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高校生ホームズの推理メモ  作者: るどるふ
第二章「白紙の入部届」
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六、解決策の探し方

 定期テストまであと四日。テスト週間の最後の二日間は土日である。すべての生徒がこの二日間を追い込みに当てる。追い込み、ということはそれまでに授業の復習であったり、重要事項のピックアップなどは終わっていないとおかしい。つまり、今この瞬間も、学問を生業とする高校生にとっては一分一秒無駄に出来ない瞬間なのだ。


 しかしながら……。


「じゃあ、来週の月曜までに、その探し人を見つけないといけないわね」


 ミス研部長である彩が、我が決意や硬し、といった表情で言った。ここ、ミス研の部室に集まっている面々は、一分一秒を無駄にしつつ、定期テストよりも難しい問題に挑もうとしていた。


 実際、意気込んでいるのは彩だけで、六郎や有里紗は巻き込まれている、といった方が正しい。


「まさか辻戸先輩、さっきの手がかりだけでその探し人を見つけるつもりですか?」

「まさか、芦屋くん。 私がそんな浅はかに見える?」


 浅はかには見えないが狡猾には見える、という言葉を六郎が飲み込んだ瞬間、彩が続けて言った。


「見つけるつもり、ではなく見つけてもらうつもりよ、あなたに」

「浅はかには見えませんが狡猾に見えます」


 今度ははっきりと、そう言った。



 新入部員(予定)のゆりが白紙の入部届と一緒に放り込んできた依頼は、尋ね人の捜索だった。昨年、ゆりが失くしたものを交番に届けてくれた、朱陽高校の制服を着た生徒。手がかりは……。


「線の細い、文学少女、だったわね? 楠木さん」

「さすが聡明なお姉様、もう特徴を覚えていらっしゃるなんて!」


 それを特徴と呼ぶかどうかは別として、そこからどんな手を使って本人を見つければいいのか、六郎には皆目検討もつかない。そこへ、有里紗が口を開いた。


「全学年のクラスをまわって、痩せてる女の子に、『あなたは去年、交番に落し物を届けましたか?』って聞いて回るとか?」

「朱陽高校の各学年は七クラス、全学年になると二十一クラスを回るのは人海戦術を使っても厳しいわね」


 彩が答える。そもそも人海戦術を使えるような立場にない為に、部員を募集しなければならなくなったミス研には、その作戦は厳しいものに思えた。仮に、クラスの数が三分の二になるとしても……。


「差し出がましいようですがお姉様、対象になるのは全部で十四クラスでは?」


 ゆりが言った。いつの間にか、手元にはメモ帳が広げられ、机の上に筆箱が出されている。7✕3=21と書かれた後で、21という数字に大きく✕が書かれ、その横に−7と追記されている。見ると、メモ帳にも、筆箱の中のペン一本に至るまで、楠木ゆり、と名前が書かれている。だいぶ几帳面な性格のようだ。彩と有里紗は、ゆりの発言に対し、不思議そうな表情を浮かべている。


「去年在席していた生徒が対象だから、今の一年生は調べる必要がない、ということです」


 六郎が言うと、彩と有里紗は同時に「あ」という声を上げた。


「更に言うと、探し人が去年の三年生や、転校していった生徒の場合、それを見つけるのはとても難しくなります」


 そもそも、探し人の情報が少なすぎる。それと──


 六郎には、どうしても引っかかっていることがあった。今回の人探しとは直接的な関連はないだろう、と思いつつも気になっていることが。


「楠木さん、ちょっといいかな」

「なんでしょうか」


 六郎がゆりに声をかけると、キッと睨むような視線で、かつ敵意むき出しですと言わんばかりの仏頂面で答えられた。怯みながらも、六郎は尋ねる。


「楠木さんが投げ込んでくれた入部届なんだけど、あれは正式に受理していいのかな?」

「えっ、でもあれは……」


 有里紗が口を挟んでくるのを、六郎は目で制する。


「そうですね、興味本位で書いてみたんですけど、素敵なお姉様もいらっしゃいますので、正式に入部させていただきます」


 そう、ゆりは言った。六郎は続けて尋ねる。


「ミス研にはもう一人、吉田真史よしだ まきしって部員がいるんだけど、楠木さんは知ってる?」

「いいえ、誰ですか? 神聖なる女の園に、まだ男の部員がいるんですか!」


 六郎は後半のセリフは聞き流しつつ、思いがけず推理の糸口を見つけたことに驚いた。





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