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魔導兵物語(仮)  作者: zero
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天馬と僕とこれから

目が覚めると、窓から差す光で明るくなっており、朝なのかと思い、起きようとしたが、体中痛くて起き上がれなかった。

師匠のベッドを見ると空で、そりゃあ起きてるよなと思い、痛みを我慢して起き、窓から外を見て、太陽の位置を確認して昼過ぎくらいかなと当たりをつけると、急激にお腹の減りを意識した。

とりあえず、武器を腰に付け部屋を出ると、何名かがテーブルにおり、食事をしている様だった。

「おはようございます」

テーブルに近づき、挨拶をする。

「おお、おはよう。と言ってももう昼過ぎだがな」

ニールさんが笑顔で挨拶を返してくれるが、窓を指差し昼過ぎだと教えてくれた、予想通りだ。

「しかし、よく寝ていたな?丸一日以上寝てて、体は大丈夫か?」

タモンさんがとんでもない事を言う。

「え!?一日以上?そんなに寝ていたんですか?ごめんなさい」

驚き、謝る。

「な~に、ボウズは良~く頑張ったんだ。問題なんてあるか?俺たちな?みんな、お前をゆっくり休ませたかったんだから、期待に応えて良く休んでくれた!ってな、褒めてやるよ」

ロンドさんが途中から笑いながらそう言う。

「あの、他の皆さんは?」

照れながら、そう問うと

「アレンとシファさんは、先に王都に報告に行ってる。カイラスとラインはとりあえず見張りで、リィズは寝てる。昨日は俺と夜番したからな」

ロンドさんが答えてくれる。

そうだよな、悪魔は退けたし、魔獣たちも大半は倒して追い払ったとはいえ、まだ何かあったかも知れないのだ。

そんな時にのんきに寝ていたとは、恥ずかしく情けない。

「本当にごめんなさい……」

「おいおい、ロンドが言ったろう?ボウズは良く頑張ったんだ。起きられなかったのは、体がそれだけ疲れて、休みを欲したからだぞ?」

ニールさんが言い、タモンさんが続けて

「大人にも、格好付けさせな?そんな事よりも、腹減ってないか?一日以上食ってないだろう?良く寝たら、良く食べるんだ」

そう言いながら、座席を指差し、座るように促してきた。

「ありがとうございます」

とアタマを下げて、席に着くとタモンさんとニールさんがそれぞれ食べ物飲み物をくれた。

一口パンを食べると、柔らかく美味しかったので、一気にパンを食べきり、紅茶を飲み干す。

「お~お~、良い食いっぷりだ!もっと食べるよな?」

面白そうにロンドさんが肉とスープを盛ってきてくれた。

「はい、頂きます」

と受け取り、スープを飲み、パンを囓り肉を食べる。

「小さな英雄君、ゆっくり食べるんだぞ?」

タモンさんが笑いながら言ってくれる。

「小さな英雄?」

パンを食みながら聞き返す。

「ああ、間違いなく英雄と言えるな。かなりの魔獣たちを倒し、最後まで戦い抜いたんだ。先が楽しみだってな」

ニールさんが真剣な顔でそう言ってくれた。

「へへへ…憧れの皆さんにそう言われると嬉しいですね。」

顔が熱い。

「ん?憧れ?俺たちがかい?」

ロンドさんがびっくりした顔をしている。

「そうですよ!まだ3か月程度ですが、皆さんは優しくて格好いいなって……あ、いや、なんか……」

言ってみて自分が照れてしまう。

3人も照れているようだ。

この後も他愛ない話をして、後片付けをし、お風呂に入り、皆に寝るように言われてそのまま部屋に戻った。

ベッドに入るが、さすがに丸一日寝てたんだから、中々眠れないだろうなとか、師匠が居ないのは淋しいなとか色々考えていたが、直ぐに眠りに落ちた。


翌朝、目が覚めると物凄い体が楽で気持ちが良かった。

交代時間の朝食で皆と話し合った。

師匠達は、帰るまでに10日以上掛かるそうで、師匠からの宿題として、師匠の用意した勉強問題が大量にあった。

「計算問題は倍にする約束だからな。って言ってたよ」

と、リィズさんが笑顔で問題集を手渡してきた。

勉強したり、魔獣たちの処理、監視塔での監視をしたり稽古したりと、中々充実した日々を過ごし10日以上が過ぎたが、師匠達は戻らなかった。

結局、師匠達が戻ってきたのはそれから更に10日以上すぎてからで、交代要員を手配していたそうだ。

と言うのも、大量の魔獣、悪魔の出現と2体の悪魔を逃したこと等から、ムーラン大森林に対しては、早急に本格的な調査が必要と上層部で決定し、監視塔を城砦化し拠点とする事で、天馬等の上位冒険者を編成したチームを主力調査隊に、王国兵や中位冒険者チームでこの監視塔の警備や城砦化する工兵等の護衛としていくそうだ。

王都まで約5日、協会に報告し、国王に謁見する手配をし、謁見したのが手配から4日目で、報告から今後の対策等色々行い、交代要員の準備に掛かったそうだ。

協会からは、まず魔獣の死骸処理班が到着し仕分けを開始した。

魔獣は、元々が獣の為に、きちんと処理すれば、食用肉にもなる。

待機中、皆である程度の処理もしたし、冬期間の為か、死骸が対して傷まなかったらしく、かなりの量の食肉が取れたらしい。

また、魔獣の体から取り出した魔石を等分で貰えたのは嬉しかったな。

魔石は魔獣の核とされ、成長と共に大きくなり、その力を増大させる。

魔石の用途は幅広く、魔道具、魔法の武具に使用される為に、今回得た魔石を売ると、相当の収益になる。

魔獣は成長が早く、繁殖周期も短く、数の増加も当然早いのだが、一般の獣には手を出さないし、食事もあまりしないらしいが、人間種に関しては食料とするわけでも無く、ただただ襲い殺しにくる敵対種であり、不思議な種である。


師匠と再会し、勉強の進捗状況を確認されたり、居ない間の生活、稽古等、色々聞かれたり、今後の事を話された。

予定として、王都の冒険者協会で、冒険者として登録し、別枠でムーラン大森林の調査をするらしいと聞き、ちょっと淋しく感じた。

「師匠?別枠での調査をするのは分かりましたが、拠点は如何するんですか?ムーラン大森林て、バカみたいに広いですよね?」

「一応、竜鳥の馬車を借りることにしてある。護衛には、中位冒険者チームを、借りる予定だ」

「竜鳥の馬車ですか!」

竜鳥とは竜の亜種であり、逆間接二足歩で竜種であるだけに鱗に覆われ頑丈な騎乗も出来る、長距離移動する商人や冒険者御用達の馬に変わる移動用の小型竜であり、買うとすると中々高価である。

また、調査とはいえ、ダンジョン等の探索をする場合、拠点が必要であり、別途拠点確保のチームが必要である。


「それじゃ、お別れだね」

リィズさんが僕の頭を撫でながら挨拶をしてくれる。

「はい、リィズさん、大変お世話になりました。皆さんにも良くして頂いて、とても充実した日々でした。またお会いできるときを楽しみにしています!」

「なんだ?相変わらず堅っ苦しい言い方だな。少しは子供らしくなったかと思ってたのに」

アレンさんがそう言いながら、頭ポンポンしてくる。

「またな、トモキウス!」

ロンドさんが手を握ってくれた。

天馬の皆それぞれと挨拶を交わして師匠と共に、協会の用意した竜車に乗り王都に向かう。


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