6.
「あたしは、ヨギ。屍人を狩っているの」
「‥‥私はタルデだ。別に狩っているわけではないが、寄ってくるのは斬っているな」
2人は一軒の家の中にいた。
あれから、協力しようと口に出したわけではないが2人は分担して、集落中の家に火を着けて回った。適当に目星を付けた一軒を、夜を過ごすためだけに残して。
屍人になることは不可逆だ。それはあくまでも人の死だ。だから、滅ぼすことに否やはなかった。ヨギには見ればそれが屍人かどうか分かるのだし、一軒一軒改めることもできるのだが、気配のない彼らを捜すのは骨だし、討ち漏らしがあるとそこから増えるので、大概の場合全て燃やしてしまうことにしている。
女性相手でも怯むことはないし、子供の屍人が燃える家の中から駆け出してきたりもした。それらにも容赦なく拳を叩き込んだ。それもいつものことだ。
残した一軒についても、ざっと中を改めはしたが、今夜を過ごしたら燃やして立ち去るつもりだった。たとえ今こうして食卓を囲んでも、こんな場所は憩いの場にはなりえない。
食事はヨギのためにヨギが自分で作った。それを口に運びながら、タルデと名乗った屍人と言葉を交わす。
「それにしても‥‥ひとが死体に勝てるとは思わなかった」
しみじみと彼女は言った。パンをちぎって口に放り込んで、ヨギはそれに応える。
「あたしだって、屍人狩り以外にあいつらを滅ぼせるとなんて思っていなかったわ」
「屍人狩り、ねぇ。そんな職業名になるほど認知されていたのか」
「さぁ?多分自称だと思うけど」
久方ぶりに会話をした。
ほとんど野宿のひとり旅だ、誰かと言葉を交わすことなんて、下手をしたら数年前に師を失って以来だったかもしれない。獲物に対して一方的に問いかけることはあっても、答えなんて基本的に拳だし。
「自称か。
まぁ、死体を死体に返すのは難しい事ではないよ。頭と心臓とを分ければいい」
こともなげに彼女は言ったが、身体能力に秀でる屍人の首を飛ばせる人間がどれほどいるというのだろう。
「それより屍人狩りの仕事のほうが私には驚異だ」
「呪いだからね」
対抗するわけではないがこともなげにヨギも応える。理屈は知らない。ただ、師の呪いがあって初めて、ヨギは屍人と戦えるし狩ることができる。




