13.
なんとなくそんな予感はしていたが、案内された先、よく手入れされたお屋敷で見えた女王は、その周りに見目麗しい男性の屍人を侍らせていた。
「‥‥うわー‥‥」
正直言って、ヨギには理解ができない。なるべく距離を置こうと決心した。物理的にも心情的にも。だがタルデは周りを気にすることなく、かといって無視するでもなく均等に眺めてから、まっすぐに女王に声をかけた。
「女王」
「――まぁ、はじめまして。ようこそいらっしゃいました、剣の主サマ」
美しい所作で礼をして見せる、それは儚げな美人だった。それは認めよう。対するタルデは別段美しいとは言い難い。いや、別に美しさで競うわけではないのだけれども。ただ、タルデには強さがあった。女王にそれはない。
「お招きに預かり光栄だ。‥‥レイはいないのだな」
期待など一切していなかったように、あっさりとタルデは言った。
「?‥‥あぁ、あの職人さん、ね」
応えて謎めいた笑みを見せる女王は美しかったが、それを見てタルデは決心した。必ずこの乙女を滅ぼすだろうと、決意した。
「それで、私を再三招いていたのはどういう理由だ?」
屍人にはもう剣は必要ない。女王に剣は必要ないのだ。同じ存在を増やそうと思えば触れるだけでいい、そんな屍人に剣は不要なはずなのに。おそらく厳密な意味ではタルデと屍人とは同じ存在ではないのだろう。剣をどうしてそこまで求めるのか、主とされるタルデにはまるで分からないのだ。
「ねぇ、主サマ。それは、わたしたちの、礎なのではなくて?」
女王の意志の下に、ゆるゆると屍人が集まってくる、それをまるで気にせずに、タルデの視線はまっすぐに女王を射抜く。その間にヨギは入り口まで戻っていて、案内人を下していた。出入り口はここ、のみか?
「礎?」
「えぇ。それは、剣は、わたしたちを、導くのではなくて?」
囀るような女王の声。それに応えて、タルデは鼻で笑った。
「は。私は何ものにも導かれたことなどないよ。
大体導く先とは何だというのだ。生ける人間を全て屍人にして、そうしたら一千年の先に待つのは滅びだけだ」
「それは素晴らしい事ね」
間違いなく恍惚と女王は言ったのだ。意味が分からず揃ってきょとんとして、それからタルデは剣を抜いてヨギは拳を疾らせた。




