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第4踊 もう1人の放送委員 高塚咲乃

先生の進行のもと、委員会はスタートした。


まず各学年で指定された席へ座るよう指示された。


するともう1人の放送委員、高塚咲乃さんと遭遇した。


高塚さんはどちらかというと大人しめの女の子の印象だ。

クラスで1番小柄であり、黒髪ショートであることから黒猫を彷彿とさせる。


ここはクラスメイトでもあり、放送委員の仲間でもあるため仲良くしておくにこしたことはないだろう。


僕は少し心を落ち着かせてから高塚さんに話しかけた。


「高塚さんだよね?同じクラスの片桐秋渡です」


「やぁ、私を置いていった薄情者の片桐くん」


この子は一体何を言っているんだ。


「えーと……もしかして教室で待っててくれてた?」


「なんで初対面の君を私が待たなきゃいけないのよ。頭大丈夫なの?」


どうやら頭の心配をしてくれたらしい。

とても優しい女の子だ…………いやいやいやいやいや。


この子は一体何をいっているんだ。


待ってたのに置いていかれたから薄情者ならまだ分かる。

しかし待ってないのに置いていかれたから薄情者だと言われる筋合いは無いはずだ。


ここはしっかり抗議しなければなるまい。


僕は隣の席に座る高塚さんに向かって抗議をしようと話しかけたが思っていたより大きい声が出ていたようだ。


「あのね、たか…」


「そこの君、静かにしてもらってもいいかな」


「はい、すみませんでした」


先生に軽く睨まれて怒られてしまった。


隣の高塚さんはというと、どこ吹く風という顔をしていた。


許すまじ。


これじゃクラスで1番横柄な女の子じゃないか。


前の席の宮本さんも振り返ってクスクスと笑っていた。


「それでは今から放送委員の仕事を説明します。放送委員の主な仕事は昼休みの校内放送と清掃時間の放送になります。昼休みは生徒にとって憩いの時間。そこを校内放送で楽しめるようにするのが我々の仕事になります。といっても最近は音楽を流してるだけですけどね。プリントを回しますので目を通しておいてください。」


前から順番にプリントがまわされてきた。


プリントをもらおうと手を伸ばした時に手が触れた、むしろ触れられた気がしたが気のせい……だよな。


何気なく前を向くと宮本さんが恥じらいのある顔をしていた。


「…………えっち」


「いや、ちがっ……」


「そこの君、二度目だよ。静かにしたまえ」


「あ、すいません」


また怒られてしまった。宮本さんをみるといじらしくニヤニヤしている。


やられた。


女の子に慣れていない純情男子を手のひらで踊らして楽しんでやがる。


なんとかヒロキングみたいにあしらわないとな。


すると隣の席から冷たい視線を感じた。


高塚さんである。


「片桐くん、クラスの品位が下がるから。そういうの、辞めてもらっていい?」


「え、あ、ごめん」


なんで僕が謝らされているのかわからないが謝ってしまった。


こういう時無意識に謝ってしまう自分が悲しいよ。


高塚さんは僕に興味をなくしたのか黒板の方を向いてメモを取り始めた。


僕もメモを取ろうと思い、学生鞄からメガネケースを取りだしメガネをかけた。

世界が鮮明になり、世界が広がった。


僕は視力がいいほうでは無い、むしろ悪い方だ。普段はメガネをかけずで過ごしているが授業中や集中するときはメガネをかけるようにしている。


なぜコンタクトにしないのかって?

目に指を近づけるのが怖いからだ。


筆箱からシャーペンを取りだし、配られたプリントにメモを取ろうとしたらまた隣から視線を感じた。


高塚さんである。


「片桐……メガネかけるんだね」


なんで呼び捨て?まぁいいけど。


「目がよくないから昔から授業中とかはかけるようにしてるんだ」


「ふぅーん。そうなんだ」


次の瞬間、僕の見ていた世界から鮮明さが失われた。

そう、メガネを高塚さんに奪われたからだ。


メガネメガネ(3_3) …とするほど目は悪くない。

そして僕はこの短期間で学習していた。

今騒いでしまったら先生に怒られることを。


僕は冷静を装いつつ高塚さんを見た。


高塚さんは僕のメガネをかけていた。


「あのー……高塚さん?」


「片桐のくせに生意気。これは私がしばらく預かっておくから。感謝するといいわ」


いや、最後ニコッてされても困るのだが。


どうして僕が出会う女の子は変な子ばかりなんだ。


先生のお話が終わった頃にメガネは僕の手元に返された。


おかえり、マイメガネ。


次はいよいよ各曜日の担当決めだ。




ちなみに高塚さんのメガネ姿は僕より似合っていた。悔しい。

でも可愛いかったから許す。

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