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第一話 不幸を呼ぶ………。

 私は飛び起きた。

 

 何故飛び起きたのか………。まだ胸の辺りにあるこの煮えたぎるような怒りと憎しみ…………。

 

 夢で何故こうも苦しまなければいけないのだろうか………。

 

 あれを夢だと割り切るのは簡単だが現実味がありすぎた………。とてもそんな簡単に片付けてはいけない気がする。

 

 こんな日に限って………。

 

「はぁ、着替えるか。」


 冷や汗だろうか、ビッショリになっているパジャマをきたまま、タンスから下着、クローゼットから制服を取り出す。

 

 着替えを持ち階段をトントンと小刻みに降りて行く………が、ズルッドスンッバタンッゴンッ!!


「いった〜!!」

 

 今日に限って階段を踏み外した。しかも最後に頭までぶつけたし。

 

「今日は厄日かな……。」 

 

 うっすら涙を浮かべ、ボソリと独り言を漏らしながら両親がいる部屋へ行く。 


「父さん、母さん。おはよう。」


「ああ、おはよう。大丈夫だったかい??また階段から落ちたんだろう?」

 

 ニッコリと笑いながら広げた新聞を閉じる。毎朝必ず見ている所が何だかオヤジみたいでヤダ。


「あんまり大丈夫じゃないかも………。」


 父さんの問いに苦笑いをするしかなかった。


「お父さんも言ってくださいよ。この子はもう少し落ち着いて行動すればドジ踏んだりしないんですよ。」


 (………いやー、あれは不可抗力でしょ。)と思いつつもなんだか自分が悪いような気がしてきた。


「母さん、朝ご飯用意しといて、シャワー浴びて来るから。」


「はいはい。」


 何気なく見たテレビでは丁度占いをやっていた。


『今日の一位は乙女座。一日何をやっても失敗しないでしょう。いつもアンラッキーな人もラッキーな日を過ごせます。ラッキーカラーは………』


 ………占いなんて………。


 とりあえず挨拶を終えてシャワーを浴びに行く。


 こんな汗だくのまま着替えるなんて考えたくない。

 

 シャワーを浴び汗を洗い流し、何となく鏡を見てみたりすると、いい体付きだと思う。………なんて自分で言い出したらナルシス確定だなと自虐してみたり。

 

 風呂場を後にし、そそくさと着替えを済ませる。

 

 今日は何だかついていない。なにが起こるか判らない中、のんびり着替えなんかしていられないと心底思う。

 

 制服を掲げてみると毎日着ていたこの制服とも今日でお別れと思うとなんか哀しくなった。

 

 思い返せばいろいろな行事なんかも殆どこの制服を着てやったのだ、思い入れがあるが、明日には近所の小学生にあげてしまう。

 

(!、っとヤバいヤバい………。思いでに浸っている場合じゃない。早く着替えを終わらせよう。)


 シャツのボタンをはめ、スカートを履こうとし、足を引っ掛けてそのまま前に倒れていく。


「ぃやぁ〜〜〜!!!」


 見事に顔面をぶつけた。そして丁度タイミング悪く父が来た。


「美鶴〜、早く準備しなさ………。パンツ見せて何やってるんだい?」


 私の体制は顔面うつぶせにお尻をあげ、膝断ちの状態。 ハ、ハズいぃ〜〜〜!


「あ、あぅぅ………痛い………。」

 

 朝からとんだ災難続きだ。 このままいくともう一度ありそうで怖い………。

 

 着替えを終わらせる頃には私が予想していたより二十分も遅れていた。

 

 おかげで頼んでおいた朝ご飯も冷えていた。

 

 なんだかやるせない気持ちになってきた。

 

 朝ご飯を片付け終え、歯磨きにいく途中に奇妙な声を聞いた。

 

『まだかい?もういいの?始まるよ?君の………が。』 


「なっ!?」


 その声は頭の中に響いたと同時に右目に激痛を感じた。


「ぐっ!ぐぅぅっ!!な、なんだ!?」


『始まるよ………。イクシス………。』


「な、んだ…と?」


 痛みに頭が回転しない。イクシスって………。 痛みに体がふらつき仰向けに倒れる。


「どうしたんだ美鶴?……なっ!!これはっ!!!…くっ!母さん!!美鶴を見ててくれっ!!私はアレを取ってくるっ。」


 私は薄れゆく意識の中父さんの真剣な所を初めて見た。 


「美鶴………。頑張って!」 


 母が手を握ってくれる。それだけで痛みが安らいだ気がした。


 私は母に見とられ意識を失った。




 気がつくと居間にあるソファの上に寝ていた。 ゆっくり起き上がると回りには父さんと母さんは居なかった。


 顔に異物感を感じ触ってみた所、革のような手触りだったが、自身をうつす物は見当たらないので部屋を移動した。


 隣りの部屋には父さんと母さんがイスに腰掛けテーブルを挟んでうつむいていた。


「なにしてんの?」


「美鶴!!………大丈夫かい?」


「うん。それより今何時?私どれくらい気絶してた?」


「大丈夫だ。まだ五分しかたってない。まだまだ間に合う。所でまだ眼は痛むかい?」


「えっ?」


反射的に右眼に触れようとし、革のなにかに触れる。痛みの事などすっかり忘れていた。


「それは美鶴の右眼を封じる物だ………。外したりしないでくれ。」


 父さんの真剣な表情に驚いた。


 それから少しの間沈黙したが、耐えきれなくなったのか母さんが口を開く。


「………ほ、ほら。早く用意しましょ。」


「そうだね。美鶴には帰って来たら眼の事を話そう。」 


 そう言った父さんの顔にはいつもの笑顔が戻っていたが何となく不安げな顔つきだった。 



 もう不幸なのは今日だけではないと何となく判った。



 この右眼は不幸を呼ぶものだと………。


どうも夜杯です。毎回文章が下手ですいません。ですが下手なりに自分の物語が伝わったらなと頑張っています。こんな私ですが最後までお付き合いくださる事を願っています。

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