二話 やっぱり地獄じゃん
今までのあらすじ
よっちゃんと別れ、学校に到着。マッチョがサイコキネシスで、哀れ、折村。
休み時間
「あ・・・暑かった・・・」
俺は死にかけていた。
「そうだね・・・窓際じゃなければ即死だったよ。」
馬場野原の授業中、たしかに教室の温度が上昇していた。
奴のテンションに比例して。これも奴の能力か・・・?
クラスのほとんどの人がダウンしている。
休み時間になったら、みんなにちやほやされるはずだったのに・・・
転校生だぜ、俺。みんな・・・起きて・・・
「じゃあ、とりあえずさ、自己紹介でもしようか?」
さすが折村!根はいい奴!
「ほら、麻島、鎌田、こっちおいでよ。セクハラしないからさ」
「別に、してもいい」
「本当かい!?」
「殺すけど」
「うぅーん・・・分かったよ、しないよ」
こいつ今、一瞬、命とセクハラ天秤にかけたよ。そこは即答しろよ。
「おーい鎌田、恥ずかしがってないで、おいでよ」
「や・・・でも」
「そういえば、今日の下着はいつもより・・・」
「わわぁっ!!!い、いくよっ・・・いくからっ!」
3人が俺の席を囲むように集まってきた。
黒髪ポニーテールの女の子と、赤い短髪の女の子、そしてイケメン。
なんか嬉しいな・・・
「まず、俺から自己紹介するね。俺は折村 光貴。よろしく」
「おう、よろしくな」
「気をつけろ。そいつは、相手が誰であっても、セクハラをしてくる」
赤い短髪の子が、ゴミを見るような目で折村を見ている。
「分かった・・・気をつける」
流石、イケメンクズ野郎だ。
「あと、俺の能力を見せてあげるよ」
能力・・・やっぱり、こいつも超能力者なんだよな・・・
「俺の能力は、これさ!」
「・・・?」
折村が手に持っているものは、シャーペンだ。
どうするんだ?爆発とかしないだろうな・・・
「いくよ・・・はぁっ!!!」
(な、何が起きるんだ・・・!?)
次の瞬間、ドスゥ・・・という音が聞こえる。
「床を見てみなよ」
「床・・・?」
下を見ると。なんとシャーペンが床に深く突き刺さっていた!
「そう、俺はペン使い!俺は、手にしたペンの強度や性能を高めることができるんだよ!」
俺の知ってる超能力と、なんかイメージが違う・・・
「ちなみに俺は、小学4年生の時から、すでにシャーペンを使っていたんだ。他の子が鉛筆を使っていた時代に、ただ一人俺がね・・・!」
だから何だ
「威力は認める。だが、そんなもの、ボクには当たらない。」
「ふふっ、麻島ちゃん・・・強がらなくてもいいんだよ?」
「お前など、能力を使わずとも、瞬殺できる・・・なんなら今・・・」
「うわあああっ!麻島ちゃん!つ、次は君の番だよ!自己紹介!」
「ん・・・そうか」
赤い短髪の子が俺の方へ向き直る。
見れば見るほどボーイッシュ。
「ボクは、麻島咲良だ。・・・ジロジロ見るな。」
「見てない見てない。」
「くそう、どいつもこいつも、いやらしい目でボクを・・!」
被害妄想が強い子なのか・・・
ただ、折村は、ガチでいやらしい視線を送っている。
「ボクの能力は教えない」
「何でだ?」
「無闇に手の内は晒さない」
「そうなのか・・・」
「基本、この学校は、成績さえ良ければ、能力を秘匿しても問題ないんだよね」
成績・・・俺、勉強苦手だしな・・・
「折村・・・も、もし成績が悪かったら?」
「自分の能力と、その問題点についてレポートを書かされるんだよ・・・」
「そうか・・・勉強、頑張らないとな・・・」
「・・・勉強?」
「・・・え?どうした?」
「あぁ、そうか。冴木くんはまだ知らないのか」
「何を?」
「この学校の成績っていうのは、勉強じゃなくて、戦闘訓練の方だよ」
・・・は?戦闘訓練?
「能力者同士で戦うんだ。気絶するまで。あ、今日の三時間目だね」
(嫌ァァァァァァァァァァァ!!!!!????)
ちょっとでも、まともな学校だと思った俺がバカだった!!!
戦闘訓練!?冗談じゃない!!!俺なんか即死に決まってる!!!
「折村。今日こそお前をボコボコにする」
「麻島ちゃーん、そろそろ能力使わないと負けちゃうかもよー?」
そんなことが平然と行われているなんて・・・!
これが、都会の恐ろしさ・・・っ!
「あ、じゃあ次は鎌田に自己紹介・・・あれ?麻島ちゃん、鎌田は?」
「消えた。いつの間に・・・?」
うーん・・・まだ黒髪ポニーテールの子と一言も話せてない・・・
でもそんなことはいいんだ・・・3時間目のことで頭がいっぱいだ・・・!
「そういうわけで、よろしくね、冴木君」
「よろしく・・・冴木。」
「よろしくな、折村、麻島。」
よし、3時間目に備えて、お腹が痛そうな演技の練習だ!
あっちゅーまに3時間目
「いた、いたたたた!」
「折村!冴木はいったいどうしたんだ!?」
「先生、冴木君がお腹痛いそうです!」
「そうか!じゃあ保健室に連れて行ってやれ!」
「わかりました」
どうだ、俺の演技力っ!!!
とりあえず初日は乗り切ってやったぜ!!!
授業が終わるまで保健室でグータラしてやるっ!!!
「一体どうしたのかしら?イケメン君」
「あ、倉井先生。冴木君がお腹痛いって・・・」
「分かったわ。ヒーリングかけてあげる」
(ヒーリング?ここの保健の先生って超能力で治すんだ・・・ん?)
「はい、終わり。あまり手応えなかったけど、完全に治ったわよ」
「よし、冴木君!授業行くよ!」
「へ?いや、でも少し安静にしてないと・・・!」
「何言ってるのよ。私のヒーリングは完璧よ」
「そうだよ、さあ行こう!」
ちょうのうりょくって すげー
くそおおおおおおおおおおぁぁぁぁ!!!!
死にたくないいいいい!!!
・・・ふぅ。どうやらアレを使う時が来たようだな・・・
見せてやる!俺が田舎から持ってきた・・・
防犯グッズの威力を!!!
次回、冴木のスタンガンとか防犯ブザーとかが唸りを上げる!!!