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ダラン・ケイリー:主人公。

スワフキー:家政婦長兼料理人。

ヤコブ:庭師。まばらに顎髭が生えている。



そんなダランの様子にヤコブは「植物は多かれ少なかれ手間がかかるもんでさあ」と片眉を上げた。


「それともやっぱり止めときやすかい?」


ヤコブは植木鉢に入れる土の仕分けをしながら、肩越しにダランを見て尋ねた。

しかし、ダランは一瞬戸惑いを見せたが、力強く首を振ると落としたペンを拾い握り締めて言った。


「う…や、やるよ!スワフキーも、とうさまもかあさまもたのしみにしているのに、やめるなんてイヤだよ」


その言葉にヤコブはにっこり笑ってみせると、分けた白い土と黒い土を指さし「これを半分ずつ混ぜた土でヤーヤー花は育てまさあ」と説明を続けた。

ダランはヤコブの指示通りに、土をそれぞれ半分ずつ植木鉢に入れて均等に混ざるようにスコップで混ぜ始めた。

やがて、ヤコブが「もうその辺でいいでしょうや」と言った時には、土は綺麗な灰色に混じっていたが、ダランは何度も額から落ちる汗を拭く必要があり、日焼け止めもすっかり汗で流れてしまっていた。


土を混ぜ終わった植木鉢は、一度たっぷり太陽の光を当てる必要があるとのことで、ダランは玄関の一番光の当たる場所へ植木鉢を移動させる。

その間に、広い玄関の中でヤコブと一緒に日焼け止めを塗り直すと、スワフキーが「休憩されたらいかがですか?」と冷たいお茶を持ってきたので、そのまま三人で休憩をすることにした。

スワフキーはダランの為に小さい椅子を持ってくると、その隣に立ち一緒に植木鉢を眺めながら「順調ですか?」とヤコブに向かって尋ねた。

それに対し、ヤコブは首元に巻いていたタオルで汗を拭うと、一つ大きく頷く。


「ヤーヤー花はどんな気候でも育てることができるのが長所でさあ。その分手間は掛かりやすがね」

「そうね。仕事も手を加えた分だけ良い仕事が出来るもの。ダランぼっちゃんなら立派にヤーヤー花を育てられると、私は信じておりますよ」

「ふふ…っ、そういわれたらますますがんばらなくっちゃ!」

「あらまあ!でも張り切りすぎて体調を崩さないように気を付けてくださいね」

「それはわっしもしっかり見張っときやすよ。…さて、坊っちゃん太陽の光は十分なようでさあ。種を撒きやしょう」


心地よい風がふわりとダラン達の肌を撫でた後に、玄関に座って休んでいたヤコブは、立ち上がって砂を払った後にダランを呼んだ。

ダランも椅子から立ち上がりヤコブの横にいくと植木鉢がきらきらと光っているのが目に入った。


「あの土は太陽の光を浴びるとああやって光るんでさあ。あの光り方を覚えておいてくだせえ。ヤーヤー花にとって太陽の光と水の綺麗さが味を決めやすからね」

「わ、わかった」

「種は貰った分を土の上にばら撒くように置いてくだせえ」

「かぜでとんでいっちゃったりしない?」

「大丈夫でさあ。土の上に置くことで種も光を浴びることができやす。明日には芽が生えやすよ」


ダランは言われた通りに丁寧に植木鉢の土の上に種をばら撒くと、最初の水遣りを行った。

その後も、昼時、おやつ時、十八の刻になる時、二十一の刻の5回の水遣りを終わらせ、ダランの夏休みの一日目は、誰かと遊びに行くこともなく、あっという間に終わった。


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