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死者の午後  作者:
夕姐さんと光の王
33/53

7.

 タルデはまったく役に立たない居候と化した。


 なにせ全ての行動が無造作すぎる。変に義理堅いため、最初は家事など手伝おうと言い出したが、初めの一日でそれは断ることにした。何というか、家事そのものの手際に問題があるわけではなく掃除洗濯料理と結果は出すものの、後片付けが必ず発生した。何が哀しくて掃き掃除を頼んだその次に扉の補修をお願いしなければならないというのだろう。


「‥‥すまないな」


 ただ、食事も睡眠も要しないという言葉に嘘はないようで、余計な仕事をさせなければ余計な出費も発生しないというのだけはありがたい。逆に言うと仕事を頼むと余計な出費がかさむということだが。


 この時代の金の持ち合わせがほとんどないというタルデだったから、依頼料を労働で払うと言い出したのだが、それでは対価にまるで見合わないことはすぐに分かった。


「‥‥別に。本職じゃねぇけど荒く削るくらいはできるから、これで十分だし」


 その代りにと彼女が差し出したのは、どこで見つけたと言うのだか、大ぶりの宝石の原石を数個だった。


「私にも何かできるといいのだがな」


「あんたに任せると全部粉砕されるからいい」


 まるで原石のまま売るよりは、多少磨いたほうがよい。もちろん売り物になるほどの研磨の腕はないが、売り物になるだろうと予感させるくらいのことはできる。レイは作業台の片隅で、使い物にならない古い商売道具を駆使して原石と格闘していた。


「‥‥すまない。金目のものではなくて金を用意するべきだと分かってはいたのだが」


 手作業をしながらでも口は動かせるが、レイはそれほど口数の多いほうではない。ぽつぽつと話しをするタルデの言葉を背景に、そこに石を削る音が重なる。


「これでも死ぬ前は薬師の真似事くらいはしていたし、薬を作って売るということも考えたのだが、何せ2年間一歩も出なかったものだから」


 まぁ、普通は薬草も駄目になるだろう。


 普通なら。


「‥‥草は仕舞っておかなかったのか?」


 どこに、とは言わない。言葉にするとあまりに非常識で頭が痛くなる。


「私には必要ないものだからな」


 あぁそういえば治癒もしないと言っていたか。だからこそタルデは、レイの父親の元に依頼をしに来たのだった。

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