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第48踊 週末、女子3人と水着売り場で青春する話


突然の誘いで、僕は郊外のショッピングモール、しかも水着売り場という男には明らかにアウェイな場所に来ていた。


隣でキャッキャとはしゃぐ宮本いづみが、この事態の張本人である。


発端は、家でのんびり授業の予習をしているときに届いた、グループLINEの通知だった。


いづみ:「ねぇねぇ、みんな、あの約束覚えてる?」


佳奈:「約束?なんかしたっけ?」


いづみ:「ほら、クラスマッチのときのやつだよ~!秋渡くんが何でも言うこと聞くってやつ!」


秋渡:「……覚えてません」


咲乃:「私は覚えてるわよ」


佳奈:「わたしは忘れてた!ありがとう!なにさせよっかね~ふふふっ」


確実に佳奈は忘れていただろうに。


いづみが余計なことを言い出すから、変な流れになるんだ。


そうこうしているうちに、いづみが「夏休みにみんなでプールや海に行こうよ!」と提案し始めた。


たしかにそれは悪くない。


青春の匂いがする。


みんなその提案にノリノリで、早速計画を立て始めた。


だけど、いづみの提案はそれだけでは終わらなかった。


いづみ:「ということで、秋渡くん、週末買い物に付き合ってくれるよね?だって、何でも聞いてくれるんでしょ?」


佳奈:「お買い物でいいの?もっと秋渡に変なことさせてもいいのに」


いづみ:「いいの!だって秋渡くんに水着を選んでほしいから!」


……ちょっと待て。


僕がいづみの水着を選ぶ?何それ、聞いてないぞ。


当然ながら佳奈も咲乃も驚き、食いついてきた。


佳奈:「それ私も行きたい!」


咲乃:「当然、私も行くわ」


いづみ:「だーめ!これは私のお願いなんだから!」


ところが、ここで頭の切れる咲乃が仕掛けてくる。


咲乃:「秋渡、言うこと聞くのよね?だったら私も参加する権利があるわ」


佳奈:「じゃあわたしも便乗~!」


こうして、女子3人と僕という地獄の買い物ツアーが決定した。


ヒロキングは練習試合で行けないらしい。


そして、今。


水着売り場で女子3人が楽しそうに水着を選びながら騒いでいる。


どうしてこうなったんだろうな、と天井を見上げる僕。


「秋渡くん、これどうかな?」


いづみが持ってきたのは、白地に淡いピンクのドットが散りばめられたビキニだった。


肩紐と胸元にはふわふわとしたフリルがついていて、とにかく可愛らしいデザインだ。


どちらかといえば、大人っぽいよりも元気でキュートな雰囲気が強い。


彼女の明るく無邪気な雰囲気にぴったりだ。


「あ、ああ、いいんじゃないか?」


「じゃあ試着してくるね!」


いづみは嬉しそうに試着室へと向かう。


そして数分後、カーテンが開いた瞬間、僕は思わず息を飲んだ。


天真爛漫な彼女に似合う、可愛らしいビキニ姿。


それだけならまだしも、彼女のスタイルが強調される形になっていて、視線のやり場に困る。


「どうかな?可愛い?」


笑顔で聞かれて、僕はなんとか言葉をひねり出す。


「い、いいんじゃないか。似合ってると思う」


「秋渡、わかりやす~い!」


横から佳奈がにやけながら茶化してきた。


「顔真っ赤なんだけど~!ねぇ、それってえちぎりじゃない?」


「なんだよ、えちぎりって!」


僕が慌てて反論すると、今度は咲乃が追撃を仕掛けてくる。


「ねぇ、秋渡。さっきから胸ばっかり見てない?」


「見てない!全然見てない!」


「嘘ね。さっきから挙動不審だったわよ」


バシッと足を蹴られる。


しかも、結構痛い。


「いってぇ!なんだよ!」


「まったく。次から気をつけなさいよ」


どこか頬を赤らめながらそう言う咲乃。


なんなんだ、この状況は……。


次にいづみが選んだのは、真っ赤なワンピースタイプの水着だった。


肩に大きなリボンがついていて、さっきのビキニとは全然違う印象だ。


「赤ってどうかな?派手すぎるかな?」


「いや、全然いいと思う。似合うと思うよ」


「ほんと?じゃあこれも試着してくる!」


再び試着室に消えるいづみ。


そして、現れた彼女は、赤い水着の華やかさが際立ち、さっきとはまた違う魅力を見せていた。


「ちょっと背伸びしてる感じじゃない?」


「いや、それがいいと思う」


「ふふっ、ありがと!」


その笑顔にドキッとして、思わず目を逸らしてしまう。


なんだこれ、男子高校生にはきついぞ。


最後にいづみが選んだのは黒のビキニだった。


白い肌に映える黒色は、どこか大人びた雰囲気を醸し出している。


「これ、どうかな……?ちょっと大人っぽすぎるかも」


「いや、いいと思う。黒も似合う」


「ほんとに?」


「ほんとだよ」


そして、試着室から現れたいづみの姿に、僕は完全に言葉を失った。


黒の水着が醸し出す色気と彼女の無邪気さが混ざり合っていて、視線を逸らせない。


「ど、どう?」


「す、すごく……似合ってる」


「ふふっ、ありがと!」


僕の赤くなった顔を見て、また佳奈が突っ込んでくる。


「秋渡、ほんと顔真っ赤だよ~!そんなに見てたらダメじゃん!」


「見てない!いや、ほんとだって!」


「嘘よ」


咲乃がさらに蹴りを入れてくる。


「じゃあ、この3つの中から選ぶね!」


満足げないづみと、それを見て「次は私たちの番」と目を輝かせる佳奈と咲乃。


僕の試練はまだまだ続きそうだ。

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