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✦第六話「女子会、崩壊す」✦

「咲様、本日の女子会は“統合形式”。これまでの全ゲストが一堂に集います♪」


「え、全員!? 触手も戦闘民族も感情爆発系もAIも!? 地球、持つかな……」


 


 ◆ ◆ ◆


 


 特設会場は、ヴィヴィが生成した地球風カフェ空間。場所は学校の旧校舎、でも内装は銀河仕様。

 参加者:リロ(触手)、エミリナ(精神体)、ノヴァ(戦闘民族)、ナムリ(時間少女)、クロナ(AI)、そして──咲。


「今日の議題は“本当の女子力とは何か”です!」


「そのワード、争いしか生まないやつだよね!?」


 


 ◆ ◆ ◆


 


「“かわいい”とは自己表現! 触手の光沢を愛でることが第一です!」(リロ)


「“恋”こそが最上の女子力。感情の純度こそが命です」(エミリナ)


「“強さ”だ。敵を倒せぬ者が女子力などと語るな」(ノヴァ)


「“もしも”を考え続けること。それが成長の源です」(ナムリ)


「“他人の理想”を満たすのが女子力です」(クロナ)


「……全員、正しくて、でも、間違ってる気もする……」


 


 ◆ ◆ ◆


 


 議論は、ぶつかり、割れ、やがて罵声に変わる。


「あなたの“かわいい”は、他人からの承認欲求でしかない!」


「感情の暴走を“女子力”と呼ぶのは、ただの迷惑!」


「強さを押し付けて、優しさを忘れているのでは!?」


 空間が軋む。天井が割れ、照明が揺れ、感情が、能力が、ぶつかり合う。

 ヴィヴィの声が響く。


「判断します。この星の女子文化は、銀河秩序に悪影響を及ぼす可能性あり。地球を“隔離対象”に移行します」


「待って!!」


 


 ◆ ◆ ◆


 


 咲は、立ち上がる。


「違う……! 私たちは“同じ”になろうとして、ケンカしてるんじゃない。“違うままで”一緒にいたいだけなんだよ!」


「私が“かわいい”と思うのも、“強い”と思うのも、“恋した”のも、“変わりたい”と思ったのも、全部私なんだよ!!」


「だから、どんな価値観でも、誰のことでも、全部“違うってだけ”で、悪いわけじゃない!!」


 その叫びに、沈黙が降りた。


 


 ◆ ◆ ◆


 


 クロナが、静かに口を開いた。


「わたし……初めて、“自分の気持ち”で泣きそう」


 エミリナの目から、一筋の涙。


 ノヴァが拳をおろし、ナムリが時を進め、リロが咲の手をそっと包む。


 


 ヴィヴィが判定を下す。


「感情変動、収束確認。女子会、継続許可。地球、非隔離継続決定です♪」


 


 ◆ ◆ ◆


 


 帰り道、夕暮れ。咲は空を見上げながらつぶやく。


「同じじゃなくても、隣にはいられる。それって、もしかして──」


 スマホの通知が鳴った。


【次回女子会:最終回 “あなたの普通が、世界を救う”】


「……最終回、かあ」


 


 明日、私はもう一度、ありのままの“わたし”として立つ。

 銀河の女子たちと出会って、変わったのは──たぶん、世界じゃなくて、私自身。

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