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42 最後の戦い

 東三条結子は才能ある魔術師だ。そして実戦経験も豊富。 魔術師に襲撃されたときや、白川家の部隊に襲われたとき、結子が勝てなかったのは、複数人から不意打ちを受けたからだ。


 一対一で、油断した相手なら、たとえ白川嫡男だろうと、結子には勝機があっった。


 白川嫡男は油断して、結子をただの子供を生む道具として扱おうとした。そして、自らの死を招いた。


 おそらく即死だろう。もはや白川嫡男さらに白家家当主はもはや、この世にいない。葵もエミリアも呆然としていた。


 父と兄が目の前で死んだのだから。一方、透子は母親の凶行に震えていた。


 白川家の二人は死んでも仕方のないような人間だった。それは事実だが、一方で、結子の目的が問題だ。


 和樹ははっと我に返った。

 白川嫡男の身体から、無数の怨霊が飛び出したからだ。だが、その怨霊たちは誰にも襲いかからなかった。


 結子の支配下に入ったからだ。結子はふふっと妖艶に笑う。


「これで、私の栄光は蘇るわ。祝園寺なんて、東三条の、いえ、私にひざまずくべき存在なの」


「お、お母様!? お母様は和樹に従うって言ったじゃない!」


 透子が叫ぶが、結子は娘に柔らかい表情を浮かべ、首を横に振った。


「まさか。私はもともと和樹くんの奴隷になるつもりなんてなかったわ。もちろん、白川家に従うつもりもなかったの。あれはすべて演技。私の目標は、私の導く東三条家で、この世界を支配することなの」


「そ、そんな……! 怨霊を使ってそんなことをするなんて、ダメよ! 魔術師のやるべきことじゃない!」

 

「魔術師の倫理なんて知らないわ。私を冷遇した実家の西桜木家、私を利用しようとした学生時代の友人たち、私を弄んで捨てた男、それに私を愛さなかった夫。すべて、私の前にひれ伏せさせてあげる」


「和樹はどうするつもりなの!?」


「祝園寺くんは別に生かしておいてあげるけどね。種馬の奴隷にしてあげる。透子が望むなら、あなたの玩具(おもちゃ)にしていいわ」


「か、和樹は玩具(おもちゃ)なんかじゃない!」


「それは私が決めること。あなたは私の大事な娘で次期当主だけれど、今の当主は私なんだから」


 結子は聞く耳を持たないようだ。

 そのとき、観月が和樹の服の袖を引っ張って、耳打ちした。


「結子さんをこのまま野放しにするわけにはいきません。きっとひどいことをたくさんするつもりなんです」


「なら、結子さんを……倒すしかないのか」


「はい。力尽くで止めましょう」


 だが、結子は白川家の力を手に入れて強大になっている。

 それなのに、和樹に勝てるだろうか?


 観月は微笑んだ。


「大丈夫。兄さんは、わたしの大好きな最強の魔術師でなんですから。きっと勝てます」

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