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第三幕 教祖 知恵の魔法使い

「おぉ、愚かなる神よ、我々はいくらでも貴方に弓を引こう

私は全ての光と世界に復讐する者であり…であるが故に、私と志を同じくする智天使の血肉を喰らったのだから」


 祭壇の上で両手を天に掲げ、男は嗤っていた。

 それは神を冒涜する自らの愚かさを嗤っていたのか

あるいはこれからその元へ赴き自ら殺さんとする神そのものを嗤っているのか

それは今となっては誰にもわからない、それは男をその時やっと見つけた下院自身も深く知ろうとはしないだろう。


「素晴らしい製圧力だ、流石は総ての魔法の仇敵、薔薇十字に仕える勇者達よ」

 男…ウェルダ教教祖もふと祭壇へ続く階段を見下ろして、下院の姿を確認すると袖に隠れた両手から光を放つ。


「薔薇十字騎士団もあくまで復讐者の集まり、お前と同じく総ての幻想と現実に嫌気がさし

暴力と攻性魔術によってそれを他者にぶつけるしかない愚昧かつ蒙昧な人種と言える。

しかしそれはお前も同じだ、その対象が魔術師(ひと)であれ、神であれ…」


 下院はゆっくりと階段を一歩ずつ昇りながら教祖の言葉に返して言葉を重ねて行く。


「俺とお前は同じ人種なんだろう?ウェルダ・エアリアルマスター」


「その呼び名も、もうすぐこの世界から失われよう…私はこれから人間の肉体を捨て

多神教の指すところの神と呼ばれる存在へと至った後、『あちら』の世界で戦争を起こす

そして然るべき条件さえ満たせば、彼の唯一神に裁きを下すことも可能となるだろう」


 ウェルダの言葉を聞き、下院はそれが彼の妄言などではないことを確信する…しかし


「何故そう言い切れる?人類史上あちらに行ってこれた者の中で

誰か一人でもそんな事が出来たのであればもうとっくに世の中の仕組みは変わっているはずだ」


 下院はあえてその計画を一笑に伏す形で嘲笑う、彼の成さんとしていることは解る

しかしその動機が解らない、下院にとってはそれが不可解で不気味なのである。

教祖がそんな手に引っ掛かるほど愚かではない事も下院は既に分かっている。

他の騎士団員が此処までたどり着けないのも一足先に地下施設の裏口に回って破壊活動を行っていただけにすぎない。

その他のルートは儀式が始まった瞬間には既に閉鎖、更には複雑な距離増幅結界が作動してしまっている。

―事実上の一騎打ち、果たしてこれはこの男の思惑通りなのか…―


「高い…」


 教祖の言葉に、下院は耳を傾ける。


「既存の神の居場所は余りにも高い、それが故に、我々人類の受けた『意味』

自覚なき運命に縛られた存在のみが存在するこの世界になってしまっているのではないか…そう思ったのだよ

例えこの世に存在する死さえも意味があるものであるならば

果たして、己の成すべきことを成し切れずに非業の死を遂げて行った人間はどうする

そして世界に絶望し、見飽いて、昇華した魂は私の手(リザレクション)を以ってしても救う事は出来ぬ

何と残酷で、絶対的な神の理だとは思はないか!!」


 ふ…と笑ったのは双方同時だった。


「成程…ウェルダ教は元々教祖を神と崇め、その信仰の力で『死の超越(メトセラレーション)』を行おうと研究をしている組織と聞いていた

納得がいった、つまりはお前のつまらないエゴの為に教団はわざわざ十字教に喧嘩を売ったのか

合点がいった、道理でこの組織はどいつもこいつも戦闘慣れどころかやる気と言うものがお前以外空回りしているわけだ

もう少し抵抗があってもいいと思っていたものだが、そう言うことか」


「いずれ皆蘇らせよう…神のように気紛れなどではない、信仰と言う己の利益のみで求めるものでもない

