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The Airforce of ocean
『第一航空隊、全機発艦準備に入ってください。発艦後は一〇秒でオフラインモードに入ります。通信切断を確認後、敵勢力圏へ突入。攻撃を開始して下さい。九〇秒後に通信が復旧しますのでそれまでに敵勢力圏を離脱して下さい。第一航空隊が帰艦し次第、順次攻撃隊が発艦します。』
下部飛行甲板にエンジン音が鳴り響く。温まってきたジェットエンジンの音に、少しずつ回り始めたプロペラ音が入り混じり、隣で発せられる声も聞こえない。随分前から改善要請をしているが、一向に良くならないこの騒音の中で永田信也はJF-3Bのコックピットを閉じる。
コックピット内のヘッドフォンをつければ、騒音はあまり気にならない。
「第一航空隊六番機、永田少尉。発艦準備完了。」
『六番機発艦準備完了、確認しました。待機して下さい。』
オペレーターが言う。
『第一航空隊、全機発艦準備完了、発艦します。』
信也を含む十六機の戦闘機が航空母艦『龍鶴』より飛び立った。