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いってよ



 そこでパッと背中をむけて行ってくれないかな。

 みつめていたいから。


 じゃあねって。その言葉のとおり行ってくれないかな。

 みつめさせてほしい。


 ちょっとヨレてる襟とか。

 歩いてるカンジとか。

 肩のトートバッグがふくらんだシャツをおさえてるとことか。


 うしろ姿くらいならゆるしてくれないかな。


 わたしのつまさき。

 そばに、きみのつまさき。


 じゃあねってちゃんと言ったんだから行ってくれないかな。

 行ってくれなきゃ顔があげられないのに。


 つまさきもね、わるくはないよ。


 かかとが廊下やアスファルトをふみしめるちっちゃな音とか。

 なんであんなにおもうようにボールけれるんだろうとか。


 ふってくるみたいなやさしい声、とか。


 たぶん。

 きっとそうだとおもう。

 はなしかけてくれてもすぐ返せない、なんでも遅いわたしをまってくれてる。

 いつも。


 うん。

 わたしの目にね、きみとわたしのつまさきがいっしょに入ってるのがうれしい。


 でも。


 じゃあねって言ったのに行っちゃわないのはどうしてなんだろ。


 わたしの返事がまたヘタだったかな。

 どうしても上手にできない。

 みんなのように。


 ぐうがでてきた。

 ぶんぶん。ぶん。

 条件反射でぱあをだしてた。

 きみはちょき。

 やっぱりきみにはかなわない。


 ちょきが近づいてくる。

 ぐんぐん。ぐんぐん。

 目が、ちょきにつられて。

 あごが、くんて。


 やっぱり。

 きみの笑顔に勝てるはずがないよ。

 さいしょから。ずっと。

 だから。



 二本のゆびが最後にさすのは、きみの目。


 




 

 

 

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