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2滴目「ただいま」

放課後に少し遊んで帰った葵と檸音。葵は檸音に自転車の二人乗りで家まで送ってもらうが、別れ際に檸音から翌日大事な話があると告げられる。葵は不安な気持ちがよぎるなか、明日が来るのを待っている。

「ただいまー」

冷たい、エアコンが効いているのか冷たい空間が汗ばんだ僕の皮膚を覆う

「あら、おかえりなさい。今日は帰ってくるのが遅かったね」

「うん、檸音と少し寄り道して帰ったからね」

「そうなのね、ほんとに仲がいいこと。もうすぐご飯だから手洗ってきてちょうだいね」

「ねぇーおかーさーん!なんか焦げ臭いんだけどぉ」

「え!?やだ、IHの温度下げ忘れたかしら?大変大変」

僕の母は少し抜けているところがある、そこを姉が何とか補っている状況だ。こんなことは日常茶飯事だから特になんとも思わない。

手を洗ってダイニングに入ると少し焦げ臭い匂いが鼻を通った。

「あれ、夏海(なつみ)は?」

「今日は部活の友達と大会の打ち上げに行くらしいよ、いいなぁーあたしも焼肉食べたーい」

僕には妹もいるが最近思春期に入ったのかあまり話をしてくれない。まぁ気長に待てばいつか元に戻るだろう。

「「「いただきます」」」

ガリガリしたハンバーグが口の中を埋め尽くす。僕の母は一般的な料理より味が少し濃い。

だけど今日はあまり味がしない

一体明日何を話されるのか、、、

「ただいまー」

「あら、お父さんが帰ってきたわ、おかえりなさい!」

「いやー急に暑くなりだしたなぁ。今年の夏は去年よりもっと暑くなるかもな、、、ん?なんか焦げ臭いような、、、?」

僕の父はお菓子に関係する会社に勤めている。そのせいか様々な変化に敏感で気づきやすい。良い意味でも悪い意味でも

「あら、気づいちゃった?少しハンバーグを焦がしたのよ、ごめんなさいね」

「いや、気にしなくていいよ、むしろいつもありがとねお母さん」

「もう、お父さんったら、、、」

「ねぇー娘たちがいる中で惚気けるのやめてもらえますぅ?あたし最近彼氏と別れたんだからぁ」

これもいつもの事、お父さんとお母さんはとても仲がいい。記憶の限り物心が着いてから口喧嘩すらも見た事がない。

「ご馳走様、宿題してくるね」

「あら、おかわりはいいの?」

「うん、檸音と少し食べて帰ったから」

僕は早足で自分の部屋に帰った

「ほんと葵は檸音くんと仲がいいわよねぇ」

「・・・」

「?、お父さん?」

「ん、あーごめんね、少し考え事をしてたよ」


「はぁ〜、、、大事な話、ねぇ、、、」

頭の中で檸音の顔が浮かぶ、始めてみる表情、言動、、、分からない、何も思い当たることがない。

僕と檸音が付き合っていることはまだ家族には言っていない、正確には言い出すタイミングがない。だから家族に相談することも出来ない、今の状況では何も出来ない、、、いや1()()相談出来る人がいる。

僕は机の片脇に置いていたスマホで電話をかけた

「もしもし、(あお)くん?こんばんわ」

「もしもし?急にごめんね」

僕の父方のおばあちゃんだ

僕の周りで僕が檸音と付き合っていると知っている数少ない人の1人だ

おばあちゃんには家族に付き合っていることは内緒にしてもらっている

「あのね、今日学校の帰りに檸音と帰ったんだけどね?」

「最近暑くなったねぇ、水分補給大事だよぉ、体調崩してない?」

「あ、うん、大丈夫!元気だよ」

おばあちゃんは少し耳が遠い、よく話が噛み合わないことがある

「あのねおばあちゃん、今日檸音と一緒に帰った時、大事な話があるって言われたんだよ。しかも見たことない話し方と表情で」

「ウンウン、もしかしてその大事な話っていうのが何なのか心配なんだね?」

「うん、そうなんだよ」

「なるほどねぇ、あのねぇ葵くん、お付き合いしている人の大切な話っていうのはね、、、、、、」


〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎


『ただいまぁ』

「おう、帰ったか遅かったな」

『葵と帰ってたからね』

「さっさと手ぇ洗って、母さんにただいまって()()()()()()()()

『分かってるよ』



パンッ

『、、、ただいま』


「にぃーちゃーーーーん!!!」

『おー!優真(ゆうま)!ただいま』

「ねぇねぇ!今日ね算数のテストでね98点とったんだよ!!先生に褒められたんだぁ!」

『すげぇーじゃねぇか!!さすが俺の弟だな』

「へへん!」

「おい、2人ともサッサと飯食いに来い!!冷めるぞぉ」

『すぐ行くー!優真行こ』

「うん!」




「おい、優真!人参さんもちゃんと食え」

「んー、なんでこんな大きく切ったのさぁ!」

「アッハハハ!!お前が好き嫌いするからだぞぉ」

『ほら優真!お兄ちゃんも食べてるから、食べな』

「んーー!モグモグッ、、、まずいぃ」

「おー!よく食えたじゃぁねぇか!、、、おい檸音、もう食わねぇのか?」

『え、あーうん、もうお腹いっぱいかな、、、』


「、、、()()()()


『いや大丈夫だよ、帰りに少し食べて帰っただけだから』

「ん?お兄ちゃん大丈夫?」

「あー優真、お兄ちゃんな、実は、、、」

『父さん!!優真にはまだっ!、、、』

「あーすまん、なんでもない」

「えー?お兄ちゃんとお父さんの秘密ぅ?ずるいー」

『ハハッ、優真も大きくなればわかるよ』

「もぉー!人参食べたからもう大人だもん!!」

「そうだなぁ、でももっと野菜が食べれるようにならないと大人にはなれねぇぞぉ」

「もぉー、無理だよぉ」

「はっはっは!頑張るしかねぇなぁ!!、、、檸音、無理すんなよ」

『うん、ごめん』

「謝るな、檸音はひとつも悪くない」


〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎〰︎


「心配なんだね?」

「うん、そうなんだよ」

「なるほどねぇ、あのねぇ葵くん、お付き合いしている人の大切な話っていうのはね、、、、、、」









「愛の告白か()()()()()()()()()()ついてのことが大半なのよ」



2話目「ただいま」いかがでしたか?

葵と檸音の家族構成が少し鮮明になりましたね。それにしても檸音、なにやら弟にも話しづらいことがあるそうです。葵に話す大事なことはそれと関係しているのか、葵のおばあちゃんの言っていたことは本当なのか、真相は翌日明らかになるかもしれません。

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