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イチャラブ生活の為に勇者を助ける方法を考える。

 話し合いをする為に良い場所はないか?ということで、姫さんを先頭に歩き始めた。リンクは俺を心配してからかしんがりを務め、俺はサイファーと仲良く手をつないで歩いている。一応手つないで良い?と聞いたからね。無表情ながらも小さく頷いたから問題いないよね。

 姫さんの後を無言で付いて行っているけど、サイファーと手を握っていることが嬉しくてニヤニヤしながら、本当に男の身体なのか?ってぐらい柔らかく暖かい手の感触を楽しんでいる。今の俺の表情を見たら誰しもが通報の為に携帯を取り出すだろう。ま、ここは異世界だから大丈夫だけどね。


 「・・・タカヒロ。そんな顔をしていると、見知らぬ誰かに通報されて牢屋行き確定だぞ。」

 「ふっ、何を言っているんだリンクは。好きな人と手をつないで歩く幸せを俺は初めて体験しているんだぞ。人の初体験をそんな見知らぬ奴なんかに阻止されるなんておかしいだろ。」

 「確かに初体験というのはその人たちの良い思い出として残るだろう。だが、それが犯罪的な初体験だとしたらそれを阻止するのは人として当たり前の事だろ。」

 「おいおい、それじゃあ今の俺は犯罪を犯しているっていうのか?ただ好きな人と手をつなぎながら人には見せられない様な表情を浮かべているだけじゃないか。」

 「まさにその通りだ。互いの合意の上での行動だからそこに関しては良いが、その表情をしなければ俺も何も言わんよ。」


 そこまで言われるほど俺の表情は危ないのか。深呼吸でもして落ち着いて・・・すぅ・・・ふぅ~。良し、これで問題ないだろう。てか、まだ着かないのかよ。城ってのはでかいことで自分の凄さを表しているんだろうけど、無駄にでかいだけでは意味ないだろ。これ掃除しているメイド達はどんな思いで仕事してるんだろう。


 「深呼吸して元に戻ったと思ってんだろうが、お前の表情全く変わってねぇからな。」






 「この部屋で話し合いをしましょうか。広くて部屋の主は出かけてますし。」と姫さんから言われ室内に入ってみると、さすが貴族の部屋って感じだった。何で?壁の端から端まで20歩ぐらい歩かないとたどり着けないほどの広さって無駄じゃね?しかもこれ何人用だよってぐらいのでかいベッドもあるし。さすがに、全ての部屋がこれってわけじゃないだろうな。これってあれだよね。使用人とかじゃなくて姫さんの部屋とかだよね。


 「ここって使用人の部屋か?てか、無断で入って良いのかよ。」

 「使用人の部屋はここよりも小さくて、複数人で一部屋を使っていますよ。大丈夫ですよ、ここはお兄様の部屋なの誰も文句を言う人はいません。」


 俺の疑問に返事をしながらベッドに「ボスンッ!!」とダイブしながらスーハースーハーしていた。おい、ドレスでそんな格好していると中見えるぞと言おうとしたが、姫さんの下着が見えたからって俺が被害を受けるでもないしいっか。つか兄貴の部屋かよ。確かに身動きが取れないんだから文句を言う奴はいないよな。そんな姫さんを放置しながら俺はベッド付近のソファに座り、ポンポン叩いて横にサイファーを座らせた。そんな俺らを見て溜息を付きながら壁に寄りかかるリンク。苦労人って感じだな、誰だよリンクをこんなに疲れさせてんのは。まったく殴ってやりたいね、おれじゃあダメージ通らないけど。


 「それじゃあ、勇者。嬢ちゃんの兄貴でこの国の王子であるイーリアスを助ける為の・・・おい、嬢ちゃん。あいつの匂いを嗅いでないで話に入れ。お前の兄を助ける話し合いだぞ?というか、そんなにあいつのこと好きだったっけ?」」

 「妹が兄を好きなのは普通ですよリンク様。すみません。つい、匂いに身体が引き寄せられてしまいました。それじゃあタカヒロ様、お兄様に関して何からお話ししましょうか。」

 「勇者自身に関しての情報はいらないからどうやって敵を倒すかについてだな。まあ敵に関してはさっきリンクから聞いた話から推測は出来るけどな。1、物理攻撃無効。2、部屋にある仕掛けを解除しないとダメ。3、間接直接物理魔法問わず全ての攻撃無効。4、魔物?と対話をし交換条件で退いてもらうの4つ思いついたがどうだ?」


 推測を聞いていた二人は黙ったまま俺の方を見ている。おいなんだよ何か言えよ。もしかして変なこと言っちゃった?あれか、バカ発言をした俺に対して二の句が継げないってやつか。くそ、気分悪くなったので隣に座ったサイファーの手をにぎにぎしてやる。あ、もちろん了承をとってからだよ。じゃないとサイファーの機嫌を損ねるかもしれないし。というか、こんなに好きオーラ出してるんだから照れたり蔑んだ顔とかして欲しい・・・。



 「(こいつまじめなのかバカなのか分からないな。)思いついてくれたのはありがたいが、2と4に関しては今まで聞いたことない対処法だな。第一、魔物と会話できる能力持ちってがいたって聞いたことすらねえな。1と3に関しても聞いたことねえが、他に考える余地ないし調べてみるか。」

