三話 雨野くぅぅぅん!?
やっと主人公のターン
三時間目
「くくく・・・もうどうにでもなれってんだ・・・」
「冴木君、どうしたんだい?オーラが黒いよ。」
「折村ァ・・・」
「な、何?」
「人間ってのは、死の危険が迫った時、真のパワーを発揮するんだぜ・・・」
「本当にどうしたんだい?」
三時間目・戦闘訓練 担当教師・馬場野原
「よぅし!お前らぁ!授業を始めるぞ!」
「「「はーい」」」
「まずは二人一組になれ!」
落ち着け、落ち着くんだ、俺!大丈夫。
俺には相棒がある!
都会は危険がいっぱいって聞いてたから、念の為持ってきていたが・・・
大正解だぜ!!!
「折村、ボクと組め」
「今日こそ麻島ちゃんの服をエロい感じにしてあげるよ・・・!」
「殺す・・・!」
あ、みんなペアになり始めてる・・・俺も誰かと組まないと・・・
キョロキョロしていると、メガネの男子と目が合った。
「なぁ、俺と組まない?」
「いいですよ。自分は、雨野っていいます。よろしく」
「あぁ、俺は冴木 契だ。よろしく」
「知ってます。転校生でしょう?」
よし、気が弱そうな奴だ・・・!スタンガンの餌食になってもらおう。
俺が生き残るためだ・・・悪く思うなよ・・・!
「全員、組んだようだな!それでは、事前に説明した通り、武器は何を使ってもいいぞ!ただし、拳銃や日本刀はダメだ!分かってるよな!?」
それはダメなんだ・・・てっきりここは無法地帯かと思ってた。
「相手を気絶させたら勝ち!ただし殺すんじゃないぞ!死にそうになったら、先生が止めてやるから、安心しろ!」
良かった・・・頼むよ、先生。
「では!武器を持て!」
いでよ!俺の相棒!
スタンガン!と、防犯ブザー。あんまり意味ないだろうけど。
「冴木・・・いや、契くんって呼んでもいいかな?」
「構わないけど」
名前呼びって、なんか恥ずかしいな・・・
「お手柔らかに頼みますよ?契くん」
「そっちもな・・・えーと、雨野!」
雨野が持っている武器は・・・傘か。
殴られたらそこそこ痛いだろうけど・・・
とにかく、回避して、奴の首筋にスタンガンをヒットさせる!
そうすれば確実に気絶!俺の勝ちだ!
「始めぇぇぇい!!!」
馬場野原の合図で訓練が始まった
「よーし、行くぞ、雨野くん!」
「血の雨降らせてやるぅぅぅぅぅああああああ!!!!!!」
「雨野くぅぅぅん!?」
雨野くんが鬼の形相で突進してきた!
俺は、慌てて右に回避する!
さっきまで俺が立っていた位置に、傘が突き刺さっていた。
「えぇ!?何そのキャラ!?」
「チッ・・・避けるたぁ、やるじゃねぇか・・・契!!!」
呼び捨てを許した覚えはない!
「ひひひ・・・やはり傘を持つと昂ぶるなぁ!!!」
「まさか・・・お前の能力って・・・!」
「そうさ!俺は傘剣士!俺が手にする傘の切れ味は、日本刀の比じゃないぜぇ!」
やばい・・・!一旦、距離をとらないと!!!雨野の間合いに入っちゃダメ だ!!!
「小学生の頃から、雨が降るたびに傘で剣術の練習をして先生に怒られていた俺に・・・敵は無い!!!」
くそっ・・・こいつも変な能力・・・!
折村はペン使いだし・・・
今のところ、馬場野原の能力が一番まともだぜ・・・!?
「どうしたぁ!?来ないのかァ!?・・・じゃあ俺から行くぜェェ!!!ヒャッハァァァ!!!」
「うおおお!?」
雨野がすごい勢いで突進してくる!
あの構え、絶対殺しにかかってる!!!
・・・!よし、これだ!
「くらえ!!!」
さっき、雨野が傘で床を砕いた時の破片を投げつける!
行けぇ!都合よく尖った部分で怪我しろ!
「甘いんだよぉぉ!!!」
奴はいきなり急停止すると同時に、傘を開いた!
俺が放った床の破片は粉々にされ・・・かつ、俺に向かって襲いかかる!
