第四話
――ピピピピピ!
目覚ましが鳴った。
「う、う〜ん……」
手を伸ばし目覚ましを探す。
――ピピピ……ピ。目覚ましを止めるとまさは体を起こした。
「ふぁ〜〜……」
大きく伸びをして周りを見渡した。
いつもの部屋。何の変哲もない自分の部屋だけど、どことなく違和感を感じた。
違和感の原因を探そうとし、寝ぼけ眼のままで部屋をもう一度見渡した。
違和感の原因はすぐ分かった。枕元に置いてある靴下が膨らんでいたのだ。
「えっ!?」
すぐにまさは靴下を調べた。
中には飴玉やチョコが一杯詰まっていた。靴下を逆さまにして飴玉とチョコを全部出すと、一枚の手紙もひらひらと落ちてきた。
まさは手紙を拾い、中を読んでみた。
『まさ君へ。まさ君へのプレゼント確かに渡したよ。ただ何も物が無いのは寂しいと思ったのじゃから、飴玉とチョコを置いて行く事にしたぞ。これからは毎日笑顔で過ごすのじゃよ。メリークリスマス! 夢の中のサンタより』
それを読んだ瞬間にまさは夢での出来事を思い出した。
(あれは、ただの夢何かじゃなかったのかな?)
そんな事を考えていると。下から母の声がした。
「雅之、ごはんよ〜!」
その声を聞いてまさはビックリした。いつもなら怒鳴るように呼ぶのに今日は普通の、一般的な呼び方だったからだ。
「は〜い!」
まさはサンタが願いを叶えてくれたかもしれないと思って、期待しながら一階に降りた。
そして朝食の時間になった。願いが叶ったかどうかは、その時は分からなかったけれども今日はいつもと違った。
いつもならご飯は一人一人で食べたりするのに今日は家族全員が揃っていた。少しぎこちないが、両親が笑いながらご飯を食べているのだ。
いつもは顔を会わせる度に喧嘩しかしなかったのに。
まさはそんな両親を見て嬉しくなり、つい。
「おかわり!」
と、笑顔で大声を出してしまった。
そんなまさを見て両親は一瞬ビックリしたが、すぐに笑い出した。
キッカケは些細なこと。だがそれだけで十分だ。近いうちにまさの願いは完璧な形で実を結ぶだろう。
それをずっと維持するかどうかは、また別の問題。
だがしばらくの間は絶対に大丈夫であろう。なんせサンタに貰ったものなのだから。
家族という名の絆『幸せ』を手に入れたこの家庭に。
――メリークリスマス!!