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国王はもう俺の掌の上

 俺から恐怖を受けることがなくなったからか、動けるようになった騎士と意識を保っていたメイドで倒れた人達を別室に運ぶため部屋から出て行った。あ、サイファーは俺が抱きしめてるからね、ここ重要。

 さて、俺の方も引き続き目的を果たすか。


 「そうですか、条件を飲むことを承諾してくれてありがとうございます。こっちに呼ばれた理由通り、勇者を助けるために尽力を尽くしますよ。助けられなかったら今までの話し合いに何の意味もなかったって訳ですし。」


 ニヤニヤしながら言う俺を見る国王は「ぐぬぬ」という顔をしている。いや、おっさんがやっても誰特だよ。


 「話し合いの途中で色々あったのでまずは今まで俺が言った条件をまとめますね。勇者を助ける条件として、1、住む家が欲しい。2、日常で着る服が欲しい。3、俺専属のメイドを欲しい。ここまでは良いですよね?」


 俺の確認に対して頷く国王。まあ、今言ったのはどれも簡単なものだからここで渋るような態度は出さないでしょ。まあ、出したとしても止まるつもり一切ないですけどね。


 「3の専属メイドに関しては言わなくてもいいと思いますが確認としてサイファーを指定させてもらいます。続いて4っつ目ですが・・・」

 「ま、待ってくれ。専属メイドまでが貴方の条件ではなかったのか?」

 「なに言ってるんですか?俺はまだ『これで終わりです。』とか『以上ですがよろしいですか?』という具合に話を締めてなかったじゃないですか。メイドを条件として入れる話をしている最中に貴方がいきなり笑い出したんですよ?まあ、安心してください。勇者を助けるのに必要なことですので。」


 国王は反論するつもりで口を開きかけたが、勇者を助けるのに必要だと聞き無言のまま俺に続きを促してきた。


 「勇者ですら倒せない敵がいてそいつの足止めにより現在も迷宮の中にいる。そいつに関しては俺が何とかできるんだろうとは思いますが、勇者と接触する前に他の敵に俺が殺されるかもしれない。何分、戦いというのに縁がない暮らしをしていたので。ですから、俺の為に必要なのは戦う武器ではなく相手を少しの間だけで良いので拘束できる、そんな道具を用意してください。」

 「・・・なるほど。確かに君は『勇者を助けることが出来る存在』として呼び出されたが、それが『戦って敵を倒せる存在』というわけではないということだな。使えない武器を持っていても邪魔だから、拘束道具を使い相手が動けないうちに横を通る戦法で行くんだね。分かった、用意しよう。」


 ふぅ~。ここまでは問題なしっと。あとは、こっちで生きる為に最も必要な物を貰わないとな。

 ただ、今だって俺への印象なんて最悪と言って良いほどなんだけど、この条件を言うと急降下間違いなしだろうな。この町で暮らしていくつもりではあるけど、まあ何か問題が起きたら違う町に引っ越せばいっか。


 「それじゃ次が最後の条件となります。・・・あ、その前に、少し聞いておきたいことがあるんですが良いですか?宰相殿。」

 「・・・何だ。」

 「先程宰相殿が仰っていたように、この世界の常識が全くないんですよ。でですね、この世界の通貨に関して先に聞かせてもらいたいと思いまして。」


 今まで私に話しかけてこなかったのに、何か企んでいないだろうな。という様な顔をしながら俺を睨んだが、国王が余計なことを言うなと宰相にアイコンタクトしてくれたおかげで何も言われなかった。よかったよかった。何か言われても返しを思いつかなかったんだよね。


 見た方が早いな。これを見ろ、と言いながら懐から財布らしきものを取り出して中身を出しながら説明を始めた。


 「・・・この板をバンと言い、バンが50枚で1ギョウになる。この玉がギョウだ。ギョウが20個で1バーになる。この棒がバーだ。バーが100本で1セートになる。この紙がセートだ。一般家庭で月20バー暮らせる計算だ、無駄遣いしなければの話だがな。」


 ん~商品と一緒じゃないとわかりづらいな。20バーで一か月暮らせるとなると、バー=万札で当てはめて20万円ってことかな?玉を20個集めると1万円分ってことは1ギョウ=500円か。ということは、板を50枚集めて500円ってことは1バン=10円か。ん?つまり100バーで1セートを日本円で計算すると1セートは100万円ってこと?!怖!!あんな紙切れが日本で言う札束と同じとか。


 「なるほど、ありがとうございます。因みに宰相殿の月々のお給料を聞いても宜しいですか?」

 「・・・それを言う必要があるのか?」

 「はい。この城で、しかも上役の方の給料がどれくらいかを知りたいのです。それを知っていれば、俺が働く時の目安となりますので。」


 絶対に言いたくないという表情を作っているが、国王に睨まれたらしく嫌々ながら「1セートだ。」と言い放った。お、おう。俺の計算が合ってるなら一月の給料が100万かよ。さすが城で働く肩書き持ちは違うってことか。


 「さすが、宰相殿ですね。一般家庭が5か月も暮らせる程の給料を頂いているなんて、王族の方々からの信頼が厚い証拠ですね。では、その情報を踏まえて最後の条件を言います。勇者を助け、城に連れ戻した日から給料を頂きます。金額は1セート25バーを毎月支払ってください。これらの条件を全て飲んで下さるのなら早速勇者を助ける手段に取り掛かりますが、よろしいでしょうか?」


 俺が暗算したことに驚いているのか、俺が提示した金額に驚いているのか。まあどう考えても後者だな。国王は引きつった顔をしていて、宰相は茹蛸みたいに顔を真っ赤にして怒りマックス中。そうだよね、自分は苦労して働いているのに、勇者を助けるだけで毎月自分よりも高い給料を貰おうとしてるんだから。


 「・・・タカヒロ君。君が提示した金額は理由でもあるのかい?出来れば、もう少し減らしてくれるとありがたいんだけど。」

 「そうですね3つあります。勇者を助けた後は、城ではなくサイファーと一軒家で暮らす事になる予定ですが、先立つものがなければ成り立たないということ。この世界の人では勇者を助ける事が出来ないのを代わりに俺が行うので、危険手当ということ。宰相の悔しい顔を見たいがため。この三つですね。」


 俺のドヤ顔を見た宰相が我慢の限界を超えたことで、大声で俺を罵倒してきた。大声を出すかなと思ったのでサイファーの耳が傷まない様に両耳を手で塞いでおいた。サイファーが、なに?と言っているかのような表情をしながらこちらを見て来たので、心の中で悶えていたのは内緒だ。宰相の喚き声が止み静かになったのでサイファーの耳から手をどかして宰相を見ると、国王に殴られていたww


 「うるさい、これ以上私の機嫌を損なわせるな。タカヒロ君。君の5つの条件を全て飲むことを誓うよ。では、私は自室に戻らせてもらうから、後の話は宰相やミラテリア達と相談してくれ。」


 この場にはいたくないという態度で国王が去っていった。残ったのは俺と敵対していない三人と宰相のみ。俺もこの場所にはいたくないのでどっか連れて行ってもらうとするかな。


 「じゃあ、宰相殿。空き家のリスト、仕立て屋、サイファーの雇用条件の変更、相手拘束道具の手配、俺の給料の手続きをお願いします。じゃあ、姫さん。姫さん?大丈夫か?この場でこれからの事を話したくないからどこかに移動したいんだけど、いい部屋ない?」


 

勇者を助ける条件がやっと用意されていきます。


ところで、宰相って誰だろう。

こんなキャラいなかったんだけど。

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