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第二十二話 リダズとの会合

 

  ワイゼルシティまで来ればディオーネ王国王都へかなり近いらしく、移動補助魔法等が扱えれば者であれば、十数分で行き来出来る距離との事。


  ディンとリアナは補助魔法に関しては殆ど知識が無いためリアナの扱える風魔法を用いた高速での移動が主だが、拓けた街道ではあまり力を使わずに温存している。リアナは細かい力を扱う事があまり得意でない事もあるのだが。


 王都へ行くとなると、道中は冒険者や商人等もちらほら見かけるようになり王都の発展具合がよくわかる。


 ワイゼルシティからは有料の移動サービスがあり、道中の行き来が大分楽になっている。二人のマーニも余り芳しくない為、泣く泣く歩く事を選んだ。それでも、半日かからずに余裕を持って到着した。



 ーーーー



 二人は王都の関門を潜る。王国らしい、とても良い造りをしている。


 冒険者の様な出で立ちをしている二人は大勢の看守に止められることもなくスムーズに進む。


「こんな近いとは思わなかったな」


「そうだよね〜」


  王都と言うだけあり、規模はかなりものもので、ひたすら建物が建ち並んでいる。村や町等と比べてかなり発展していると思うが、ワイゼルシティと比べてみれば技術力は遜色ない気もする。


  活気の良い通りもいくつか有り、その時その時の気分で買い物をしても良さそうだと二人は思う。通りによって扱われる物も変わっていたりしているらしい。


  だが、冒険者広場と言われるディオーネ冒険者協会本部周りは大分様変わりしていた。


  まず初めに、何かの力を受けて常に動き続けるオブジェクト。コアに不思議な石が組み込まれていた。町の冒険者協会とは大きく違い、規模が大きく、造りも緻密でこだわりを感じられる。ディオーネの特色を生かしているらしい。アトラス本部、メティウス本部はまた異なる特色を生かした本部となっている。


  冒険者協会本部へと足を踏み入れる二人。踏み込むのは良いがきょろきょろと周りを気にしている所を受付で止められる。直ちに身分の確認をされる。勿論、リダズから話は通っている。魔導石を使った関係者専用の昇降機を使って行く事を説明された。


 それでしかリダズの元へは辿り着けない構造になっているとのこと。そして二人はリダズの待つフロアへと行くため、関係者以外立ち入ることを許されない裏道へと案内され、昇降機の中へ入る。


  説明されたフロアを指定すると昇降機は浮遊し何かに引かれるように上昇する。昇降機の力の元となる魔導石という魔石は数が少なく、生産にもアルマジェイトという特殊な材料を要する。ディオーネでは使われてからまだ数十年程で、高い技術を要する為未だに各支部への供給が間に合っていない。それに、役割を与え任意で誰でも操作するには更に技術を要する。


  本部はセキュリティを兼ねて特殊な構造、特殊なアイテムを駆使した設計が成されていた。


  ディンはともかく、リアナですら父親がこんなに凄い場所で本部長として席を構えている事に驚いていた。初めて見る物のオンパレードだ。あちらこちら気が散り忙しい。


  昇降機の扉が開き、三つの扉が二人を出迎える。真中、左右。その内の真中をノックする。


「ここまで来たな」


「そうだね、じゃあいくよ……」


 リアナは重い扉を叩く。


 コンコン。


「あいよ」


  少し不愛想で逞しい男の声が響く。扉の向こうにはリダズが外を眺め、背を向けて椅子に腰をどっかりと据えている。迫力のある立派な背中をしている。一度部屋へ踏み込めば協会内部、リダズの部屋からは透明なガラスのような壁を隔てて景色を楽しめるようになっていた。王都をパノラマの様に一望できる特等席。


「うわぁ、すっげえなこの部屋!」


 透き通る壁を見て、外から見張られてるようだとディンは思った。だが実際は外には迷彩が施されていてそんなことは無い。そして、ド派手なオブジェクトはこの階層を隠す為のフェイクに過ぎない。


  一握りの冒険者を除いて、一般的な冒険者はここを知らずに冒険者生命を終える。冒険者協会本部は秘匿された情報が多いのだ。


「どうしたディン。久々に会えたと思ったのに俺はそっちのけか?」


「あ、すいませんリダズさん。こんにちは、でいいのかな? それと、お久しぶりです」


  アハハと誤魔化し笑いをするディン。「変わってないな」とリダズは言った。


  そしてこの壁は外部から透視化された所でセキュリティが反応してそこから犯人も割り出される為、開放感が有りながら王都を一望出来る素晴らしい部屋である。


「外からはこんな高いところまで見えなかったけど……」


  リアナも初めて見る特殊な本部の建屋構造を不思議がる。


  リダズは「よいしょ」と言い立ち上がる。


「まあ、白塗りの壁を見るよりずっと良いだろ?」


「確かに! すごいよこれ! 下まで丸見えじゃん!」


「おう、気をつけろよ。落っこっちまうぜ?」


 ドン!


  とディンの背中を面白半分で叩くリダズ。


「うわあああああ!!!危ないよリダズさん!!」


「嘘に決まってんだろ」


  ディンの反応を楽しみ豪快に笑うリダズ。


(こいつ……バカだな……)


「もう、お父さんったらディンで遊ばないの」


  久々に会う父親との時間、リアナも待ち遠しかったのだろう。そう言いながらもリアナも楽しそうに笑っていた。

 

「俺もこう見えて忙しい身でな。いつまでもこうして遊んでられねぇんだ。たまには良いだろ? とりあえずリアナ、ここまで長旅ご苦労だったな。俺に話があるんだろ? 少しそこに掛けろよ」


  そう言うと机の一角をトンと叩き、壁は白一色に染まる。真っ白いキャンバスみたいな部屋に様変わりする。そのまま自席の手前に有る高級感漂う革張りのソファにどっかりと座り、ソファをボンッボンッと叩いた。


  リアナとディンは返事をして素直にソファに座り、初めての沈む感覚に取り憑かれそうになる。


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