表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死者の午後  作者:
生者の夕べ
21/53

8.

「祠の裏に突き刺しました」


 思い出せてすっきりしたが、すっきりしたのはタルデだけのようだった。


 おっさんは頭を抱え、少年は非難する目でタルデを見ていた。非難はおっさんからも発せられている。


「‥‥天使サンよ。

 どうやら面倒事は、お前さん発信のようだ」


「つまり?」


「‥‥兄さんは、すごい剣を手に入れたんだ、って‥‥」


 おっさんとタルデとの間で交わされている会話に出てくる剣がどういったものかは分かっていないのだろうが、感じるところがあったのだろう、呻くように少年は言った。それでタルデにも事態が呑み込めた。


「つまり、私が飽きて放り出した剣を持って何かをやらかしたのが君の兄だというわけか。

 で、何をやらかした?」


 他人事のようなタルデの言い方に、一瞬反発しかけたものの少年は堪えてみせた。


「っ‥‥まだ、何も‥‥」


「何も?それなのに息せき切ってやって来たのか?」


 おっさんの非難の視線はやはりタルデにのみ注がれているが、その言うことにはタルデも同感だった。まだ何もしていないのなら、少年は何をそれほど危惧してやって来たというのか。


「‥‥兄さんは、弱いひとだから‥‥今はまだ、調子に乗っているだけ、だけど、いつ何をしでかすか分からないんです」


「ふむ?」


「弱いから、取り上げられればいいけど、でもあの執着だと多分なりふり構わないと思うから」


 少年もその剣を垣間見たのだと言った。


 そして、それが忌むべきものだと直感した。それは振るわれてはならないものだと確信した。それ故に、山に住むという人ではないものに助けを求めに来たのだと。あれは人が振るうべきものではないから。


「貴女があれの持ち主だというのなら、お願いです、兄さんからあれを離して」


「‥‥まぁ、被害が出る前にはどうにかしてぇところだが‥‥」


 だが、待てと言いたい。


「‥‥別に私はアレの持ち主だというわけではないんだが‥‥」


 それはタルデの心からの主張だったのだが、難しい顔を突き合わせる男どもには完全に無視された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