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声劇用台本「老いない魔女」男女1:1  作者: 木山京


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1/10

■1 老いない魔女と揺り椅子の連れ合い

noteにも載せている声劇用フリー台本です。

「まとめてる場所が欲しい!」とご要望受けたので、こちらにまとめようかと。

内容自体に変化はありません。

また本作はト書きなど最低限となっております。

アドリブ・改変含めてよろしければご自由にお使いください。


配役まとめ

■キャラクター(基本的に男女二人劇ですが、登場人物は五人います)

◆魔女…メイン1。不老不死の少女。明るく活発なイメージ。

◆青年…メイン2。魔女と暮らす助手。やや大人しそうな雰囲気。

◆老人…サブ1。青年の祖父で、魔女の弟子。どことなく疲れた感じ。

◆少女…サブ2。ラストに登場する、魔女の跡継ぎ。

◆少年…サブ3。ラストに登場する、青年の子孫。


◆老人の部屋。軽くノックして魔女が入って来る。

◆老人は若干後ろめたそうに苦笑しながら。魔女は静かに微笑みながら。


◆老人

ああ……来てくれたか。


◆魔女

うん。久しぶり。

元気そうだね。


◆老人

思ったよりは、だろう?


◆魔女

うん。思ったよりは。40年ぶりだっけ。


◆老人

そうとも。40年だ。

君の方は……相変わらず、少しも変わらない。


◆魔女

変わりたくても、ね。これでも化け物だから。


◆老人

そうだったな……。

こうして面と向かって、実感したよ。君は、本当に老いない。


◆魔女

ふふっ、なんだねなんだねー? 信じていなかったのかねぇ~?


◆老人

いやいや、ははっ……。そうであったら、私はもういくらか健康だろうよ。

ああ、座ってくれ。酒が……酒があったはずだ。


◆魔女

取るよ。

へえ、蒸留酒……こんな強いの飲むんだ?


◆老人

師匠の影響か……それとも、歳を食ったせいかな。

味がわかるようになったよ。

足が動かない分、舌は肥えなきゃならんからね。


◆魔女

自分で言うかな。


◆老人

説得力は増したろう?


◆魔女

そうかもね。……あそこの写真。


◆老人

うん?


◆魔女

まだ飾ってるんだ?


◆老人

ああ。記念だよ。

写真嫌いの連れ合いが、唯一撮ってくれた。


◆魔女

40年前に、たった1枚だけね。

あの子が今や、ねえ……。

一緒にお酒飲む日が来るとは、思わなかったよ。


◆老人

君には退屈かもしれんが。

見ての通りだ。

すっかり、くたびれてしまったから。


◆魔女

それがいいんじゃない。

老いの渋みは、定命の特権。

私じゃ、真似したくても出来ないよ。


◆老人

だが、未練があればまた別だ。

……見てみろ。

これで連れだって外を歩けば、老人と孫だ。


◆魔女

ははっ、いつから人目を気にするようになったの?


◆老人

そういうわけではないよ。

だが……すまないなぁ。


◆魔女

なぁーに謝ってるのさ。


◆老人

謝るとも。

私は……僕は、約束を守れなかった。

不老不死の呪い……君のそれから、君を解くと。

約束したのに、この有り様だ。


◆魔女

手あたり次第、呪物の解析なんかするからだよ。

40年経っても、無茶なのは相変わらずか。

学習してるんだかしてないんだか…。


◆老人

どこぞの世捨て人と違って、社会常識程度は学んださ。

……すまんな。


◆魔女

謝んないでってば。


◆老人

いや……また別の話だ。

孫たちには会ったろう?


◆魔女

……それ込みで、謝ることじゃないんだって。

けど……奥さんは、いつ……?


◆老人

去年の秋だった。

見抜かれていたよ。

私も、もう長くないのだから……君に会っておけ、と。

未練は残さず、遺産を残してやりなさい。

そんなことを言われたよ。

ああ、出来た人だった。


◆魔女

……そっか。


◆老人

何か、変わっただろうかな。


◆魔女

ん?


◆老人

君が街を出た日……私も、君と共に行っていれば……。

そうしたら、今とは、何かが……。


◆魔女

変わらないよ。

あの日の旅が一緒でも、いつか、私は君を置いて行った。

そしてきっと、君は誰かと結ばれて……だから、変わらなかったよ。


◆老人

そうか。ああ……そうだろうな。

そうだろうと思う。

君は、これからどうする?


◆魔女

さあねぇ……。

根無し草なのは変わんないよ。

でも、そうだな……。

家でも建ててみようかなって思う。

歩き回るのは、少し疲れたから。

湖のそばで、小さな木の家で……。

朝は釣りして、昼はひなたぼっこして……。

あっ、絵でもやってみようかな。


◆老人

ははっ、魔女の描いた絵か。

そういうのもあるんだったな。

いいな、それは。


◆魔女

うん、いいでしょ。

だから、ってわけじゃないんだけどさ。

……私にとっても、旅はここで終わりなんだ。

最後が君で、本当に嬉しかった。


◆老人

ああ、私もだ。

……あの写真、持って行ってくれ。


◆魔女

……いいの?


◆老人

私より君に必要だろう?


◆魔女

うん、ありがと。

……私さ。

今日、また会えて……よかった。

また来るから。

きっと、きっとまたいつか……!


◆老人

いいや。

いつか、は……もう言わないことにしたんだ。


◆魔女

……そっか。

じゃあ、さよならだね。


◆老人

ああ、さよならだ。

とはいえ……。


◆魔女

わかってる。

高いお酒を残して、帰るわけにはいかないでしょ。

乾杯しよっか。


◆老人

ああ……湖畔の魔女に。


◆魔女

初恋の……。


◆老人

うん?


◆魔女

初恋の終わりに。

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