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声劇用台本「老いない魔女」男女1:1  作者: 木山京


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5/10

■5 老いない魔女と夢闇の書斎

◆1話と同じロケーション。気がつくと老人の書斎に立っている。


◆魔女

あれ? ここ、この部屋……。

あの人、の……?


◆老人

どうしたんだね?



◆魔女

え? あ、え……君、なんで……。



◆老人

狐にでもつままれたような、と。そんな顔じゃないか。

急に呆然として、どうしたんだ?


◆魔女

あ、ああ……や、別に。

夢……見てたのかも。


◆老人

白日夢か。得意分野だものな。


◆魔女

うん……そう、だね。そうかも。……あはは、変だね。魔法も使ってないのに。


◆老人

元があやふやなのだから、そういうことも、ままある。

そんな講義をしてくれたのは、いやはや……ふふっ、誰だったかな。


◆魔女

昔のこと引き合いに出すのはマナー違反、って教えとくべきだったなぁ。


◆老人

至らぬ師、とは自称しないでくれよ?


◆魔女

出来過ぎる教え子も考えものだねぇ。

ああでも……どんなだったかな。


◆老人

その、夢のことかな?


◆魔女

ん……誰かが居たんだよ。

大切な誰かがいなくなって、その誰かに託されて。

誰だったかな……君に似てる子だったんだよ。

その子に言ったんだ。一面の紅葉の中で、たったひとつだけ……すぐに……。


◆老人

……すぐに?


◆魔女

すぐに、見つけられる……そんな人。

……あの写真は? 写真、そこになかったっけ?


◆老人

まだあるとも。今ではない、ここに。あれは君に必要なものだった。


◆魔女

ああ……うん、そっか。夢は、こっちの方か。


◆老人

寂しげに言うものだね。


◆魔女

そりゃ寂しいでしょ。一瞬、期待したんだから。

私はまだこの書斎に居て、君も変わらずここにいる。

私が見ていた何日かは夢で、本当はただ……居心地のいい場所にいる。

でも、そっか……これは夢か。


◆老人

木星の守護、第5番。アドリブでやるにしては大袈裟だ。

並みの魔法使いなら、反動で命を落としても不思議じゃない。

眠るだけで済んだのは、幸運と呼べるんじゃないか?


◆魔女

どうだか。……ていうかさ。


◆老人

うん?


◆魔女

君、私にとりついてたの?


◆老人

それほど未練に尽くせる人間だったなら、私は家族を作っていないよ。


◆魔女

でも君はここにいる。この書斎も。再会した、あの日のままだよ。


◆老人

根本的な、誤解というのかな。

君の知っている私はここにいる。だが決して私になり得ない。

私は君の問いに答えられるし、物の見方は変えられる。

けれど君の知らない方程式を、私が答えることはできない。なぜなら……。


◆魔女

……虚像だから。私が知ってる君についての記憶……思い出でしかないから。


◆老人

すまないな。……酷なことを言わせている。


◆魔女

謝んないでよ。夢の中でも律儀なんだからなぁ。

木星5番……起きた時には三日後かな。


◆老人

まばたきする間だね、まさしく。

あれはどうかな。


◆魔女

助手君? いい子だよ。じーちゃんみたいに捻くれてないし。

ふふっ、誰に言ってんだろ。


◆老人

だとしても、安心したよ。置き土産というのは、あの子に悪いかな。


◆魔女

雑な言い方だなぁ。まあでも、また迷惑かけちゃった。

元気にしてるかなぁ……。


◆老人

楽しんでいるよ。


◆魔女

……わかるの?


◆老人

この私は、言ってしまえば神経のようなものだ。

君という意識の外にあるものを拾える。

だから……ああ、これは中々面白そうだ。


◆魔女

何の話よ。


◆老人

君の助手で、私の孫。それからもう一人。


◆魔女

もう一人……? ちょっと、それって……!


◆老人

やっていけるさ。君は、私の憧れなんだ。

どうか助けてやってほしい。あの子だけじゃなく、私の師匠を。

残すのなら未練でなく遺産を、と。

これを教えてくれたのは、君でなく妻の方だったな。

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