序章 バトルロワイヤル
「今日も修行の続きだ、ライド君!」
今日も突然そんなことをのたまうアイヴァーゼさん。
「え……今度はどんな修行ですか」
いい予感がしないのだけれども。
「次元の融和と結合によって、多次元化した空間に、一時的に四次元的なフィールドができたから……」
理解不能!
「もっと分かりやすくお願いします!!」
「んん? じゃもっと簡単に言うね」
「新しい空間に、いろんな人と試合ができるスペースができたのさ!君には、一位を目指してもらうっ」
ワクワクするよね、と連れてこられた空間が全くの安全ということもあり得ないわけで。
沸き起こる歓声。圧倒的な格闘技。
「……強すぎない?」
強者はいつの時代にも、どんな場所にでもいる。
いわゆる、上には上がいるってものだ。
「あるものは強者を求め、あるものは強さの為に鍛錬し、あるものは賞金を求め、あるものは仲間を求め、あるものは平和を求め……重なるはずのない各々の次元が、……今、一つにっ……!」
「ウオオオーーー!!!」
流麗な前口上が響き渡り、コダマする歓声。
かつてないほどの熱気を会場から感じる。
「アツいですね。こんな高ぶる景色は初めて見ました」
「そうだろ? ライド君。ま、修行もあるんでゆっくり観戦ってわけにはいかないだろうけどな!」
快活に笑うアイゼの片手にはポップコーン。
ゆっくり観戦できないのは僕ってことですね。