赤ちゃん国会
英国政府は『揺りかごから墓場まで』の保障をする、社会福祉国家を目指した。
しかし、このスローガンに異議を申し立てる者がいた。揺りかごなんて時代錯誤も甚だしいと。
同意する者も多数いたので、急遽赤ちゃん国会が開かれた。
赤ちゃん国会は、国内で生後数ヵ月のうちに言語を解し、また言葉を話始めたエリート乳児たちによって成り立つ、赤ちゃんのための国会である。
国会が開催されると共に、すぐに議論はヒートアップした。
「今の時代、揺りかごなぞ使っている赤子がどこにいるものか」
「全くその通りだ。政治家の大人どもといったら、我々にも劣る頭脳の持ち主のようだな」
「大体、あのスローガン自体が高圧的にも思える。まるで自分達のおかげで国民が生きていけるんだと言っているような……」
話は横道に逸れることも何度かあったが、大体はすぐにまとまった。
そして、赤ちゃん国会から国会へ議案書が提出される。
国会は議案書の内容を考慮し、スローガンを変更した。
新スローガンは『ベビーベッドから墓場まで』である。
なお、中身は何一つ変わっていない。
結局、エリートでもおつむは子供でした。