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前世のおれが埋まる場所から手を離した。
彼女が落とし物をした場所を探る。
地面は見えないくらい、落ち葉で埋もれた場所を手で掻き分ける。
透明のケースに入ったカードのようなものが落ちている事を知り、拾うと「咲屋満月」と書かれた身分証明書のようだった。
当時、彼女が居たのであろう住所も表記されている。
おれは、前世のおれが埋められた場所に手を合わせ、下山する事にした。
まだ、その住所に住んでいるかは分からなかったが、彼女に会える可能性が有るかもしれないと思ったからだ。