総ての人間が蘇り、そして死と言う概念も消滅する…そこにあるのはこの私と言う神の管理する楽園(エデン)だ」



 カツっ! と、強い足取りで下院は祭壇の最上階に立った。

その表情はつい一瞬前までの穏やかな物ではなく、明らかな敵意を教祖に向けた復讐者の目だ。


「呆れたものだね、ウェルダ・エアリアルマスター」


「…何?」


 下院はどさりと手に持ったトランクを落とす。


「先ほども言ったがそれはお前のエゴだよウェルダ、そして強い破滅願望に過ぎない

だいたい神が一々人を救って何になる、神にそんな力とやる気があったところでそれに甘んじて生きるのは俺は御免だ

魔術師が…それ以前に人間と言うのはそう言う生き物だと、お前は誰よりも知っている筈なのにな」


「なればこそ、我が手で運命を…せめて高みから神を蹴落とすまでも」


 教祖が言いかけたところで、下院はジャリン!!と、トランクから取り出した剣で教祖へと斬りかかり

教祖はその両袖の光を剣のように伸ばして、両手の光剣で下院の剣を受け止めた。


「誰もが救われ、誰もが幸せになる光景が見たいならば

神は世界など作らずに一編の物語でも書けば良いんだ、だが俺たちは神の駒でもキャラクターでもない」


「ふふははは!!薔薇十字の騎士よ、お前は本当に私と同じであるようだ

ならばもう言葉はいらない、どちらが正しいかは互いの魔導によって決めようではないか

正義が勝つ?違う、勝ったものが正しい理を持つ者だ!!」


 教祖は光剣をレーザーのように下院に向けて放つが、下院はとっさに剣でそれを反らして避け互いに距離をとる。

続けて教祖の両袖には再び光が灯り光剣が姿を現す、そして其れを祭壇の間の壁に向けて放つ。

祭壇の間は広い、物理法則を無視して地下に開けられた大空洞に無理やりピラミッドを詰め込んだような外観となっている…

その材質は下院とてうかがい知ることなど出来なかったが、恐らくは『そう言う材質』なのだ…下院は即座にトランクから独鈷を5つ取りだして上空に放り投げる。

 二本の光剣は反射して勢いを増しながら祭壇の間中を縦横無尽に飛び回った、


「物理結界は邪道だと思うが、そうは言ってられないかね…!!」


 禁!!(キン)と、五本の独鈷の先端が下院の周囲で規則正しく並び、二重の正四面体となって下院の身を護る。

しかし光剣は既に文字通り光の速さで祭壇の間中を飛び回っており、その速度のまま結界に衝突して強い衝撃を下院に与える。

 其れに加えて、眼前には新たに生み出した光剣を振り被る教祖の姿…

下院はトランクから今度は二本の蛮刀を取り出し…


「ふんっ!!」「でぇや!!」


 その二本で教祖の光剣と飛び回る光剣の二本を受け留めた。

そして…パァン!!と、光剣は総て弾け飛んだ。


「!?…くっ…恐ろしいな、その剣…贋作か?」


「あぁ、良くできた贋作、ティソナとコッラーダ


異教を狩るもの、元々はその異教の武器だが使い方を誤らなければ違う教派の術式を粉々に分解する」

 二つの剣を宙に浮かせて、下院はポケットの中から長い長いチェーンを取り出す。

挿絵(By みてみん)


「神を名乗り、神にさえも本気で戦争しようって相手に出し惜しみする気はない

たった二人の魔法使いを助けられなかったときに俺は誓っていた

神の盾であれと、神すら叩き伏す盾であれと!

救えなかった、あの女に救いのない未来を用意してしまった責任を果たせと!!

故に、俺はお前も容赦なく打ち倒す、良いなウェルダ・エアリアルマスター!!!!!」


「出し惜しみ?する必要はない、私も神の最強の盾である貴様に油断などもってのほかだと思っている

ならば見せつくすしかないだろう、『知恵(コクマー)』の魔法使いである私の力、説くと知るがいい!!