 「そうしてくれ。まあ推測として4つ言ったが、俺は1の条件で倒せなかったと決めつけていいと思うがな。ここで俺の能力に関して説明しとこうか。リンク、見た方が早いから俺の左手を思いっきりぶん殴ってくれ。もし使い物になれなくても利き手じゃないから支障ないし。」

 「おい、いきなり何言ってんだ?俺らは敵の対処方法に関して話しているんだぞ。」

 「いいからいいから。俺を殴ることで俺の能力も分かるし、敵の対処に関して思いつくかもしれないんだから。」


 俺の無茶なお願いに対して納得がいかない顔をしていたが、殴らなければ先に進めないと思ったのか「後悔すんなよ。動けなくなっても知らねぇからな。」と言いながらハルバードを壁に立てかけ、腕を前に出したままの俺の左手めがけて右ストレートを打ってきた。あ、ちなみにサイファーの手は放してるよ。万が一ってことがあるとね。

 結果は、赤い人が言っていた通り俺の身体は動かず手が腫れることもなく希望通りの能力を持っていることが分かった。いや~少し焦ったわ~リンクのパンチ全く見えねぇでやんの。この世界の人たちって皆こんなに早く動けるのだろうか。ま、攻撃が効かない俺に対しては無意味だから考えるだけ無駄か。

 はっはっは。攻撃を受けても動かない俺を見てリンク自身も驚いているな。サイファーの驚いた表情も見れたから満足だ。


 「・・・タカヒロ。これ、どうなってんだ。説明できるか?」

 「だから、俺の能力見せるって言ったじゃん。俺がこっちの世界に来る前に異世界案内人って人から貰ったのが今の『攻撃の無力化』って奴。どんな攻撃も俺に対して何の影響も及ぼさない。ただ、」


 と言いながら、呆けているリンクに小学生でも避けれるほどの速度で右ストレートを当てながら続ける。


 「俺の攻撃に関しても同様で。殴ったり蹴ったり石を投げたとしても相手に何の影響もないってわけ。さっきも国王に拘束する道具が欲しいって言ったのもこの能力があるから。ま、喧嘩をしたことがないってのも正しいから武器を持っていてもどうしようもないけどね。」

 「は~なるほどな。つまり、タカヒロは敵を倒すことではなく、頭を使って対処するってわけか。ん?でも攻撃が効かないんじゃ道中の敵の攻撃も意味ないんだろ?なのに拘束道具を欲しがったのか?」

 「あ~それは方便ってやつ。攻撃できないんじゃ俺が不利な状況になったときに何もできないからさ、そのための保険てことで。」


 俺の発言を聞いてリンクが黙ってしまった。おそらく今言った「不利な状況」ってのに気づいたようだ。ま、さっきの国王や宰相との会話を見てたんだからリンクも思いつくだろう。勇者を助けた後用済みになった俺に何かしてくるかもしれないし。用心用心。


 「つ~訳で、おそらく勇者が戦ってる敵も俺みたいな無力化能力を持ってるんだと思う。希望的観測だが、魔法攻撃や毒といった状態異常には対処できないんじゃないかな~って思ってる。んじゃこの話を終わらせるためにっと。姫さん、手の空いているメイドを呼んでくれねぇかな。」


 勇者に関しての情報はいらないと言った途端、喋りたくなくなったのかそのままずっとベッドの匂いを嗅いでいた。兄の匂いが好きなのは見て分かるが、現状ピンチ中の勇者の心配してなさそうなんだけど・・・これはブラコンと言っていいものか。話し終わったので、メイドが来るまでサイファーと手をにぎにぎして戯れあった。俺がサイファーの手を何回か軽く握っていると、同じようにサイファーも握り返してくれた。うはっ!相変わらずの無表情だけど可愛い。

 俺の言葉に「少々お待ちください。」と言いながら枕元にあるベルを鳴らした。数分後、扉がノックされ姫さんの了承の返事を聞いたメイドが室内に入ってきた。


 「何かご用事でしょうか、姫様。」

 「私ではなく、タカヒロ様からお兄様を助ける為に準備してほしいものがあるそうなので、それを用意してください。」

 「1、敵に関して記述された書物。2、敵を異常状態にする道具。3、魔法攻撃を使うことが出来る人、もしくは道具。4、保存食といった外で手軽に食べれるもの。5、あるか知らないが体力や魔力?といった戦闘時有利にするための回復アイテムみたいな奴。以上。早く用意した方が良いぞ。準備が遅れるとそれだけ勇者の生存が危うくなるからな。」


 俺の言葉を聞き入れ、急いで準備に取り掛かるメイド。姫さんたちがいる手前何も出来ないけど、一瞬俺とサイファーを睨んでいた。いくら姫からの希望でも王族にあんな態度をした俺の願いを聞いたり、仕事せずにソファに座っているサイファーが気に入らないんだろうよ。俺への対応は気にしないが、サイファーにそれ以上の事をするなら戦争も辞さないぞ。


 「さて、あとはメイド達と宰相の準備が終わるのを待つのみってことで、本題に入ろうか。」

 「本題?タカヒロ様、何かほかに重要なお話がありましたか?メイドを再度呼びましょうか?」

 「いらないいらない。他のメイドがいちゃサイファーの気分が下がっちゃうでしょうが。本題ってのはもちろん。」


 俺は一旦、喋るのをやめて三人の顔を見てからこう続けた。




     「俺とサイファーの今後の生活についてだ。」

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