第零章 2018年、ついに「魔法」が人類の手中に収まった
登場する団体名や国家、人名は完全に架空のものであると誓います。
第零章 2018年、ついに「魔法」が人類の手中に収まった
列強の科学者が共同で生み出した新技術「フトレイウェン」は瞬く間に全世界に波及し、人類史は大きく変わっていった。この未来のテクノロジーがもたらした「魔法」は瞬時に火をつけ、水を生み出し、時には瀕死の人さえ完全によみがえらせてしまう。しかもその「呪文」は貴族平民関係なく手に入り、使うことができた。
世界は間違いなく豊かになった。それと同時に、人間の精神そのものが旧時代よりも一歩前へ進んだのである。争いは減り、人々は互いに肩を取り合い笑い、歌い、泣いた。
いつしか「銃」は「古い時代のダサいもの」、若しくは「好事家の間で好まれる骨董品」のような扱いを受けることとなり、それよりも、美しい刀や槍といった古典的な武器が、美術品、或いはたしなみの一つとして再び普及した。
勿論戦争がなくなり、全世界が平和になったわけではない。民族浄化や皇民化といった理不尽はいまだに世界を取り巻いている。それでもやはり、人々の生活が10年で劇的に平穏なものになったというのは否定のしようがない事実であった。