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ただいま、サファイア!!

サファイア編の前にタカヒロの帰還を挿入します。


 手の上で立ち上がった妖精がこの世からおさらばするかのように頭から地面に向かって落ちて行った。

 けれど無意識なのかどうなのか知らないが、あと少しで地面というところで背中に着いた四枚の羽根が動き出し、ふわっと優雅に地面に降り立った。

 こいつ、何がしたかったんだ?


「なあ、リンク。さっきも聞いたんだが、ここでの目的は果たしたってことでOK?」

「ん?ああ、そういえばそうだな。この妖精がいれば勇者の呪いを解くアイテムが見つかるかもしれないってことだからな」

「そうかそうか・・・。じゃ、城へ帰るか」

「・・・タカヒロ。ここは『な、お前男だったのか!!呪いの所為だからってあんな美少女になっていたとは。まあ男の方も顔立ちは良いが、呪いが解けずにそのまま美少女になれば俺が貰ってやるのに。』とかなんとか言う場面じゃないのか?」


 ・・・うぜぇ

「・・・うぜぇ」

「ひど!!」

「あ、声に出しちゃったか。すまん、つい本音が出てしまった」


 俺の発言によって凹んだのかしゃがんで指で地面に何か書いている。つか、今の言葉からそんな凹む理由が分からないんだが。こんなの男友達なら普通じゃね?


「タカヒロ!リアスにひどいこと言うなよな。こいつは王子だから今までちやほやされて生きてきたから精神攻撃がすごい効くんだよ」

「勇者の何倍もうぜぇ・・・。ん?なんかお前の方がひどいこと言ってる気がするのは気のせいか?」

「はいはい、コントしてねえでさっさと帰るぞ。ユリウスはそこで落ち込んでる奴を担いでくれ。タカヒロは妖精が逃げない様に紐でも結んでおいてくれ」


 俺も俺だが、リンクも大概だな。いや、これがいつも通りの三人の日常なのかもしれないな。そこに俺という新キャラが入ったからリンクが余計に雑に扱っているのかもしれん。

 つか紐なんてねぇよ。仕方ない、掴むか。


「ぎゃっ苦しい!おい黒髪!!さっきからオイラに対して色々失礼じゃないか!!それにそこの短髪もそうだけど、オイラを『妖精』と呼ぶんじゃなくて『ザイル』と呼べよ。まったく。これだから人間はマナーがなってない」

「短髪ってのはリンクの事か?つかお前だって俺たちの事を『黒髪』だの『短髪』だの呼んでんじゃねえか。マナーがなってないのはお互い様だろ」


 タカヒロも私の事「勇者」と呼んでるじゃないか…と勇者がブツブツ言ってるがスルー。

 そんな勇者を慰めようとするが拒否られてしまい俺に対して文句を言う杖男も華麗にスル―。

 勇者は肩書きなんだから別にいいだろ。ほら、会社でも「社長」とか「課長」とか肩書きで呼ぶことあるし。


 リンクに注意されたにもかかわらず俺、勇者、杖男、妖精のコントがまた始まってしまい、ついにリンクから雷を落とされた。


「てめぇらいい加減俺の言うこと聞きやがれ!!!!」


 え、なにあの武器。雷発生させるとか魔法具だったのか?でも、敵を攻撃しても効果なかったって言ってたけど。

 あ、こいつさっき渡した短剣を指で挟みながらハルバード持ってやがる。たぶん短剣に残ってた魔力がハルバードに吸収されてことにより魔力無しのリンクにも使うことが出来たんだろう。

 まあ、これは俺の予想だけどさ。何で吸収できたのかは知らん。

 でも自分の武器のスペックぐらい調べておけよ。





 リンクのお叱りを受けた俺は軍隊の訓練性なみの従順さを出しながらリンクの後ろをついて行った。勇者と杖男はリンクの前に立ってポップしてくる敵をばっさばっさ倒している。時折リンクの機嫌を確かめる為に後ろをチラッと向くが顔を青くしてすぐに前に向き直って敵を倒す作業を続ける。リンクは俺の方を一切向かないからどんな表情をしているのかわからないけど、おそらく般若みたいなんだろうな・・・。


 リンクが怖いからかさっさと迷宮を脱出したい気持ちを持ち、早足で移動しながら敵を倒すことで三日で通った道を一日半で迷宮の入り口に辿り着くことが出来た。一度休憩を挟んだ時は戦えない俺はともかく、リンクも手を貸さないでゆっくりしていた。

 ボスとずっと戦っていた二人も疲れがピークなんだろうけど、敵を倒さないと身動きが取れないので、交互に休みを入れて敵を倒していた。

 最初から戦いの役に立たなそうなザイルもリンクが怖いのかずっと俺の肩に乗ってぶるぶる震えている。


 そんなこんなでとても速く迷宮から脱出することが出来た。久々に日の光を浴びたからかさっきまで恐怖の対象だったリンクが晴れやかな表情を浮かべているのを確認した俺たちはホッと溜息をついた。


