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死者の午後  作者:
屍人狩りのヨギ
40/53

1.

 ヨギの師匠はヨギに告げた。


「私を殺せ」


 そしてヨギに銃口を向けたから、泣きながらヨギは師を討った。討つしかなかった、気付かなかった自分を呪いながら、いつの間に師は討つべき者たちと同じになっていたのだろうと、嘆きながら。


 けれど嘆くヨギに師が言ったから。珍しく柔らかい笑顔で、囁くように言ったから。


「すまない。優しいお前に殺させてしまった。

 けれどこうでなければ、私はお前の呪いになれない」


 ヨギはそうして、師の呪いを受けた。



 そこは屍人の村だった。


「‥‥生きている人は、やっぱりいないのかしらね?」


 ヨギは首を傾けた。


 ヨギの目は生きている人と屍人とを見分ける。普通は区別がつかないものらしい、息をしていないことを確かめでもしない限りには。けれども息をしているかしていないか区別できるほど近付けば、それは触れられる距離ということで、そんなことになれば自分が屍人になるのはあっという間だ。


 いつからその存在があるのかは知らない。けれどヨギの師が最初の一人というわけではなく、屍人を狩る者が存在するのだから、少なくとも数年で発生したというわけではないだろう。昔からあって、だから抗する者たちがいる。そういうことなのだろう。それ以上のことはヨギには分からない。分からなくても、ヨギは屍人を狩る。


「こんにちは」


 にこにこと微笑みながら、ヨギは己の目が屍人と訴える村人に向かって挨拶をした。


「‥‥旅のひとですか?」


 村人はどことなくのっぺりとした顔でそれに応える。多分、ヨギが気付いていることを知らないのだろう。だから不自然でない程度に近付いて、受け答えをして、


 そして、引き込もうというのだろう。


「そうね。

 あなたたちの女王はここにいるの?」


「‥‥女王?」


 違ったかしら?とヨギは愛らしく首を傾げる。村人はのっぺりとした顔ながら緊張したのが分かった。そして次には、


「‥‥あぁ、あたしはあなたたちになる気はないの」


手を伸ばしてきたものだから、ヨギはそれを蹴り飛ばすと、自ら懐に突っ込んでいって拳を突き出した。


 村人は腹に拳が突き刺さるのを、避けようとしなかった。むしろ近付いてきたヨギに笑みを向けて見せた。


 だが、次の瞬間、その笑みは驚愕に歪み、そして消えた。

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