1.
ヨギの師匠はヨギに告げた。
「私を殺せ」
そしてヨギに銃口を向けたから、泣きながらヨギは師を討った。討つしかなかった、気付かなかった自分を呪いながら、いつの間に師は討つべき者たちと同じになっていたのだろうと、嘆きながら。
けれど嘆くヨギに師が言ったから。珍しく柔らかい笑顔で、囁くように言ったから。
「すまない。優しいお前に殺させてしまった。
けれどこうでなければ、私はお前の呪いになれない」
ヨギはそうして、師の呪いを受けた。
そこは屍人の村だった。
「‥‥生きている人は、やっぱりいないのかしらね?」
ヨギは首を傾けた。
ヨギの目は生きている人と屍人とを見分ける。普通は区別がつかないものらしい、息をしていないことを確かめでもしない限りには。けれども息をしているかしていないか区別できるほど近付けば、それは触れられる距離ということで、そんなことになれば自分が屍人になるのはあっという間だ。
いつからその存在があるのかは知らない。けれどヨギの師が最初の一人というわけではなく、屍人を狩る者が存在するのだから、少なくとも数年で発生したというわけではないだろう。昔からあって、だから抗する者たちがいる。そういうことなのだろう。それ以上のことはヨギには分からない。分からなくても、ヨギは屍人を狩る。
「こんにちは」
にこにこと微笑みながら、ヨギは己の目が屍人と訴える村人に向かって挨拶をした。
「‥‥旅のひとですか?」
村人はどことなくのっぺりとした顔でそれに応える。多分、ヨギが気付いていることを知らないのだろう。だから不自然でない程度に近付いて、受け答えをして、
そして、引き込もうというのだろう。
「そうね。
あなたたちの女王はここにいるの?」
「‥‥女王?」
違ったかしら?とヨギは愛らしく首を傾げる。村人はのっぺりとした顔ながら緊張したのが分かった。そして次には、
「‥‥あぁ、あたしはあなたたちになる気はないの」
手を伸ばしてきたものだから、ヨギはそれを蹴り飛ばすと、自ら懐に突っ込んでいって拳を突き出した。
村人は腹に拳が突き刺さるのを、避けようとしなかった。むしろ近付いてきたヨギに笑みを向けて見せた。
だが、次の瞬間、その笑みは驚愕に歪み、そして消えた。




