孤独だ。

「俺、父さんに依存してたのかな」

 俺が父さんを訴えてりしなかったのは家族だからじゃなくて、ただ、依存してただけなのか。だから遺書が読めないのか…。もし読んだら、父さんが死んだことを受け入れてしまいそうだから。そんな考えがグルグルと頭の中を駆け巡る。

「仁・・・」

 後ろから、声が聞こえた。振り向くと、そこには・・・

「結・・・花」

 そこにいたのは結花だった。

「仁・・・家のドア開いてたよ」

 そう言う彼女の目はとても寂しそうだった。いつも、俺の家に来るときは狂った目をしていたのに。

「その…仁大丈夫なの?顔色すごく悪いけど」

 彼女が心配そうに聞いてくるけれど、俺は何も言うことができない。

「仁・・・何か言ってよ…ねえ、ねえ!」

 次第に彼女の声が大きくなる。それでも、俺は何も言えない。

「なんで、なんでなにも言ってくれないの」

 彼女に、弱みを見せたくなかったから。

「ねえったら!」

 彼女は俺に近づくと首筋にカミソリの刃を向けてきた。

「何か言ってよ。言ってくれないと…私本当に仁のこと殺しちゃう」

 今、ようやく気付いた。彼女は多分狂っている。けど、狂っていても俺のことを思ってくれている。

「何か言ってよ・・・もしかして、このまま殺されたい?それともこのまま傷つけ合いたい?傷つけ合ったらちゃんと話してくれる?」

 彼女の目が次第に狂気の色を帯びていく。どんな時でも欲望というものは正直で、今すぐ彼女を引き裂きたいと思ってしまう。

「あ、目の色が変わった。…ちゃんとあとで話してくれる?話してくれるなら、傷つけていいよ」

 そう言いながら結花が誘うように頬に指を触れさせてくる。その指は少しずつ俺の理性を削っていった。

「…あとで話すなら、傷つけていいのか」

「いいよ。ちゃんと話してね」

 その言葉を聞くと同時に俺は彼女の手からカミソリを奪う。

「ちゃんと…あとで言うから、だから…」

 その言葉を発すると同時に俺は彼女の肌を切り裂いた。でも、いつものように満たされる感覚は感じなかった。

 それでも、俺は彼女の肌を切り裂き続ける。それはただの八つ当たりでしかない。

「仁、泣いてるの?」

「……え」

 そっと、自分の頬に手を触れさせる。触れてみると確かに涙で頬が濡れていた。

「仁、本当はこんなことしたくないんじゃないの。本当は頼りたいんじゃないの」

 そっと、彼女が俺に抱き付いてきた。その温もりは暖かくて、俺の心は少しずつ溶かしていく。

「もしも誰かに頼りたかったら私を頼って。頼りないかもしれないけど、頑張って力になるから。力になれなくても、いつか力になれるよう頑張るから」

 俺を抱きしめながら結花が目を合わせてくる。その目は狂っていたけど、とても優しかった。

「…本当に頼っていいか。弱いところを見せてもいいか」

「もう十分弱いところ見てるよ。それに私は、仁の全部を受け入れてあげたい。強いところも、弱いところも、きれいなところも、醜いところも、全部」

 彼女の俺を抱きしめる力がより一層強くなる。

「…本当に、受け入れてくれるか」

 最後に一度だけ確認する。

「当たり前だよ。私は仁の独占欲だって受け入れてるんだよ。弱いところを見たくらいでどうってことない」

 その言葉を最後に、俺は強がるのをやめた。

「俺、父さんのことどう思ってたかわからないんだ。母さんが死んでから関係が冷え切ったと思ってた。でも、父さんの弁護士は父さんは俺を愛してたって、そう聞いたせいでもうどうすればいいかわからなくて、俺が父さんをどう思ってたのかもわからなくて。なあ、俺はどう思ってたんだ。俺にはわからない。父さんをどう思ってたのか、これからどうすればいいかわからないんだ」

