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双子の弟と間違えて告白された

作者: にくきゅう


「あ、あの、先輩! 今お時間よろしいでしょうか……!」


 ガチガチに緊張しながら声をかけてきたのは、1つ年下の後輩だった。


 名前は佐渡陽菜(さわたりひな)。ふわふわしたミルクティー色の髪に大きな目をした可愛い女の子だ。

 俺の所属するサッカー部のマネージャーで、学年問わず人気のある子だ。


「うん、いいよ。どうしたの? 部活のこと?」


 彼女との接点は部活以外にないので、部活に関することかと思ったが首を振られた。どうやら違うらしい。


「えっと、その、ここだとちょっと……。なので、場所を移動してもいいですか!」

「え? あ、うん」

「ありがとうございます! 案内するので着いてきてください」


 今日の彼女は妙に勢いが強いというか、気合が入っている。俺は一体何をさせられるのだろうか……。


 彼女の案内でたどり着いたのは校舎から離れた道場の近くだった。校舎から離れていること、伸びてあまり手入れされていない植木があり、昼間でも薄暗くなっていることから、ベンチがあるにもかかわらず今の寒い時期に人が来ることはそうそうない。


 廊下からわざわざ場所を移したのも、人に聞かれたくない話だったからなのだろう。

 それなら旧校舎の方が人は来ない。もし人に聞かれたくない話をするならそっちの方がいいだろうに。まあ彼女がいいというのならいいか。


「それで、話って一体――」

()先輩! 実は相談に乗って欲しくて!」


 ん? (ともえ)

 俺の名前は朝凪(みなと)。巴は俺の双子の弟の名前だ。確かに俺たちは一卵性双生児だから似ているが、あの佐渡が間違えた? 入部当初からなぜか今まで一度も間違えなかったあの佐渡が?


 驚きのあまり、俺は巴じゃない、と否定するのが遅くなったのが良くなかった。俺が否定するより早く、佐渡が爆弾を落とした。


「実は私……。み、湊先輩のことが好きで……!」


 は? なんて?


「そ、それで巴先輩に助言をいただきたいなと思って! あ、も、もちろんお礼はします! 巴先輩に千鶴を紹介しますし、部活中にもパシリでもなんでもしますので、どうか……!」


 今、湊先輩が好きって言った? 巴ではなく?

 何かの冗談かと思ったが、顔を真っ赤にして緊張している様子から本気なのだと察した。


 えっ、大変なことを聞いてしまったのでは? いや、でも間違えた佐渡が悪いんじゃないか? 俺が告白を聞いたのは完全に不可抗力だ。


 とりあえず、今この場で俺が巴ではなく湊だって話そう。


「えーと、佐渡。俺は――」


 いや、いや待て。

 もしだ。もし、俺が湊だと今この場で話したとする。佐渡は俺のことを巴だと思って告白したわけだ。それが本人に伝わっていると知ったらどうなる?


 パターン①

「み、みみみみみ湊先輩⁉︎ き、聞かなかったことにしてください‼︎」


 そのまま背を向けて逃亡。気まずすぎて避けられる。部活の雰囲気が悪くなる。


 パターン②

「……私、巴先輩って言いましたよね。それなら最初に間違えてるって気づきましたよね。それなのに私が勘違いしたままなのを伝えなかったんですか……? ひ、ひどいです……最低です……ぐすっ」


 泣いて罵られる。この一連の出来事が学校中に広まり、俺の学校生活はひそひそと陰で言われ続けることに……。


 パターン③

「……なーんちゃって! 実はドッキリでした!」


 全て無かったことになり、元の部員とマネージャー、先輩と後輩の関係に戻る。※なお、確実に戻れる保証はない。


 パターン④

「じ、実は告白の練習でした! わ、私が好きなのは巴先輩で……! 湊先輩も同じ顔だからちょうどいいかなぁって!」


 って……。


「さすがにそんな最低なこと言わない……‼︎」

「へ?」

「ああ、いや、なんでもないよ。こっちの話」


 パターン④は確実にないにしても、他が最悪すぎる!