下院・クロウリー・無明!!!!」


 下院の蛮刀と教祖の光剣が交差し、次々と火花が上がって行く。

 知恵の魔法は他の魔法とは異なり、使用者に大いなる円環の知恵…観測された魔術センスをもたらすものである。

 祭壇を構成する術式が魔法でない以上は下院でも勝てない相手ではない…しかし

下院が懐から放った鎖、幻想を現実に重ねる召喚魔術によって呼び出された鉄竜を教祖はその片手の一振りで凌いだ。


「自らも魔法と化していたか、それがお前の出した答えか!!」


「これは手順であり戒めだ、私は失敗を許されてなどいない…私の後にはもう一人の魔法使いを…ジュリアを置いている

バックアップにしてもジュリアは覚醒すら済ませていない、だからこそ…私は自らの手で神を屠る!!」


 神に敵対する覚悟を持った二人の殺陣は続き、やがて下院の剣筋が鈍って行く。

 魔法と魔術…それも魔法と化し幻想種、神に近い存在となった教祖に体力が追い付くわけなどない。

ましてや下院が得意とする召喚魔術は

 人間としての魔法使いには有効だが、神に敗れる運命にある竜で神に勝てる道理はない。

 片膝をついた下院に、教祖は語りかける。


「薔薇十字の若き騎士団長よ、これで最後だ…」


「…一つ、聞きたい事がある」


 それで尚コッラーダを向ける下院に、教祖は光剣を向けながらもその動きを留める。


「何かを殺す事によって得られる未来があるなら…その先に世界の望むものが何がしかあるとするならば

罪を背負ってでも、かなえなければならない事なのか?」


「これは君の言う通り私のエゴだ、どれだけ取り繕おうが

…それに罪は罪だ、許される事ではないだろう

私の手で、罪を背負った先に…楽園があるとするならば、私の手でそれを成そう」


 下院はコッラーダを手放し、祭壇の間に乾いた金属音が響く。


「合点がいった…」


 それでも下院の視線は教祖を貫いていた。


「その罪、俺が背負おう」


 下院の手には、刃のない剣が握られていた。

 教祖がその剣を認識し、驚愕に目を見開いた時には…勝負はもうついていた。


「ラハット・ハヘレヴ・ハミトゥハペヘット…本物の、智天使の剣か

お前が犠牲にしているのは、お前の対に巻き込まれるものではなく…お前自身だったという事か…」


 教祖の躯には幾筋もの火の線が上がっていた。

 それは恐らく、下院の剣の効果なのだろう…節理の存在しない魔術で総ての魔術回路を焼き切られた痛みを内臓に感じながら、教祖は祭壇を下りて行く…

祭壇の最下層には、教祖を見上げるジュリアの姿があった。


「私は……見ての通り、奴により消される……。

故に神化(しんか)はお前に任せる。私に代わって…」


 教祖はジュリアの頭に手を伸ばすが、ジュリアはその手をパァン!と払いのけた。


「もう、私は貴方の人形じゃない!私は彼についていって、色々教えてもらうの」


「裏切るというのか?今までお前を育ててきた私をっ!」


 憎々しげに言う教祖に、ジュリアは叫ぶように応えた。


「貴方には……何も教わったことなんて無い。

人の温もり…愛すらも!」


 ジュリアの言葉に、フ…と笑みをこぼした教祖は、両の手に大量の光剣を生み出しては集束させ二つの光球を作る。


「どこまでもニンゲンに成りたがるか!

……ならばお前も連れていく!」


「…っ!!待てウェルダ!!」


 光球は弾け飛び、祭壇の間から総ての照明が消えた…

やがて、ポツ…ポツポツ…ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ!!

と、光剣が周囲に現れてくる。

 その数は数十…数百…数万…数億…元の何倍にでも数を増していき

フ、ハ、ハ、ハ…!!!と、強く悲しい嗤い声とともに教祖はその両手を祭壇の間全体に向けた。


「邪魔しないで!」


 ジュリアがそう言って教祖を留めようとした時にはもう遅い、祭壇の間の内壁を満たす程の光剣の一つがチュン!!とジュリアの足元に当たり反射して天上へと飛んで行く。

 やがて二つ目、三つ目…やがて数百…やがて総ての光剣が一斉にジュリアと下院へ降り注いだ。


「ブルンツヴィークの魔剣よ!!俺たちを護れ!!!」


「無駄だ、貴殿の作る贋作ではこの『魔法』は防ぎきれない

さぁ降り注げ、『雷光の万華鏡』!!!」


 下院はなりふりかまわず祭壇から飛び降り、ジュリアの身をかばう為あらかじめ持ってきていた魔術の外套をかぶせる。

 教祖の身のみをすり抜けて魔力の塊は絶えず降り注ぐ、彼のいうと折りそのすべてを防ぐことは不可能だった。


「っぐ!!」


 ブルンツヴィークの守護魔剣、ティソナ・コッラーダ、三つの魔剣を用いてもその質量をすべてカバーできず

ジュリアをその隙間からカバーするようにその身で魔力を受け止める。


「団長さん・・・っ!!!」


「くそ、そろそろ魔力も限界か…切り札で仕留めなかったのがまずかったかね…」

 下院のこめかみから血が滴る、それは教祖の放った魔力によるものではなく自身の魔力不足の所為である。

ラハット・ハヘレブ・ハミトゥハペヘットは下院の奥の手であると同時に多くの魔力を喰う諸刃の剣であった。

 しかし今こうして教祖が倒れず、残る力を『雷光の万華鏡』の起動に当てられたのは下院の慈悲によるものだった。


「何故私を殺さなかった、そうすれば今こうして私の最後の足掻きを食らわずに住んだものを…」


「殺すことに躊躇したんじゃない…この子に、ジュリアに会う機会を残しただけだ

俺は所詮偽善者だ、これも当然の報いだろう」


 教祖はそれをあらん限りに下院を嘲笑った。


「ふははははは!!ならば君は私の手によって共に消えるというわけか!!!

