きらきらなもの その2
食事のあとはそれぞれでお店をめぐって、決まった時間にフードコートに再集合することになっている。
欲しいもの…と言っても現実の小学校5年生に好きに使えるお金なんてそうはない。見てるだけ…見てるだけなのだけれど、ぎゅうにゅうに並べられたぬいぐるみ、一目では見分けられそうにないくらい重なって掛けられているキーホルダーやマスコット、チャームの数々。
このペンケースにこのチャームをつけて、このちょっとキモカワなキャラのペンが入ってたらかわいいかも。夢ひろがる。
「本当に買ったねぇ〜」
「…うん。買ったね」
お姉ちゃんより少しお姉さんかな、見てるだけもしないほどのお店のロゴが入った小さなバッグを手にしている。
「あたし頑張った!バイトがんばったもん!」
もう一人のお姉さんもえらいえらいよとにこやかに微笑み返す。
しゃがみ込んでグッズを眺める私は、きっとそのブランドのバッグに入っているアクセサリーみたいに、二人が輝いて見えた。
それを見つけて手に入れるまでの日々、そしてそれを手に入れてからの日々。
二人はあっという間にモールの雑踏に紛れてしまった。
もう少し大人になったら、私もああいう風にしてみたいなあ…
とぼんやりと考えながら、モールの通路にある休憩用の椅子にこしかけた。
そもそも私が探してるものって、あの男の子が見つけたものであって、形も色も分からないんだよなぁ。これだと思っても、それが正解かはわからないのだし。
私は他にもここに休憩しにやって来た人が二人連れだったので、ひとつ開けて座った椅子を、その二人が並んで座れるように移動した。
「あら、ありがとうねえ。
お嬢さんがあけて下さったよ、」
おじいさんとおばあさんが、私に笑いかけてくれたので、てれくさいけど、笑顔を返した。
「やっぱり人おおいねー」とか
「アイスたべてかえろうかねー」とか
二人は和やかに会話を続けていた。
私もつぎはどこを見ようかなあとぼんやり考えていると、二人はお互いを気づかうように手を取り合って立ち上がり、私に軽く会釈をしてから歩き出した。
モールにはたくさんのひとが訪れる。そもそも世の中にはたくさんのひとがいる。みんなそれぞれに好きもキライもあって、楽しい日もつまらない日もある。ぼんやりと行き交うひとの流れを見る…
スマホにお姉ちゃんからの招集、フードコートに席確保の通知が来たようだ。
まだちょっと座っていようかなと思っていた所へ…
「みつけたよ!」
という男の子の声が、私がぼんやりと見つめていた景色のピントを合わせるようにはっきりときこえてきた。
「ぼくね、つかまえたんだよ」
ちょっと離れた椅子に座っているお母さんにかけた言葉だったようだ。
男の子はうれしそうにお母さんのひざにじゃれついている。
「あら、つかまえたのはお母さんよ。」
お母さんのほうもほほえんでいる。
私は立ち上がり、フードコートへ向かうことにした。
「私もいつかそれをみつけられるよね」




