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沈む皇室  作者: 弓張 月
4/12

千田ふきの衝撃告白2

まず、この「なろう」に慣れていないため様々なことがあり、ご迷惑をおかけしています。

「沈む皇室」は二つあるんですね

一つにするやり方をしらないので、皆様には2つの「沈む皇室」を読んでいただきたいのですがエピソードの順番が

1 ラストエンペラーの死

2 大喪の礼 

3 大宮御所

4 雲井宮の嘆き

5 帝を品定め

6 千田ふきの衝撃告白1

となっています。


千田ふきは后宮の母君です。

彼女の衝撃告白が死後、週刊誌に載ったというお話です。

「そのうち、宮内庁の和泉という者から連絡がありましてよ」

ふきは思い出した。

先日、教会のミサに出た時にいきなりこう言われたのだ。

その夫人は大層な家柄の方らしいが名前は知らなかったし、いきなりそんな風に言われて驚いたし、一瞬言葉も出なかったし。

「あの・・どちら様」

その夫人は扇子を広げて口元を隠し

「和泉の妻です。教区はこちらではないけど密命を帯びて来たのです。だから追い出さないでくださいませね」

夫人は笑った。口元は隠していたけど目はすっかり楽しんでいた。

ふきが言い返そうとした時にはもういなかった。

「宮内庁御用掛けを務めております。和泉信一郎と申します」

彼は明るく帽子をぬいで挨拶し、名刺を出した。

「妻は密命に成功しましたか」

この背広は英国屋で仕立てたものね。ネクタイも舶来ものだわ。まあ、靴まで。

ふきは一瞬のうちに相手を観察し、間違いないなく和泉信一郎だと確信した。

小柄であるが、上品な、どこか雲の上にいるような雰囲気を持っている。

「先日は驚きまして、奥様にご挨拶もせずに」

「いやいや、わざとそうして貰ったんです。妻は面白がってね。昔からそういう人なんです。でもやはり奥様は妻の言った通り、国際色豊かな方だ」

「え?」

ふきは何の話かと思ったが手伝いの子が

「お入りになって頂いては」と

珍しく口を出して来たので、はっとして家に招き入れた。

「ご立派なお屋敷ですね。西洋館とは。外からみるとおとぎ話の中のようです」

「私の希望を入れて建てて貰いました。長らく外地にいたので」

そう、三角屋根でフランス窓がありながら縁側もついているという、外側からは完全な洋館ながら和も取り入れているこの屋敷はふきの誇りだ。

「上海でしたね」

何気なく和泉が言った。

そんな事まで知っているのか?

これは侮れないとふきは緊張した。

暖炉とピアノがある応接間には午後の光がさして、ますます夢のような世界になっていた。

「お座りください」

ふきは、ソファを勧め、帽子を受け取って手伝いに渡した。

「和泉様は私どものことをなんでもご存じですね」

不機嫌な口調だったか、和泉は恐縮して頭を下げた。

「このような無礼な形でお目にかかることになり、大変申し訳ございません。

本来ならご当主とお嬢様がおいでになる所でお話すべき事ですが、私は先に奥様とお会いしたかったのです」

和泉は運ばれてきたお茶をぐいっと飲み干した。

ふきはベルを鳴らして、お代わりを言いつける。

再び二人きりになってから、今度はふきが質問した。

「どうして先に私と」

「妻いわく、娘は母の鏡だと」

思わぬ答えに思わずふきは苦笑した。

「奥様に忠実でいらっしゃる」

「いや、尻に敷かれっぱなしですよ」

和泉も笑った。

「でも奥様にお会いして確かにそうだと思いました。なので思い切って奥様には真実を申し上げます」

和泉はお代わりのお茶が注がれる間は黙っていたが、さらに切り出した。

「私は宮内庁御用掛けでございます。これは何と申しますか、臨時雇いのようなもので。

皇室のオモテやオクから相談を受けた時にご意見を申し上げる。そんな役割でございまして。

東宮様は18歳で成年の儀を挙げられたのですが、同時に始まったお妃選びが全く進行しておりません。もう6年ですかね。東宮妃となれば将来の后宮ですから庶民のように簡単に決めるわけにはまいりません。