ジュリアに世界を教えることもなく、愛も教えることなく!!」


「死なせたりは…しない!!」


 その時、ジュリアに変化が生じた。

 被せられた外套がパキパキパキ…と、音を立てて光に分解されていく…


「これは…威光……威光(ケテル)の魔法か…!?」


 そして分解された外套は両腕を翻したジュリアに正しく着直される形で再構成される。

それはもはや贋作ではなく、伝説にある魔女神(フレイア)の外套そのもの

 下院はジュリアにとってはじめて知った外の世界そのものの化身である。

いまだ愛すら知らないジュリアにとってそれは何物にも変えがたいものであり、その存在の死は

今まさに終わろうとしている教団と運命を共にすることを示す。

 ジュリアは本能的に、大いなる円環から流れてくる言葉を紡ぐ。


「主よ、憐れみたまえ

預言の権能に記された1番の白色球たる王権によって、奇跡(まほう)は遍く精神と意思によって顕現せり

故に片割れにして最後の剣メタトロン、ここに降りて汝に祈る者を守護する事を誓いたまえ」


 ジュリアの全身から目を覆わんばかりの光が溢れ、祭壇の間を包み込む。

光はその中に溶かしていくように、遅い来る光剣を分解させていき…やがてすべてが飲み込まれていった。


「ねぇ、教祖様…貴方にはとても嬉しくない事かもしれない…でも、私…自分で決められたんだよ

誰かに教えられることでさえ、生きることでさえずっと教祖様に…教団の皆にしてもらってた私が…」


「…私のバックアップにもなれない、出来損ないの魔法使い(にんぎょう)が何を言うか!!!」


教祖は再び祭壇のスイッチに手を置き、ありったけの魔力を注入する。

再び祭壇の間中に無数の知恵の光剣が灯る、しかし体中の魔力回路を焼ききられ、奥の手を一度使った教祖は

下院と同じ、否、それ以上に多くの箇所から出血する。

 そして再び飛び交い始めた光剣もすべて、いつの間にか切り分けられて空中に四散した。


「ジュリに手を出すことは、私が許さない」


 凛とした女性の声を、銀色の剣が発した。

 ジュリアの手に握られた、剣先のない長方形の刀身の剣…ある国の王冠を現すとされる威光の剣(カーテナ)


「教祖様、貴方のことが私は好きでした…ずっと伝えられなかったけれど、私は愛とは違う感情で

ニンゲンとしての感情で…貴方に、お別れを言わせて…

ゴメン…教祖様……」


「くっ……私が…!」


「私は…あの人についていくの!」


バアアアァァァァァァァァァ……………ァン

祭壇の間を包む威光の光から、無数の落雷が教祖の体に降り注いだ。



すべて終わった…立つのは最早雷に全身を打たれ生きてるかもわからないまま立ち続ける教祖と下院の二人だけ…

ジュリアは初めての覚醒ゆえか、同じように力尽きた黒い子竜の天使を抱いて意識を失っていた。


「グ……ぁ…はっ」


 全身を火傷と炭化した肉に覆われた教祖の口から、黒い煙が咳と共にあふれ出す。

 教祖はもはや最後の力を振り絞り、下院と…愛しいジュリアを見る。


「……私の妄執から解き放たれたか、魔法まで……覚醒するとは、余程気に入ったらしい…」


「やはり、ジュリアを試して…いや、本当は覚醒することも知っていたな?知識の魔法で…」


 下院の言葉に答える様子もない、最早教祖の体は足元から塵の用に細かい塩と化していくだけだ。

それが、神となった教祖の末路だった。



「幸せを掴め…我が娘のような…………ジュリア……」



 眠るジュリアの頬を撫で、教祖は塩の柱と化してその場に崩れ落ちた。


「娘のような…馬鹿を云うんじゃないよ」


下院は祭壇の間の天井を、それよりもまず上を向いて呟く。


「お前だって本当は、ジュリアの父親に成りたかったんだろうが…っ」


下院の囁きは誰にも聞こえることも、観測されることもなく

ただ…祭壇の間の反射だけが、その言葉を繰り返し呟いていた。

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