「うぐああああああああ!!!」
無数の細かい破片が俺に突き刺さった
「アヒャヒャヒャ!!!傘剣道を極めし俺に・・・小細工は無意味だァ!!!」
くそっ・・・俺の考えが甘かった・・・痛ぇ・・・
やっぱり、能力者と無能力者との間には大きな実力差が・・・!
超えられない差があるのか・・・!
「傘!攻めも守りも完璧!最強の武器なんだよォォォ!!!契もそう思うだろォ!?」
ピンチだぜ・・・やられるのか、俺は。
「つーかよォ?てっきりお前も能力使うと思ったんだけど?」
俺に能力があれば、とっくに使ってるわ!
(・・・ちゃ・・・め・・・よ!)
・・・ん?
(契ちゃん・・・ふぉういlgb!!!)
夢と同じ声。
相変わらず意味がわからんが・・・ていうか何故このタイミングで?
「契ィィィ!?どうした?降参か?ダメだぜぇ!?気絶するまで続けるんだからなぁ!」
そうだ、呆けている暇は無い。
落ち着け・・・策を練るんだ・・・
傘・・・雨・・・開く・・・防御・・・
・・・そういえば、雨の日に、自転車乗りながら傘さして・・・
先生に、怒られたな。
何故ダメかって言うと・・・傘で視界が・・・
「視界」・・・!
「はっ・・・ちょっと能力持ってるからって。調子に乗るなよ・・・?」
「あぁん?何か言ったかァ?」
「雨野・・・俺はお前に勝つぜ・・・能力を使わずになぁ!!!」
一方その頃・・・イケメンクズ野郎、もとい、折村 光貴サイド
「あれあれ?麻島ちゃん?どうしたの〜?」
「おのれ・・・折村!」
ふふふ・・・今日の俺は一味違うのさっ・・・
「いつもより俺のほうが優勢なんじゃないー?」
「お前、シャーペン変えたな・・・?」
「そういう君も、いつもと違うよね?」
麻島ちゃんの武器はカッターだ。
でも、威力から見て、カッター使いってわけじゃなさそうだよねー・・・
ほんと、麻島ちゃんの能力ってなんだろう?
「まぁとにかくさー、そんな武器じゃ俺には勝てないよー?麻島ちゃん」
俺のシャーペンによる斬撃で、麻島ちゃんのカッターをバラバラにした
「よーし、次は服をバラバラに・・・ふふふふ!」
「変態・・・!えっち・・・!殺す・・・!」
麻島ちゃんがやる気になった。相変わらず怖いねー・・・でも。
「今日の俺のシャーペンの芯は0.3mmだよ・・・いつもより、殺傷力が高い」
「そのようだな。」
「本気で来ないと、今日こそは保健室送りだよ?麻島ちゃん?」
「分かった。見せてやる。ボクの愛刀、辻牙甲裂を・・・!」
麻島ちゃんが、懐から新しくカッターを取り出す
さっきのとは質感が違う。あれが本命の武器かな?
「そうかい。じゃあ俺も特別に見せてあげようかな。ナノ・ダイアの威力。」
そう言いながら、芯を交換する。
ここからが、本当の勝負。
・・・ところで、冴木君、大丈夫かな?
彼、この学校に来たばかりだから・・・
ちらっと横目で冴木くんの方を見る。
・・・あーあ・・・やられてるよ・・・
相手は、雨野くんか。運が悪かったね・・・
普段はおとなしいけど、傘を持ったら、狂戦士化するから・・・
「隙あり。」
「あっぶなっ!?」
間一髪で回避っ!
「よそ見するな。戦闘中。」
「容赦無いねー・・・あれ?」
「ん?」
腰のあたりに違和感
ぱさっ・・・
「あ、ズボンが・・・」
麻島ちゃんの一撃でベルトが切れたらしい。
「ひぇっ・・・!?ばかっ・・・!隠せ・・・!」
「いやー、大胆だなぁ、麻島ちゃんったら・・・!」
「く、くるな・・・!変態、変態っ・・・!」
「お返しだよーーーー!!!」
「やめ・・・!」
「折村ァァァ!!!授業中に脱ぐな!!!」
「ゲェッ!馬場野原先生ィィィ!?違うんだぁぁぁ!!!」
見えない力に押しつぶされた。
誤解だ・・・!俺はまだやってない!