 部活内で空気が悪くなるなんて最悪だ。気まずいままサッカーするのも嫌だし、変な噂が広まるのも嫌だ。それに何より、巴だと思って告白した彼女が傷つくのも見たくない。


「ええと、湊のことで相談に乗って欲しいってことだよね、うん。全然いいよ」

「ほ、本当ですか! ありがとうございます! じゃあ早速なんですけど――」


 そのうち告白しに行くよう勧めればこの関係だって終わるはずだ。それまでは巴のフリをしておこう。


 今日は好きな食べ物や好きな女の子のタイプ、髪型。色々なことを時間の限り聞かれた。本人が答えるわけだから全ての質問に澱みなく答えられた。


 別れ際の佐渡は、それはそれはいい笑顔をしていた。

 少しは彼女のためになったのだと思うと、俺が湊だと隠している罪悪感が軽くなる気がした。


 翌日の昼休み。


 俺と佐渡は道場へ集まり、()について話していた。というより、質問は昨日であらかた終わったのか、今は佐渡がひたすら湊の話をしているのを聞いていた。


「それでですね、昨日の湊先輩がすっごくかっこよくて! あ、誤解しないでくださいね⁉︎ かっこいいのは昨日だけじゃなくていつもなんですけど! ミニゲームでシュート決めたのももちろん、巴先輩との連携もスムーズでそこもかっこよくて……。いつも私ばかりドキドキしちゃうんですよね。あ、でも安心してください! ドキドキもしますけど、ちゃんとマネージャー業もこなしてますから!」


 昨日の緊張はどこへやら。今日はやたらとよく喋る。


「それはちゃんとわかってるよ。もちろん俺だけじゃなくて、サッカー部のみんなも」

「……湊先輩も?」

「もちろん。……そうだと思うよ」


 危うく断言するところだった。今の俺は巴。俺は巴。よし!


「そっか、良かった」


 ほっとしたようにふにゃっと笑う佐渡は可愛かった。確かにこれはモテるわけだ。


 それにしてもこの関係はいつまで続くのだろうか。例え恋愛感情がないとしても、後輩から自分の好きなところを直接言われるとすごく恥ずかしい。……もちろん嬉しさもあるけど。


 佐渡が()に湊の話をするようになって2週間と少し。これまでに告白はしないのか尋ねたこともあったが、まだ情報が足りないらしく、告白には至っていない。仕方ないからまだ佐渡の話に付き合ってやろうと思う。


「あの、湊先輩って甘いもの苦手でしたよね」

「うーん、そうだね。あまり得意ではないかな」


 今日のは質問というよりは確認といったところか。


「来週はもうバレンタインじゃないですか。だから何か作ってあげたいなと思っていまして……」

「いいと思う。あいつも喜ぶよ」

「……! 喜んでくれるならいっぱい頑張って、美味しいもの作りますね! お菓子だと何が1番好きなんですか?」

「そうだなあ。クッキーとか結構好きだよ。あと甘さ控えめな焼き菓子も好きかな」

「ふむふむ。参考になります! できたら1番に届けに行きますね! ちなみに巴先輩は甘いもの好きでしたっけ?」

「うん。大好き。チョコでもケーキでも焼き菓子でもなんでも食べるよ」


 今度は疑問系。巴に関してはあまり知らないみたいだな。

 その事実になぜだか優越感があった。


 その日の夜。帰宅して部屋でくつろいでいると、弟の巴も部屋に入ってきた。


「なあ、湊。お前最近機嫌いいよな。何かあったのか?」

「そうか? 別に何もな――」


 そこで思い出される、ここ最近の佐渡の言葉の数々。


 ――湊先輩はシュートフォームがとっても綺麗なんです

 ――湊先輩の声が好きです!

 ――湊先輩ってみんなのことよく見てて、少しの変化でも気づいてくれるんですよ。すごいですよね!


「……いけど」

「え、何その間。はっ! まさか、恋……⁉︎」

「はあ? んなわけあるか」


 そう。これは恋とかそんなんじゃなくて。ここ最近毎日褒められてばかりだから、きっとそれのせいだ。


「ふーん? まあいいや。あ、陽菜ちゃんからの連絡返してない。この時間なら課題しているかな?」

「は? ちょ、なんで巴が佐渡と連絡とるわけ?」

「俺、サッカー部のキャプテン。陽菜ちゃんは唯一のマネージャー。業務連絡くらいするでしょ。ま、それ以外にも話すけど。……え〜、湊ったら、もしかして嫉妬? 友人ですらないのにぃ?」

「っ……!」


 ニヤつく巴に腹が立つ。しかし、それと同時に悔しさ、理不尽さも感じた。いつも佐渡と話しているのは巴ではなく湊なのに。

 ああむかつく。巴がむかつく。佐渡のこと名前で呼んでるのも、連絡先を知っているのも。メールで話すような関係だってことも。俺よりあいつのことを知っているのも全部ムカつく。そして何より佐渡のことを考えただけで心を乱される自分に腹が立ってしょうがない。


「くそっ、なんなんだよ……」

「やっぱ恋じゃん」

「うるさいわアホ」



 ――日は過ぎて2月14日、バレンタインデー。


「待ちに待ったこの日がやってきた! 湊、お菓子もらったら全部俺によこせよ」

「はいはい。いいよ、どうせ俺食べないし」


 それにしても巴もよく食べる。バレンタインでお菓子をもらう数は巴の方が圧倒的に多い。甘いもの好きというのが広く知られているし、巴もお菓子をくれそうな子にねだりに行くからだ。


