第一章
テレビが光をこぼしている。
画面の向こう側では息を止めたような緊張に包まれた沈黙の中で黄色い光が舞台を照らし出している。
ライトの先には150センチ四方の箱があり、べたべたと絵の具で塗りたくったような不気味な色をしている。
拍手が聞こえ始め、僕は画面の前に座った。
舞台そでから出てきたのはグレーのスーツに身を包んだ細身の男。
シルバーの眼鏡がよく似合う。
この男は26歳にして天才科学者と称される。
正確に言えば、称されるであろう人物だ。
笑顔で拍手に応え、マイクを持つ。
男の話を聞こうと会場は再び静まり返る。
「みなさん、長い挨拶は抜きにしましょう。かつてのスリーアールはリデュース、リユース、リサイクル。こうしてわたくしたちは様々なものを、また別の様々なものに変えてきました。ならば命だって、そうあるべきではありませんか。これが新たなスリーアール。リユース、リサイクルそして、リボーンです」
そう言ったと同時に箱を突き破ってビールの缶をつなげてできた腕が伸びてきた。
カメラがぐっと近づき、鋏や鉛筆でできた指が箱に押しあてられているのがわかる。
両腕で持ち上げられた上半身が箱をつき破った。
料理用のボウルでできた頭部にビデオテープの目。
でこぼこしていることからボウルが新品でないとわかる。
片目には何故かCDがついている。
肩にはこれも料理用のおたまがはまっており胴はペットボトル。
そして中心に小さな鳥かごのようなものがあり、中にはスライムのようなどろっとした赤い塊が入っている。
その鳥かごにかけられた金属の先には紐とも太い銅線ともとれる赤、青二色の線が体中に張り巡らされている。
植物のつるのようなそれは、動脈と静脈らしいと気付いた。
それから男はその「人」について説明しだした。
僕はテレビを消して立ち上がる。
「よくないよ、そういうことは」
そうして、木のドアを開けて外に出た。
まぶしい日の光に目を細める。
あたり一面の緑。
僕はこの森にログハウスを建て住んでいる。
畑にしている一画に水をあげ、大きく息を吸った。
空は見事なまでのそらいろだ。
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