 自分でも何を言っているのかよくわからない。でもこれが俺の本心なんだ。本当に、わからないんだ。

「…ごめんね。仁がどう思ってたのか、どうしたいのかは私にはわからない。私が話してって言ったのに、ごめんね」

 そう言う彼女の声は本当に申し訳なさそうだった。

「でも、わからないなら一緒に悩んであげる。仁が嫌って言うまで傍にいてあげる。今の私にはそのくらいしかできないけど、できることは何でもしてあげる」

 その言葉は、深く俺の心に響いた。なんの解決にもなってないことはわかっている。でも、それでもほんの少し救われた気がした。

「ありがとう。結花」

 今の俺には、その言葉だけで十分だ。

「…そっか。いつか私も仁の力になれるよう頑張るね」

 彼女の声は申し訳なさそうな声から嬉しそうな声に変わっていた。



 結花の手当てが終わってからも、俺たちは寄り添い合っていた。

「仁、そろそろ遺書読めそう?」

 結花が俺の手を包み込むように握りながら心配そうに聞いてくる。

「ごめん。まだ無理そう」

 それでも、今の俺には遺書を読む勇気はなかった。

(できるだけ早く読んだ方がいいと思ってるんだけど)

 大金のことも気になるし。

「ねえ、少し話そっか」

 そっと、彼女が俺の肩に頭を預けてくる。

「最初、私たちがまだ友達だったころ、私のことどう思ってた?」

 どうって…、

「最初はお前のこと友達としか思ってなかったよ。でも、お前といるとなぜか自然体でいられた。もしかしたら、俺が気づくより前に、お前を好きになってたかもしれない」

 まさか、こんな関係になるとは思ってなかったけど。

「なら、私と同じだね」

 彼女の声に少しだけ涙の色が混じっていて、少し驚く。

「私ね、仁と会う前から何度も自分で自分の体を切ってたんだ。できるだけバレないようにしてたけど、隠し通せなくて、バレるたびに言われたの。やめた方がいいって。そんなことは私だってわかってた。わかってたけど、やめれなかった。そんな私の心を、誰も理解しようとはしなかったし、誰も受け入れようとはしなかった」

  結花の口から発せられる言葉は、過去は、思いは、あまりにも痛々しかった。今まで聞いたことのない彼女の過去。その過去はあまりにもつらかった。

「でも、仁だけは違った。私が切ってるところを見てもやめろなんて言わなかった。確かにその時仁に傷つけられたけど、それでも、私が自分を切っていることを知っても私を嫌わなかったことが、私を受け入れてくれたみたいで、嬉しかった」

 ギュッと、結花が少し強い力で俺の手を握る。俺は空いた手で彼女の頭をそっと撫でた。

「私ね、今が一番幸せ。体は傷だらけだけど、大好きな人が私を受け入れてくれてるから。だから、どんなに傷ついても、私は仁と一緒にいたい」

 なんとなく、彼女がなにを求めているのか、わかった気がする。だから俺はカッターを手に持った。

「…いつもなら、二回目はやめようって言うのにね」

 そう言う彼女の声は少しだけ嬉しそうだった。

「大丈夫だよ。さっき傷つけたところは傷つけない。それに、これが俺たちの関係だろ」

 俺がそう言うと、彼女は嬉しそうに微笑みながらカミソリを手に取った。



 俺の胸の上で穏やかな寝息をたてる結花の髪をそっと撫でる。互いに包帯以外なにも纏っていない分、お互いの体温がいつもよりはっきり感じられた。

「ん…仁?」

「あ、ごめん。起こした?」

「ん…大丈夫」

 そう言う彼女はまだ眠そうだった。

「仁・・・」

 彼女が甘えるように抱き付いてくる。でも…、

「結花・・・あんまり強く抱き付かないで、傷口開くから」

 今だって傷口が開いて血が包帯に染み込んでいくのがわかる。

「…嫌だ」

 そう言うと彼女はより強い力で抱きしめてくる。

「嫌だって、はあ、もういいや」

 全身に鋭い痛みが走っているが、彼女が嫌と言うなら仕方ない。

「そんなことより、遺書読まなくていいの」

 また思い出したくないことを。

「やっぱり読んだ方がいいよ。私も気になるし」

「気になるって…」

 読む気なのか?