「んで、ここから二日かけて城に戻るってことで良いんだよな」

「そうだな。私たちもどれくらい迷宮にいるか分からなかったから馬車で来なかったしな」

「リアスリアス、疲れたら言ってくれよ。負ぶってあげるからさ!」

「お前は男の姿の勇者でも関係なく好きなんだな・・・」

「リアス言うな。ったく、確かに疲れてはいるがたった二日歩くだけだろ。それに城までの道のりで出てくる敵は弱いから平気多少油断しても問題ないだろう(それに負ぶってもらうならタカヒロの方が・・・)」






 城への道のりでは勇者がちょくちょく俺に話しかけてきたが興味を持てなかったので最初はスルーしていたんだが、その度に落ち込む勇者の姿がうざかったので、適当に返事を返すことにした。助けたお礼なんて一回で十分だろうに。そんな何回も礼を言うほどにやばい状況だったのだろうか・・・?


 勇者は、返事を返したことで機嫌がよくなり再び話しかけてきた。


 笑顔になった勇者を見て喜んでいる杖男だが、勇者が俺にしか話しかけないので勇者を取られたと思っているのか睨んできてる。え~勇者とかどうでも良いんですが。むしろ立ち位置を交換してほしいんだけど。


 そんな俺たちを少し先に進んでいるリンクは無反応。なんか最初にあった時と今では性格っていうか、対応っていうか、なんか雑になってきてないか?

 まあ、城にいた時からリンクに迷惑をかけていたことは自覚しているけどさ。勇者と杖男にもそんな態度をとっていて良いのかな。仮にも旅の仲間なんじゃないの?






「着いた―!!!!!!!!」

「おー人間がいっぱいいるー!!!」

「お前らうるせぇ!特にザイル。耳元で叫ぶんじゃねえ!!」

「まあまあ落ち着けよタカヒロ。迷宮でどうなるか分からなかった状況が解消されて、やっと安全な場所だとわかる所に辿り着いたんだ。大目に見てやれ」

「そうだよタカヒロ。それにユリウスが言ってなかったら私が大声を発していたかもしれない。まあ、あそこまで大声を出すことはないと思うが」

「そうだよタカヒロ!町だよ?安全地帯だよ?城下町だよ?テンションが上がるのは仕方ないんだ!!」

「そうだタカヒロ。妖精は人間と滅多にかかわらないからこんなにたくさんの人間を見るのは珍しいんだぞ!!」

「あ~うざいうざ・・・そうだよ!城下町。つまり目と鼻の先には城があるじゃないか!!」

「あ、やば」

【お、なんだ。タカヒロも超ご機嫌だな】

「ん、どうかしたのか?タカヒロは何かに気付いたようですごくテンションが上がっているように見えるんだが」

【うるせぇ。えっと服は汚れてないかな。髪は跳ねていないだろうな】

「さっきまでテンションが下がっていたのはお前の話を聞いていたからだろう。で、ユリウスの『城下町』発言であることに気付いたからテンションが上がりまくっているんだ」

【ん?服をパタパタ叩いて何してんの?】

「(私の話でテンション下がって・・・)ふむ。でタカヒロがテンションが上がるモノがここにあるのか?ただの城下町だろ」

【あ~くそ、鏡なんて持ってないし、スマホがあれば少しは確認できるのに】

「タカヒロの言葉聞いてたか?城下町はただのきっかけで目的は『城』だ」

【【すまほ?】】

「城?」

【仕方ない。ボロボロなのは勇者を助ける為に頑張ったという証として気にしないことにしよう】

「ああ。城にはタカヒロの大好きな・・・」

「(よしそうと決まれば)たーだーいーまーサーファーイーア!!!!!!!」

「うは!タカヒロ、すっごく元気!!」

「あわわわ、いきなり走るなよ。おち、落ちちゃう!!」

「周りの奴らが何事かとびっくりして走り抜けているタカヒロを見ているな。ま、あんな珍妙な行動をしている奴がいるんだ、仕方ないか」

「いきなり走ったと思ったら、なんかすごい笑顔を浮かべているな(サファイア?)」



 俺が無事に戻ってこれたことをいち早く知って貰うために大声を発しながら全速力で城に向かった。

 疲れる。これはすごく疲れる行動だが、俺の帰還を心待ちにしている(希望的観測)サファイアに少しでも早く喜んでもらうにはこれが一番だろう。


 さあ、もっと早く!サファイアの元へ!!

ザイルとユリウスのキャラ似すぎじゃないか?


最後の「」はリンクとイーリアス。

【】はリンクたちの前でユリウスとザイルとタカヒロで話しています。


読みづらいかもしれません。

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