「俺TUEEE系がなぜ人気なのか―そしてその欠点」
最近、ライトノベルや異世界アニメの世界で「俺TUEEE」と呼ばれるジャンルが大人気になっている。これは、言葉のとおり主人公が圧倒的な強さを持ち、普通や周りの人間なら苦戦する敵を一瞬で倒してしまい、他のキャラクターから尊敬や羨望を受けたりする物語のことだ。ゲームで例えるならば、何かのきっかけで、最初からレベル9999でスタートするような感じだ。僕自身、最初は「こんなの物語として成り立つの?成り立っていいの?」と思っていたけれど、気づけば何作品も読み漁っていたりする。そんな「俺TUEEE」系のジャンルが異世界アニメの中でもどうしてこんなにも人気なのか、そしてそこにどんな欠点があるのか、僕なりに考えてみたいと思う。
■1:なぜこれほど人気なのか
●① 読者が「努力しなくても報われる世界」を求めている
僕たちが現実で生きていると、努力しても必ずしも結果に結びつくわけじゃない。テスト前にどれだけ勉強しても良い点が取れないこともあるし、部活で頑張ってもレギュラーになれないことだってある。つまり、現実は理不尽だらけだ。そんなに甘くない
だけど、そんな中で「俺TUEEE系」だと、主人公は努力しなくても最初から強い、あるいは最初の努力が圧倒的に報われる。読者はそこに今までの人生の“願望の代行”を見ているのかもしれない。「こうだったら良かったのに」「自分もこんな風に活躍したい」――そういう思いを物語が代わりに叶えてくれる。
●② ストレスのない展開で気軽に読める
この世の中にはアニメ作品や小説が星の数ほど存在するが、物語によっては、キャラが苦しみ、敗北して、仲間を失って、深刻な鬱々しい展開が続くものもある。そういう重たいストーリーも、もちろん面白いけれど、読む側としては疲れてしまうこともある。なので鬱アニメなどは緩急をつけて視聴者が飽きないように、疲れすぎないように内容を他のアニメよりよく考えられているのだ。
その点、俺TUEEE系はストレスが少ない。主人公が勝つことはわかっているから安心して読めるし、敵に苦戦しないからテンポもいい。学校の帰りや寝る前など、軽く読みたいとき、脳みそが空っぽな時にちょうどいいジャンルなんだと思う。
●③ 現代の娯楽の“即効性”と相性が良い
You〇ubeのshort動画やSNSのスクロールなど、「すぐ快感が得られるコンテンツ」が増えている。俺TUEEE系は、“爽快感”や“すっきり感”を短時間で得られる構造をしている。
だからこそ、現代のアニメ視聴者の習慣や感覚に合っていて、自然と人気が伸びていったのだと思う。
■2:しかし「俺TUEEE」には明確な欠点もある
ここまでずっと人気の理由を書いてきたけれど、「じゃあ異世界アニメの中でこのジャンルは完璧なのか?」と言われれば、もちろんそんなことはない。むしろ、欠点がハッキリしているジャンルでもある。
●① 主人公が強すぎて逆に緊張感がなくなる
物語の面白さのひとつには、危機や逆境をどう乗り越えるか…というものがあると思う。だけど、最初から主人公が最強状態だと、そもそも危機が起きても危機にならない。
「この敵はヤバい!」とサブキャラたちが慌てても、主人公が一撃で倒してしまうと緊張感はゼロだ。読者も「どうせ勝つんでしょ」と思ってしまい、物語にハラハラが生まれにくい。
●② 主人公が成長する物語になりにくい
物語の醍醐味の一つは“成長”だと思う。でも俺TUEEE系は、最初から最強なので成長要素が薄い。レベル1からコツコツ積み上げていくタイプの物語に比べると、深みが出づらい。
もちろん「精神的な成長」などを描く作品もあるけれど、「能力の応用的な成長」の気持ちよさが少ないのは否めない。
●③ サブキャラの存在が“飾り”になってしまうことがある
主人公が圧倒的な力を持っていると、他のキャラが何をしても敵わない状況になりやすい。
すると、仲間やライバルが活躍する場面が減り、物語全体の厚みが薄くなる。ただ主人公を褒めるだけの装飾になる周囲のキャラのIQが下がりがち
• 主人公以外が露骨に無能化される
• アニメ自体が主人公が活躍するための舞台装置感が出ている
●④ 戦闘が単調になりやすい
敵を瞬殺する描写は確かに爽快だけど、何度も続くと“作業感”が出てくる。
本来、戦闘って工夫があったり、能力の駆け引きがあったりするから面白いのに、俺TUEEE系だと「強さの証明」だけが目的になってしまいがちだ。
■3:それでも人は「俺TUEEE」を視聴してしまう
欠点を書いてきたけれど、じゃあ僕自身が読まなくなるのかと言われると、きっとそんなことはないと思う。なぜなら、このジャンルは現実で抱えるモヤモヤやストレスを簡単に吹き飛ばしてくれる力があるからだ。
学校生活でも、家庭でも、将来のことでも、不安や苛立ちが溜まったとき、俺TUEEEの“分かりやすい爽快感”はちょうど良い逃げ場になる。「もし自分がこんな風に無双できたら」という想像は、ほんの少しだけ心を軽くしてくれる。
つまり、俺TUEEE系は“作品としての奥深さ”よりも “心のガス抜き”として読む価値があるジャンルなのだと思う。
■4:これからの俺TUEEEに求められるもの
僕が思うのは、「どうせ最強なら、その強さを別の方向で面白くできる作品がもっと増えてもいい」ということだ。ただ強いだけではなく、強さの見せ方に工夫があるタイプ――
例えば“最強だけど社会常識がない主人公”“強すぎるせいで逆にトラブルに巻き込まれる主人公”など、最強という設定を利用して面白さを作り出している作品は読んでいて飽きない。
これからの俺TUEEEは“ただ勝つだけじゃない、新しい見せ方”が重要なんじゃないかと思う。
強すぎるのにヤレヤレ系は…
承〇郎で十分かな…