「じゃ、俺は先に行っている。今年はどんなお菓子があるか楽しみだ。待ってろ、俺のお菓子たち!」


 るんるんとスキップしながら教室へと向かう巴を呆れた目で見るしかない。食い意地張りすぎだ。


 俺はのんびりと、というかいつも通りのスピードで教室へ向かう。自分の教室に入ろうとした時だった。


「あ、陽菜ちゃんもくれるの? ありがとね! あ、ガトーショコラなんだ、俺もこれ好き! 美味しくいただくよ! じゃ、また部活で!」

「はい、また部活で」


 ――俺に1番にくれるんじゃ無かったのかよ。


 もやもやとしたわけのわからないものが胸の内に広がっていく。なんなんだ一体……。


 なんとなく、これ以上佐渡の姿を見たくなくて教室へと入った。

 きっとこのモヤモヤも時間が経てば元に戻るだろう。


「はあーーーーーーーーー」

「クソ長いため息だなおい」

「巴うるさい」


 すぐに戻ると思ったものは一向に戻る気配を見せなかった。それどころかより密度を増して領域を広げている気さえする。


「あ、もしかしてチョコ貰えなかったから拗ねてんだろ」

「は? 俺がもらったもの部活前にまとめてやったのを忘れたのかよ。鳥頭か?」

「はぁん? 今日は一段と機嫌が悪いねぇ。感情のコントロールができないバブちゃんを兄弟に持つとこれだから困るよ」

「ああ確かにそうだな。バブちゃんを弟に持つ俺は大変だ」

「は? ついに耳も遠くなったうえに頭もおかしくなったわけ? 俺がいつお前みたいに嫉妬独占欲丸出しで八つ当たりしたのよ?」

「あ? いつもしてんだろ。俺が桜庭と話してる時なんか1番やべーよ」

「は? あ、あー、あー……うん」


 どうやら自覚はあったらしい。

 桜庭千鶴。佐渡陽菜の1つ上の幼馴染で学年が違えど仲が大変いいらしい。休み時間も時々お互いのクラスを行ったり来たりする様子を見かける。


「今日は湊先輩の勝ちですね」


 ここ最近毎日聞く声が耳に入り、心臓がとくんと音を立てた気がした。


「あ、陽菜ちゃんだ。ここ最近どうよ。俺的にはもういけそうだと思うんだけど?」

「そんな……。まだまだだと思います。進歩してる感じが全然なくて……。ちょっと落ち込みそうです」

「うーん。あとはあいつ次第みたいだけどなぁ。でも大丈夫! このまま続けよう。心配? 俺がいうんだから間違いないって!」

「ふふっ、確かに。巴先輩が言うと少し自信がつきます」


 一体何の話だ。全くわからない。

 巴に向かって可愛らしく笑い、談笑している様を見るとムカムカした。いつだったか、巴が佐渡と連絡を取り合っていると知った時よりも不愉快だ。


「巴。部活開始時間過ぎてんぞ。早く練習始めるぞ」


 気づけば巴の腕を引っ張り、佐渡から引き剥がすような行動をとっていた。


「はいはい。ったく。……お前も十分バブちゃんじゃねえか」

「なんか言ったか?」

「いーや、何も?」


 グラウンドへ向かう時、佐渡が俺を見ていた気がしたが、きっと気のせいだろう。



「お疲れ様でした! 先輩方、チョコを作ってきたので良ければどうぞ!」

「お、まじで! そっか、今日はバレンタインデーだもんな」

「よかったな、初チョコじゃん」

「お前もなー」


 佐渡は大きな紙袋を持って部員にチョコを配っている。


「あ、うめー」

「ほんとだ、うま。程よい甘さで食べやすいな」


 俺まだもらってないのに何先に食ってんだ!


「陽菜ちゃーん、俺にも〜」

「はい。巴先輩もどうぞ! あ、湊先輩も!」

「ありがとね〜」

「あ、ああ。ありがとう……」


 いや、巴、朝ももらってなかったか? 佐渡のことだから、普段から相談に乗ってもらってるお礼、みたいな感じで別で作ってはきそうだが……。相談相手、巴じゃなくて俺じゃん? いや、佐渡は巴だと思って相談しているから巴にお礼するのが普通なんだけど。……しっくりこない。


「よかったな〜、湊。甘いのが苦手なお前には特別に別物だってよ」


 腕を肩に乗せ、耳元で囁いてくる巴。

 巴がもらったものと見比べてみると、確かに違う。巴、他部員はチョコレートケーキなのに対して、俺のはチーズケーキ。上に黒いものがかかっているからこれがチョコレートなのかもしれない。