冴木 契サイド
「あぁん?能力を使わないだぁ?契、お前、この雨野 耕作をなめてるな?」
「あぁ・・・ぶっちゃけ傘を振り回すだけだろ?所詮、お前はまだ小学生レベル!!!」
「んだとォ!?ぶち殺してやるァ!!!」
(すでに作戦はまとまっている!あとは実行に移すのみ!)
傘の弱点!そこをうまく突けば!!!
「死ネェェェッ!!!契ィィィィ!!!」
「当たらなければ無意味だぜ!へたくそっ!!!」
まずは回避、間合いを開ける・・・!
「これを見ろ!雨野!!!」
俺が手に持っているものを掲げる。
「スタンガンがどうしたぁ?確かに、強力な武器だがなぁ・・・リーチが短い!!!そんなもので傘に勝てるとでもォ!?」
確かに、今はスタンガンの間合いの遙か外だ・・・
だからこそ、油断が生じる!!!
「こいつは傑作だァ!!!やはり傘の前に、敵無し!」
今だ!警戒が解かれた!
さっき拾っておいた床材の破片を投げる!行けぇっ!!!
「馬鹿だなぁ・・・契・・・クククッ」
・・・回避された
「傘で防御するまでもないねぇ・・・!これが最後の悪あがきか?はっ、もういい。もう死ね・・・!うりゃあああああああ!!!」
速いっ!?一瞬で懐に入られた・・・!斬られっ・・・!?
ザヒュッ
「お前の負けだァ・・・!契・・・!」
「が・・・ぁあ!!!」
激痛。崩れ落ちる。
「ま、そこそこ楽しめたぜ。」
「待てよっ・・・!!!」
「・・・は?」
「終わっちゃいねえよ・・・!!!」
「あっれェ?斬ったはずなんですけどォ?」
「防刃Tシャツだぜ・・・!」
「はぁ?何それ。」
「今では、一般人でも簡単に購入できる・・・!備えあれば憂いなし!便利な時代になったもんだぜっ!!!」
(肋骨は折れたけどな・・・たぶん)
「じゃあ、次に狙うのは、首だァ・・・!死んだふりしていれば良かったのになァ!!!」
「させるかよ!・・・見せてやる・・・俺の奥の手だ・・・!」
俺は懐から切り札を取り出す!
「まぁた何か投げんのかァ!?」
「今度のは、半端じゃないぜ・・・!」
俺は、手に持った物の「ピン」を抜く!
「なにィッ!?しゅ、手榴弾んんん!?くそッ!!!」
「おらあああ!!!くらえ!!!雨野!!!」
「なんてなァ!俺の能力で強化された傘は、爆風すら防ぎきる!!!ひゃはは!」
雨野が傘を開き、防御の体勢に入った!
ピロロロロロロロロロロロ
「・・・ひゃ?この音は・・・?爆発が起きない・・・?」
「どういうことだァ?・・・!あいつがいねェ!どこだ!?」
「後ろだ・・・!雨野ォォォォォ!!!!」
「ぐっぎゃあああああああ!!!!」
雨野の首筋にスタンガンを押し付ける!!!
バリバリバリ!という音がしばらく続き、雨野は倒れた。
「手榴弾じゃあない。投げたのはただの防犯ブザー・・・ピンを引っ張ると鳴り出すやつだ・・・確かにお前の傘は爆風ですら完全に遮るだろ。だけどな、自分の視界も遮られる。次は透明なビニール傘にでもしたほうがいいぜ?」
「・・・俺の勝ちだぁぁぁぁ!!!!」
証明した!能力の有無は何も絶対的な差では無いんだ!
先生!見てた!?俺の頑張り!
「こらぁぁ!折村ぁ!麻島を怖がらせるな!泣いちゃってるだろ!」
「なっ・・・泣いてないっ・・・!」
「違うんです!パンツ一丁になって興奮しただけぎゃああああ!!!」
ははっ・・・誰も見ちゃいねぇ・・・
能力者育成施設・一日目からハードである・・・
次回、放課後、夕食、自由時間、就寝!長かった一日目が終わる!
そして、黒髪ポニーテール、鎌田の自己紹介とは・・・!?