表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死者の午後  作者:
屍人狩りのヨギ
51/53

12.

 ここも正しく屍人の集落だった。


 少なくとも目につく範囲に生きている人間は、ヨギ1人だ。別段それが心細いとかではないが、ただ、本拠にしては人数が少ないような気がするな、とぼんやり思った。


 ぼんやりでもしないと、うっかり襲い掛かりそうになる。


「思ったより少ないのだな」


 同じことを思ったようで、呟いたタルデに案内人はにこやかに振り返った。


「精鋭ですよ」


 ヨギのことは無視することにしたらしい。案内人がそういう態度だからか、もともと他人に興味はないのか、少ない視線が集まることもなく、ヨギは存分に集落を観察した。耳は会話を拾っている。


「というよりも、どうせ、標の数制限だろう」


「それは‥‥ないとは言えませんが」


「まぁ、それほど器用なことはできないしな。大した刺繍だとは思うが」


 多分普通に考えて、百年やそこらは存在していたはずだが、百年を費やして大した数を作られないとはどうなんだ、と思ったが、そういえばタルデも、筋力の制御が甘くなるとか言っていた気もするし、それが当然‥‥なのか?


 そしてタルデが気付いた標とは刺繍らしい。


「我らが女王にそればかりさせるわけにもいきませんし」


 正直それは恥部だと思うのだが、案内人に言いよどむ色はなかった。むしろそれで納得するなら安いものだ、とでもいうような奇妙な切実さを覚える。


「‥‥別に統治する必然もないだろうにな」


 今度の呟きは案内人には届かなかったらしい。



 集落の様子をぼんやりと眺めながら歩いていたヨギは、遠巻きに見える屍人が揃いも揃って若い男性の姿だというのに気付いた。気付いてしまった。


「‥‥女王って、‥‥」


 先ほどのタルデのそれと同程度に小さな呟きは誰に拾われるでもなく、風に消えた。


 太陽は沈もうとしている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