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蓮華と出会ったのは肌寒い11月のこと。

私は仕事終わりに公園で酒を流し込んでいた。

ぼーっと辺りを見ていると草原から髪が生えているのを見つけた。

まだ飲み始めたばっかなのにもう酔っ払った?おかしいな。そう思って髪に近付いてみる。

暗くてよく見えない。

スマホのライトをつけて、周りを照らす。

そこには女性が倒れていた。


「ちょっと、大丈夫ですか?聞こえますか?」


首に手を当てると脈が確認できた。

よかった、生きている。


「んぅ…」

「あ、大丈夫ですか?怪我ありませんか?」

「あなた誰?ここどこ?私何してるの…」


長いまつげに綺麗な瞳。

こんなに美しい人居るのか、そう思った。


「とりあえず、私の家来ます?寒いですし。」

「そうね、そうしてもらうわ。」


家に着くまでの間、ほぼ無言だった。

蓮華が何かを言っていたような気がするが。


「あなたって案外小さいのね。」

「はあ?!」


私の身長は150cm。

蓮華の身長は162cm。

小さくて悪かったな。

そう思った。


家に着き、ボロボロの蓮華をとりあえず風呂に入れた。


「あったかーい、気持ちいい。」

「そ?よかった。バスタオルと着替え置いとくね。」

「ありがとうございます。」


きっと育ちがいいのだろう。

靴を揃えてあるし、脱いだ服はちゃんと畳まれている。

偉すぎる。

私なんて靴も服も脱ぎ捨ててあるのに。


「お風呂ありがとうございました。」

「うどん作ったけど食べる?」

「ではいただきます。」


濡れた髪を縛り、彼女はうどんを食べ進める。

綺麗な横顔だ。


「ごちそうさまでした。」

「早っ」

「美味しかったです。」

「そりゃよかった。髪乾かして来な、ドライヤーあるから。」

「はい。」


暫く経つと、サラサラの髪が目の前に現れた。


「サラサラだねー、綺麗だよ。」

「褒められるのは初めてです。」

「まじ?こんな綺麗なのに。」


「てか名前言ってなかったね。私、霧咲えりな。あんたは?」

「…名前、要らない。」

「そっかぁ。じゃあ私がつけてもいい?」

「はい、」

「じゃあ蓮華ね。」

「れんげ?」

「うん。蓮華。」


少し嬉しそうに笑みを浮かべる蓮華。

かわいいな。


「蓮華はさ、なんであんな場所に倒れてたの?」

「私、捨てられたんです。」


蓮華はお姫様だった。

正確には社長令嬢。

私には想像できないくらいに過酷で恵まれた環境で育った。

でも、最近会社が倒産して家の者は全員追い出されたらしい。

それであんな場所に倒れていたんだ。


「そっか。でもこれからは!私と暮らせるよ?」

「え?」

「あなたの知らない世界教えてあげる。大丈夫、部屋は余ってるしちゃんと愛すから。」

「…はい。」


こうして私と元お姫様の暮らしは始まった。

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