9 嘘つき!
透子は目の前の光景が信じられなかったのか、フリーズした。セーラー服姿の透子のスカートの裾が軽く揺れる。
そして、透子はしばらくして口を開く。
「な、なんで観月がいるの!? し、しかも裸で……」
上半身裸で和樹の足元に倒れこんでいる観月は、頬を赤らめ、透子を見上げる。
「兄さんはわたしのものになって、わたしは……兄さんのものになったんです」
「そ、それって……エッチなことをしたってこと?」
「そうだと言ったら?」
「そ、そんなのダメに決まっているじゃない! だって、あなたたちは兄妹で……」
「でも、わたしは兄さんと結婚するんです」
「和樹と結婚するのは、婚約者の私!」
「元婚約者でしょう?」
言い争う二人に、和樹は慌てた。止めに入ろうとするも、透子に真っ赤な顔で睨まれる。
「和樹の変態! 義妹に手を出す見境なし!」
「ご、誤解だよ」
「どうして私にはそういうことをしてくれなかったの!?」
透子は叫んでからはっとした顔で口を押さえた。
観月がジト目で透子を見つめる。
「透子さんだってむっつりスケベじゃないですか……」
「ち、違うもの!」
「でも、残念でした。兄さんにエッチなことをしてもらうのは、わたしの特権なんです」
「ほ、本当にしたの?」
不安そうに透子が和樹に聞く。和樹は困ったが、結局、正直に首を横に振った。
「してないよ。何もしていない」
「良かった……」
透子はほっとした表情を浮かべ、観月は不満そうな表情になる。
「兄さんの嘘つき。キスしたのに、なかったことにするなんてひどいです」
「そ、それは……」
透子は傷ついたような表情を浮かべ、そして、そっと和樹に近寄る。
「観月とのキス、気持ちよかった?」
「ええと……」
「気持ちよかったんだ? ならーー」
次の瞬間、透子は和樹をぐいとつかんだ。そして、和樹の体を引き寄せ……。
キスをした。
そろそろ第一部は完結にするかもしれません。
三人がどうなるか、続きが気になると思っていただけましたら
・↓の☆☆☆☆☆評価
で応援いただければ嬉しいです!
次回は土曜日までには更新しますっ!





