【プロローグ】
初投稿ですので、不十分なところや誤字脱字が見られることがあります。ご了承ください。
また、残酷な描写は控える様にはしておりますが、苦手な方はお控えください。
その他お気づきな点がございましたら、お知らせいただければ幸いです。
評価、レビュー等もよろしくお願いいたします。
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ーその日はいつもと変わらぬ日だった
いつもより晴れた日で、西の空には微かに雨雲がある朝だった。
弟と公園に行こうとなった。
そして、何気なく公園へ行った。
何気なく昼食を食べた。
何気なく歩いていた。
なのに、一瞬で平凡で平和な、何気ない今日は破壊される。
鉄の塊が迫ってきた。
気づいた時には、遅かった。
気づいた時には、血だらけの世界に一人、自分だけがポツリと立っていた。
さっきまで二人だった世界に一人しかいなくなった、違和感。
そんな世界を見て、喜怒哀楽の入り混じった感情が込み上げる。
「後悔」と「怒り」。
サイレンが耳元でピーピーと響く中、たくさんの野次馬の中で僕は真っ白な車に乗った。
訳がわからなかった。
車の中でも決して目を開かぬ事実が、目の前の出来事が、何がなんだかわからない。
泣かなかった、泣けなかった。
白い建物に運ばれ、一人欠けた家族の中、ポツリと座る。
父にお前がついていながら、と真っ赤な目で言われた。
母も妹もただ呆然としていた。まさに孤独だった。
いつもは長いと思う時間があっという間だった。
この時間が過ぎ去って欲しい。でも終わりを告げないで欲しい。
1時間ほどたっただろうか、白衣を身に纏った男が暗い表情をして出てきた。
そしてその男は何も言葉を発せず、ただ首を左右にふった。
みんな泣いた泣きじゃくっていた、感情が奪われたかというほどに。
最後にその姿を見た時のことを思い出す、あの時の笑顔を。
もう二度と見られない、触れられない笑顔。
みんな世界が不平等なのだと、思っただろう。
これが運命なのだと受け入れ難かった。
そう、運命。
その時僕の中の何かが壊れた。涙が乾き、悲しみが奪われ、最愛を奪われた。
「殺意」が芽生えた。
その瞬間、『真っ黒な悪魔』は生まれた。
感情のない顔で項垂れる僕の足を、『悪魔』はツンツンとつつく。
真っ赤な目を悲しみで染め、真っ黒な小さい体で精一杯背伸びして、微笑んでくれた。
「君は誰?」と僕は尋ねた。
その『悪魔』は僕の膝に飛び乗り、僕の胸に自分の体をくっつけてくれた。温かった。
それはまるで、いなくなった弟を思い出せる様な。
もう一度「君は誰なんだい?」と聞いた。
悲しく微笑むその『悪魔』はただ一言「ボクダヨ」と言った。
そうか君は僕か。
全てを悟った。
ならば始めようじゃないか。
僕の心、感情、家族、最愛、全てを奪った『神様』の〈世界〉への復讐を。
「僕」が「俺」に変わったその日。
ーその日はいつもと変わらぬ日だった