8.
ヨギはタルデと、ひとまず共闘することに決めた。
元凶といってもタルデはその元となった剣を持っているというだけだし、大体そもそも彼女自身もずっと昔に斬られたというだけで管理するいわれはないのだった。師を思い出す懐かしさもあって、あっさりとヨギは彼女を受け入れた。
「それじゃぁ、夜が明けたら一応起こしてね」
多分自分で勝手に起きるだろうけれど。そう言い置いてヨギは勝手に寝台を使った。寝込みを襲われてもつまらないから、家の中は念入りに調べたしタルデも部屋の前で夜を明かしてくれると言ってくれた。睡眠は不要だというから、心強いといえばそうだ。
信頼はしない。でも信用は心からできると思う。それが素直なところだ。
信頼した師は最後にヨギに襲い掛かって、最期に呪いをかけて死んだのだけれど。けれどだからこそ、多分ヨギはもう誰のことも信頼はしない。
裏切られたわけではないけれど、ヨギの心の柔らかいところが傷を負ったのは確かなことだ。でもそれで師を詰るわけにもいかなくて、ヨギはそれをごまかすためもあってただひたすら狩りに生きている。
師は屍人を憎んでいた。だから問答無用で狩り続けた。ヨギに、屍人に対する憎しみはない。恨みもない。ただ必要だと思うから屍人狩りとして生きている。師ほど熱意を持っているわけではないが、だから逆に、屍人狩りをやめる理由もない。
多分、自分は死ぬまで屍人狩りで、誰かの呪いになることもできないから、きっと最後の屍人狩りなのだとヨギは思っている。
だから、屍人の女王は滅ぼさなければならない。
翌朝、目覚めはよかった。
「タルデさん、おはよう」
「‥‥あぁ、おはよう」
ちょっとぎこちなさを感じて首を傾げると、タルデは苦笑した。
「あぁ、朝の挨拶をするなんて久し振りで」
「どんだけ淋しい生活だったの?
て言ってもあたしだってずーっと一人旅だったんだけどさ」
思えば師を見送ってから、まともに会話をした覚えがない。もしかしたら自分のほうこそ淋しい生活を送っていたのではないだろうか。
「あの馬鹿の家にいたときは、ろくに会話もしなかったしな。お互い空気だった」
そっけないほどあっさりと、タルデは言った。
「その馬鹿のひとって、女王を斬ったっていう?」
「‥‥馬鹿のひと」
一端絶句し、それから気を取り直したようにタルデは頷いた。
「まぁ、そうだ。斬ったのか刺したのかは知らないが、あの馬鹿は惚れた女を化け物にしやがったのさ」
馬鹿のひとは男だったのか。と思い、もしかして三角関係か?とも思ったが、目の前の彼女にそんな甘やかな感情は似合わないな、とヨギは自分で却下した。