無論、帝や后宮様のご意向も色々お聞きしておりますが今回はそれだけでは事は済まない状況なのです」

「それはどういう・・・」

「ええ、本来東宮妃は皇族、華族の中でもさらに上位の家から選ばれます。后宮様は皇族出身。先帝の后宮様は五摂家出身というように。宮内庁もそういう形で妃選びをしてきたのですが、それではダメだと。どういう風にダメかと申しますと、実は・・・GHQが絡んでおります」

「え」

ふきは思わず驚きの声上げた。

皇室に関心はないふきではあったが、まさかGHQが妃選びに口を出すとは予想もしなかったのだ。

「東宮はアメリカのクエーカー教徒の夫人から教育を受けています。その理由は東宮様が右傾化しないようにとの考えがあります」

「右傾化・・右翼のことですか」

「そうです。あの戦争は右翼というか国粋主義による戦争犯罪であるとGHQは見ております。皇室の存在そのものが実は「国粋」なのですが、ご存じのようにGHQは帝を廃さず残しました。しかし、完全に国粋主義者を消す為には、皇室の国際化がふさわしいと思っているのです」

「ちょっとお待ちくださいませ。右傾化とか国粋とか女の私にはさっぱり」

「戦前は帝は現人神で万歳といって兵士は死んでいきました。再びこの国が軍国主義にならないようにとGHQは目を光らせているのです」

軍国主義。

ああいやな言葉だ。上海にいた時は気づかなかったけど私達の国の兵士たちは違う民族にどれ程ひどいことをしてきたか。

民主主義という自由を手に入れた今は再びあのような時代には戻りたくないと思う。

でも、皇室そのものが「国粋」であるなら存在を消す方がよかったのではないかしら?

それを見ぬいたように和泉は言葉を続けた。

「マッカーサーですら帝の威厳には立ち向かえなかったのですよ。アメリカには王室がありません。心の中では羨ましいのです。帝の名の元に国民が一つになれるということが。だからこそ、戦争に負けてもこの国は滅びず、復興が順調に進んでいる。そうは思われませんか?」

ふきは言葉を失った。

「復興は帝のお陰とおっしゃるんですか」

「まあ、そう言えるでしょうね。戦後、コメ不足に陥り国民が怒り「コメ騒動」に発展した時も帝が第二の玉音を発する事で収まりました。全国巡幸の旅で帝は「人でありながら国民の父たる存在」となったのです。奥様には不本意のようですがそれが事実です」

「でもそれと、うちの何の関係がございますの?」

話は漸く本題に入りそうだった。




最近パソコンを買い替えたら「なろう」に入れず苦労に苦労を重ね、やっと書けるようになりました。

新しいパソコンは便利でありがたいのは事実ですが、機械オンチには荷が重いです。


さて、やっと「千田ふき」さんの話が始まりました。

戦後10年以上が経った時代です。

高度経済成長期が始まる頃、西洋館に住むとかめちゃお姫様なご家庭だった女性。

彼女が出た大学の敷地には、后宮様のお屋敷が残っている・・というのも皮肉な話ですよね。

当時、庶民とお金持ちというのはわりとはっきりしていて、女性の大学進学率はヒトケタ。

男性でもエリートな家柄の人でないと大卒は・・という時代です。

そんな時代に女子大出て家事手伝いして、テニスが趣味のお嬢様。

お蝶夫人(古すぎて誰も知らない?)か?

彼女が世の中に出てきたとき、漫画が現実になったようで女性たちが騒いだ気持ちはわかります。

けれど、本当にそれでよかったのか?

滅びの始まりではなかったか?

と私は思っています。

令和の今も国民は毎日「大谷」でごまかされているけど、その背景には見せたくないものがあるということをよくよく考えないといけませんよね。

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