 よく見れば、ラッピングも少しだけ違う。部員たちの持つ袋を結んでいるのが針金にビニールがついたものに対し、俺のだけは青色のリボンで結ばれている。


「……」


 部活が始まる前にはあった黒いもやもやは、いつの間にか消えていた。



 ――バレンタインデー翌日の昼休み。

 俺と佐渡はいつもの場所に座って話していた。話題は昨日のバレンタインのことで、渡すときに緊張のあまり、巴のついでみたいになってしまったとか、朝一番に渡そうとしたのに巴が止めた話を聞いていた。

 巴の話になったとき、一瞬だけ表情が固くなり、慌てて話し方を変えたような気がした。


「それとですね、先輩。実は――」

「お、陽菜ちゃん! もう伝えれたー?」


 道場の方からひょっこりと顔を出したのは巴。

 あ、やばい……。


 佐渡に目を向ければ、彼女は巴を見ていた。

 目が合わなかったことにホッと安心しつつ、彼女の目が俺を見た時のことを想像して不安が募っていく。心臓がドキドキと大きな音を立てて、そのまま出てきそうだった。


「あ、ごめーん。まだみたいだね、10分後にまたくるね!」


 何かを察した巴はそれだけ言って戻って行った。


 怖い。佐渡の目が俺に向くのが恐ろしくてたまらない。いや、それよりも巴が現れたことで、確実にこの場にいるのが湊であると彼女にはわかってしまっただろう。

 混乱しながらも、俺は気づいた。気づいてしまった。俺が最も恐れているのは、彼女とこの関係が終わってしまうこと。そして、彼女から蔑まれ嫌われてしまうことなんだ。


「――湊先輩」


 いつもは心地よい声が、俺を地獄へ導く死神のような、恐ろしい声に聞こえた。

 次に紡がれる言葉なんだろうか。騙すなんて最低です? 見損ないました? 関わりたくありません?

 どれも俺にとっては最悪な言葉だ。


「――湊先輩。もう一度聞いてください」


 彼女の手が俺の頬を包み、優しく動かす。

 彼女から逸らしていた視線が交わる。


「私は湊先輩のことが好きです。初めて会った時からずっとずっと大好きです。初めて告白した時も、湊先輩だとわかってて告白しました」

「え……」

「先輩が私のこと、ただの後輩としか思っていないことはわかっています。それでも私のことを知ってもらいたくて。先輩と話したくて、巴先輩と間違えたふりをして相談してました」

「……」

「……あの、ごめんなさい。怒って、ますよね……」

「え、あ、いや。別に……。なんか色々と納得したっていうか……」


 そうだ。最初に呼び出された時、入部した時から俺と巴を間違えなかった佐渡が間違えたことに驚いた。だけど、湊だとわかったうえで話しかけてきていたのだと知ったら、間違っていなかったのかって疑問が解けたような、すっきりした感じがあった。


「えーと、ごめん。色々と衝撃的すぎて言葉が出なかっただけで別に怒ってるわけじゃないから」

「そ、そうですか。よかったです。……今日、巴先輩からネタバラシしようって言われて、それなら先輩が来る前にもう一度伝えようって思ってたんです。私、まだ湊先輩に振り向いてもらえる自信がないから、ネタバラシして嫌われる前にもう一度って」

「嫌いになんてならないよ。ここ1ヶ月佐渡と話して強かな所もあるいい子だっていうのはわかったから……」

「そ、それはよかったです……?」


 それを最後になんといえばいいのか分からず、沈黙が落ちる。これは俺が何か言わなければならないのか。いや、そうだろう。佐渡に告白されて俺は返事をしていない。だが、なんと言えばいいのかわからない。


 そもそも俺は佐渡のことをどう思っているんだ?

 好きか嫌いかで言えばもちろん好きだ。それは出会った時から変わらない。ただ、最初は確実に後輩として好ましいと言う意味での好きだった。今はどうだろうか。


「もういい?」


 お互い何も話さずにいたら、どうやら10分が経過したらしい。巴が顔を覗かせていた。


「その様子ならもうネタバラシしたわけね。な、陽菜ちゃん。俺の言った通り嫌いになんてならないって言われただろ?」

「まあ、そうですね」

「で、湊は返事できたの? まあできてないだろけど」

「わかってるなら聞くな」


 まるで今までのやりとりを見ていたのかと疑うほどに状況を当てられていく。

 返事。返事……。

 何か佐渡に伝えなければならないと思うほど、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。


「先輩。私、諦めませんから。先輩が振り向いてくれるまで、何度でもアピールしますから!」

「だってよ。お前もいつまでも自分の気持ちを言語化できない赤ちゃんみたいなことしてないで、早く答えてやれよ?」


 宣戦布告して去っていく佐渡を追いかけて巴も戻っていく。


 佐渡はまだ俺と話す気があるらしい。まだまだ彼女との時間は続く。そう考えると嬉しさが込み上げてくる。


 これが答えだろうな。


 うっすらと自覚しつつ、巴の背中を追いかけた。




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