11 わたしたちはみんなお兄ちゃんのもの
「お、俺が東三条家を乗っ取る?」
「そうだよ。別の言い方をすれば、お兄ちゃんがわたしたちを守るの」
「……そっか。こんな状態じゃ、今のまま東三条家を続けることはできないか」
七華族の名門、東三条家が正体不明の男たちに襲撃され、ぼろぼろにされた。
なんとか東三条の母娘は助かり、男たちの大半は倒したとはいえ、使用人や護衛、従属する魔術師たちは拉致されるか、殺害されているだろう。
当主の生死も不明だ。
東三条家の権威は失墜した。他の七華族も、このままの東三条家を続けることはできないと判断するだろう。
「まずはお母さんは責任を取って、女主人の立場はクビだと思う。お父様も生きていたとしても、当主は続けられないよ」
「それは……」
「お父様は、べつにいいの」
寂しそうに桜子は笑い、東三条家の当主が権力と金にまかせて、浮気や不倫を行い手当たり次第に愛人に子供を産ませ、家にほとんど帰ってこないことを教えてくれた。
だから、桜子や透子、それに結子も当主の生死はどちらでもよいらしい。当主がそんなふうだから、結子はおかしくなってしまったのかもしれない。
そう思えば、あまり同情の余地はなかった。
「そうしたら、透子お姉ちゃんが東三条家の当主になるけど……未成年だし、女の子だし……他の七華族が認めてくれないし、また危険な連中に襲われるかもしれないから、他の七華族の援助が必要。でも……」
他の七華族もあまり信用できない。白川家のように、自分の利益のために透子を手に入れようとした家もあるが、そんな家を頼りたくない。
だとすれば、祝園寺家が東三条家の後見人になればよい、ということになる。
「祝園寺のおじさまは信用できるし、それにお兄ちゃんのおかげでわたしたちは助かったんだもの。問題ないよね?」
「で、でも……」
「お兄ちゃんは、わたしたちを助けてくれない?」
桜子に上目遣いに見られて、和樹は降参した。
結局、和樹と観月が東三条家の屋敷に住み、透子たちと東三条家の立て直しにあたることになったのだ。
☆
その日の夜。
東三条家の大浴場は無事で、その豪華な大理石でできた湯船はとても広々としていた。
もし一人だったら、とてもくつろげただろう。
だが、そこにいたのは和樹一人ではなかった。
「な、なんで透子たちがいるの?」
「き、決まっているでしょう? それは私が和樹の婚約者だから……」
「でもあとの三人は?」
バスタオル姿の女性が四人、目の前にいた。
左から透子、桜子、朱里、そして、結子と並んでいる。
透子は頬を膨らませて、桜子はあどけない笑みを浮かべて、朱里は目を輝かせ、結子は頬を赤くしていた。
みんな美少女・美女ばかりだ。
桜子がふふっと笑う。
「東三条家は祝園寺の家の管理下に置かれるんだもの。だから、東三条の女性はみんな和樹お兄ちゃんのものってこと」
透子や桜子はどうなってしまうのか、続きが気になる方は、☆での応援、待ってます!
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