「だって私、家族の愛なんて知らないし。知らないことを知りたいって思うのは仕方ないでしょ」

 そう言われると断れなくなってしまう。

「わかった。読めばいいんだろ。読めば」

 それに、今を逃したらもう二度と読めない気がしたから。

「あ、読むなら私も読むからね」

「わかってるよ」

 返事をしながら俺は遺書を手に取った。

『仁へ

 お前がこれを読んでるということは、私はもうこの世にいないだろう。私はお前にたくさん迷惑をかけた。酒に酔って何度もお前を刺したことも覚えてる。謝ったって許されることじゃないことはわかってる。それでもこれが最後だから。最後くらい父親として謝らせてほしい。すまなかった。罪滅ぼしとは言わないがお前のために高額の保険金をかけておいた。それはお前のものだ。家だって好きにすればいい。でも、一つだけお願いがある。結婚指輪だけはお前が持っていてほしい。それは、私と母さんにとって一番の思い出だから』

 遺書はそれで終わっていた。

「なんというか…拍子抜けだな」

 これくらいのことを躊躇っていたと考えると少し前の自分が情けない。

「思ってたのと違う」

 結花も微妙な顔をしていた。

「まあいいか。わからないことも色々わかったし」

 結局、自殺か事故なのかはわからなかったけど。

「とりあえず、明日くらいに婚約指輪探さないとな」

 父さんの唯一の願いだったし。そのくらいは叶えてあげないと。

「今日はもう寝ようか。もう夜も遅いし」

「…その前に」

 そう言う結花の手にはカミソリが握られていて、

「結花、流石に三回目は――」

 最後まで言う前に彼女が頬をカミソリで切ってきた。

「ま、結花!流石に顔はダメだって」

 そうは言ってももう遅い。

「大丈夫だよ。このくらいの傷なら絆創膏で隠せるから」

そう言いながら彼女は俺の頬の傷と同じところをカミソリで切った。

「私たち今まで同じところ切ったことなかったでしょ。これでお揃い」

 …もしかして、結花まだ狂ってる?

「狂ってないよ。でも、私たちは普通と違うんだから。だったら愛情表現だって少しくらいおかしくてもいいでしょ」

 引き裂き合うのも愛情表現みたいなものだけど。そう言って彼女は笑う。今の彼女は正常なのか狂ってるのかよくわからなかった。

(ま、別にいいか)

 俺たちは壊れてる。でも、壊れてるからこそ俺たちは愛し合えるから。

「なら、俺もおかしくなっていいか」

 そう言い彼女の傷口から流れる血を舐めとると、結花がくすぐったそうに身をよじる。

 俺は今、確かに狂っている。でも、今はこんな俺でも受け入れられる。

「じゃあ、私も」

 そう言い、彼女も俺の傷口を舐め始める。

 それから俺たちは、お互いにお互いの血を舐め合った。その光景は、まるで今の俺たちのようだった。



 結局、俺たちの関係は父さんが死んでもほとんど変わらなかった。

「父さん、大丈夫?」

 あれから俺は高校を卒業し、結花と結婚した。もちろん彼女の両親の許可はとっていない。

「俺、少し旅をしようと思う。いつ帰ってくるかわからない。もしかしたらもう帰らないかもしれない」

 だからこそ今日、ここに来た。もう二度と墓参りができないかもしれないから。

「俺はもう行くよ。あの家は友達の知り合いに貸してるから」

 そう言い残し、俺は墓場を後にした。ほんの少しだけ、寂しさを抱きながら。

 


「仁、どうだった?」

「どうって、特になにもないよ」

 別にこれといった思い出もないし。

「そういうことじゃないのに…まあいっか」

 まあいいで済むことなら言わないで欲しい。

「そんなことより、早く行こうよ。電車間に合わなくなっちゃうよ」

 そう言って彼女が俺の手を引く。その手には婚約指輪が輝いていた。

「私ね、これから二人っきりで色んなものを見れることがすごく楽しみなんだ」

 そう言う結花の笑顔は本当にまぶしくて、幸せそうで、こんな子が俺の妻だと考えるだけで胸が熱くなる。

「俺も楽しみだよ。もし帰ってこられなくなったとしても、結花だけは傍にいてくれるって、わかってるから」

「うん。私も仁がずっと傍にいてくれるって、信じてるから」

 それは、俺たちの誓いだった。

 俺たちは普通じゃない。狂っている。だからこそ、これからも互いに求めあって、支えあって、寄り添いあって、傷つけあって、

 愛しあって、生きていく。


                                   




どうも、堤小夜です。ネット投稿は初めてです。

文章を書くのは苦手ですが少しでも読者の皆様を楽しませることができれば嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お父さんの下りがとても泣きそうになりました..遺書からみてもお父さんが後悔してたのがよく伝わりました [気になる点] 切りすぎ [一言] 小川ええ奴
[良い点]  愛とは狂気なのだと思いました。 [一言]  マイナスの自分を受け入れてくれる異性は、欠かせないです。
2016/03/07 07:29 退会済み
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